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インタビュー時年齢:37歳 (2021年1月)
感染時期:2020年11月
感染した家族:長男(当時2歳)
背景:首都圏在住の女性、保健師。夫と長男(2歳)と長女(5歳)の4人暮らし。
子どもたちの通う保育園でコロナウイルス感染者が出たため、施設全体でPCR検査を行うことになり、無症状であった長男の感染が判明した。他の家族はPCR検査陰性であったが、濃厚接触者として長男とともに自宅隔離となった。長男は無症状のまま自宅療養を終え、他の家族も長男の自宅療養期間終了日からさらに2週間の自宅隔離期間を終えて、元の生活に戻った。
語りの内容
ただ、あの、息子が陽性になったっていうことをちょっと誰かに言いたかった、このことをほかに誰が陽性なのかなっていうのが分からなかったので、私は「うち、陽性になっちゃった」っていって言いたかったんですけど、すごくちょっとやっぱりデリケートな問題で、私は陽性っていうふうに言いたかったけれど、もしほかに陽性の人がいたとして、その人が自分ちは陽性だったけど、陽性って言いたくなかった場合もあると思って、それで私が言ってしまうことによってその人が、なんか、言いたくないのに言わなきゃいけない空気になってしまうのもちょっと嫌だなっていうふうに思ったので、陽性っていうことは誰にも言えず、自分の家族と実家の親とか、そういう保育園とはつながりのない人に言うだけにとどめておきました。
――登園するまでの間、その辺はどういうふうに皆さん…ママ友のLINEはどうなってたのかなと思いまして。
はい。あの、なんか不思議なことに、PCR検査まではすごいLINE、ピンコンピンコンなってたんですけど、やっぱりPCR検査をするってなってから、やっぱり、その、誰、それからもやり取りするってなると、やっぱり結果を知ることにもなるし、それってちょっと犯人探し的な側面もあったりするので、みんなLINEするにできなかったのかなっていう感じもして、なんかピタッと止まりましたね。だから、個人的にLINEしたっていうのはあるんですけれど、その全体のLINEとしては、もうやり取りなかったです、全く。で、えっと、たまたま道で会った同級生のお父さんに「ちょっと聞いてくださいよ」みたいな感じで、「うちの下の子が陽性だったんですよ」「うわ、大変ですね」とか言って、あの、そういうことで、あの、発信っていうか、あの、伝えたっていうことはあるんですけれども、それ以外は特になかったかなと思います。
で、保育園からもPCR検査を受けてからは全く連絡がなくなってしまって。なんかそれもどうなんだよっていうふうに私はちょっと思ってしまったんです。心配してくれてもいいんじゃないかなって思ったので。あの、家族が陰性だっていうことが分かって、これはしめたとばかりに保育園に電話して「うちの息子が陽性だったんですけれど、先日家族はPCR検査で陰性でしたので、ご報告させていただきます」みたいな形で連絡をしましたら、「陽性者を把握してない」っていうふうに、保育園が「陽性者を把握してない」っていうふうに言うんですね。
でも、それは絶対そんなことはなくって。陰性者は、保育園…保育園って本部があるんですけど、本部は陰性者から連絡が来たって言ってるので、それを差し引いたら陽性者はおのずと出るので、絶対そんなはずないんですけど、そんなふうに言われたので、「それ、うそでしょ」ってのも、ちょっと言えなくって。その時点では、陰性の人は保育園から連絡がきたって私も知らなかったので、「ああ、そうなんですね」って言って、「うちは陽性だったんです」って言ったんですけど、でも、陽性者を把握しないと、保育園も登園を再開したときにその子のこと守れないんじゃないかなっても思ったし、うーん、保育園としても把握してほしいなっていうのは親として感じました。
インタビュー02(家族)
- 息子が濃厚接触の可能性ありとのことで、通園先の指示でPCR検査を受け、陽性と判明。保健所の指導はなかったが、幼いので隔離するよう言われてもできなかったと思う
- 陽性になった息子はいつ症状が出てもおかしくない。まだ2歳で説明できないので、ご飯が美味しいか、どんな味かなどを聞き、こまめに熱を測るようにした
- 自宅隔離中、力を持て余した子どもたちは喧嘩が絶えなかったが、親子でトランポリンやカード遊びをしたり、ママ友や親族と話したりで思ったほどストレスなく過ごせた
- 近くに住む夫の両親は息子の陽性確認の数日前に一緒に食事をしていた。両親は濃厚接触者には該当しなかったが、熱を測ったりして気を付けるように声掛けした
- 小さい子を抱えての自宅での隔離はしんどいけれど、良いことも悪いことも起きて、その都度学ぶことができた。そういう姿を子どもに見せることができたのは良かった
- 自分の職場は理解があり「保健所が言うのだから」とすぐ休みが取れた。夫は職種的にリモートワークが難しく管理職も戸惑ったようだが、在宅でできる仕事を作ってもらった
- 職場に感染者が出ていないのはたまたまで、どんなに対策をやってもうつるときはうつる。「1号を出しちゃいけない」みたいな空気は苦しいということを上司に伝えた
- 感染が落ちついた秋ごろに実家に帰ったが、地方では東京より怖がっている感じがあり、ピリピリしているので、東京から帰っていることは他の人には言わないで帰ろうと思った
- 息子が陽性だったと誰かに言いたかったが、デリケートな問題なので話せる人は限られる。ママ友のグループLINEもピタッと止まってしまい、保育園からの連絡も途絶えた