コロナウイルス感染症は、感染しても無症状の場合もあれば、急激に悪化して死に至ることもあります。また、効果的な治療法が確立されておらず、何が正しいかわからない中で、自分たちで道を選んでいかなくてはならないという面もあります。そうした病いであることが、人生が偶然に左右されるものであることを認識させ、これまでの生き方を振り返らせるのかもしれません。ここでは、コロナウイルス感染による、それぞれの人生観や世界観への影響について紹介します。
今回、インタビューに協力してくださった方の中には、「死」を意識するような経験をして、死生観や人生観に大きな変化があったと語られる方がいました。次の男性は、重症度としては中等症でしたが、高熱が続き意識が朦朧とする中で、美しい景色が見えたことを一種の宗教的体験として語っています。そして、感染後の生活が大きく変わったということも話しています。
今夜がヤマ場と医師に言われた男性は、死を意識したことで周りの人たちに感謝の気持ちを抱くようになり、このインタビューに協力するきっかけになったと話しています。
また、コロナウイルス感染で父親を亡くした女性は、悲しみと不安の中で、人生への向き合い方が変わったと話されていました。
他方、次に紹介する方は、気管切開をして人工呼吸器をつけるほど重症でしたが、過去に大病をして生死の境をさまよったという経験から、コロナの罹患には今のところ大きな意味を感じていないと話していました。
軽症だった人の中にはコロナウイルス感染が人生観や世界観に影響を及ぼしたと話す人もいれば、一時的には影響したが自然に前のように戻ったという人もいました。
次に紹介する男性は、感染したことをきっかけに仕事に関する考え方が大きく変わったと話していました。
別の軽症の男性は、コロナ感染について一時は重く受け止めたそうですが、自然に罹患前の心境に戻ったと話していました。
一方、コロナウイルスの感染が判明してすぐに会社に報告しなかったことを、上司に厳しく責められ、のちに雇止めになった男性は、人生が大きく変わってしまったと感じていました。(「仕事・職場への影響」のトピックに紹介されている語りもご参照ください。)
また、個人的な経験を超えて、パンデミックという危機的状況に私たちはどう立ち向かうべきかという大きな視点で話をされた人もいました。
さらに、幼い息子さんがコロナウイルスに感染し、家族で自宅療養することを選択した女性は、罹患から学びや気づきを得たことに触れ、よいことも悪いことも引き受けて、試行錯誤する親の姿を子どもたちに見せることができてよかったと話していました。
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