診断時:28歳
インタビュー時:45歳(2018年5月)
追加インタビュー時:47歳(2020年8月29日)

関東地方在住の女性。夫と二人暮らし。28歳の時にクローン病の診断を受けた。その後大腸の切除手術と胆のうの摘出手術を受け、7年間にわたりエレンタールだけの絶食生活を続けた結果、やっと寛解状態となり食事も始めた。しかし3年ほど前に再燃して、その時はヒュミラも試したが副作用がでて、今はまたエレンタール中心の生活になっている。2020年7月に腹膜炎を起こし、その時の検査で狭窄が見つかり大腸の一部を切除した。薬はエンタイビオを使い始めた。また血球除去療法も行った。

プロフィール詳細

 クローン病の診断がついたのは28歳の時だが、もともと子どものころからお腹が弱い子で、よく戻したり、下痢をしたりしていた。二十歳の時には痔の手術もしており、その時には恐らくクローン病を発症していたのではないかと思われる。そして25歳の頃には貧血がひどくなり体重も10キロ単位で上がったり下がったりしていた。しかしその頃は病院に行くのがいやだったので市販の薬で何とかしようとしていたが、今から思えばもっと早く大きな病院へ行き検査すべきだった。

 そして、28歳の時に体重が一気に10キロくらい減ってしまって、産業医に相談したらすぐに病院に行けと言われた。翌日病院に行ったらそのまま入院となり、4か月間入院した。入院中に、クローン病の診断を受けている。入院中は貧血があって輸血をしたが呼吸困難になって死にそうになったり、抗生物質もアレルギーで使えないという状態だった。その後、ステロイド(*1)が効いてくれたので何とか寛解に至り、退院したが、退院後は7年間にわたりエレンタール(成分栄養剤)とお茶だけで固形物は一切取らないという絶食生活を続けた。

 その間に、絶食生活をしていたにもかかわらず腸閉塞で大腸の切除手術をし、直後に今度は胆のうが炎症を起こして、摘出手術を行った。

 術後もしばらく絶食生活を続けたが、絶食にはそれほど抵抗がなく、入院するより仕事ができる方がいいと割り切っていた。そのおかげで、入院当初、腸の中がジュラシックパークの洞窟のようになっていたのが、7年後にはつるつるぺたんこになり、食事も摂れるようになった。

 しかし今から3年ほど前にまた悪化して、前ほどひどくはないが今度はムアツふとん(丸みを帯びた突起がたくさん並んだ状態)みたいな潰瘍ができてしまった。その時、ヒュミラ(*2)という薬を試してみたらお腹にはとてもよく効いたが副作用がでてしまい、半年ほどで止めて、今はまた得意の絶食療法に切り替えている。

 長い間この病気を抱えて精神的に辛いこともあったし、色々なことを諦めてきたこともあったが、理解ある職場にめぐまれ、また家族、特に両親と夫と妹にはとても支えられ、もちろん医療者にも支えてもらいここまでやってこられたことは幸せだった。患者会に入会したらさらに同じ病気の友達ができて病気の苦しみを共有できたことも大きかった。特に最近はSNSの時代で、病気になったばかりの人でも簡単に情報共有ができるので、是非インターネットなどを活用して一人で苦しまないでほしいと思っている。

<追加インタビュー>
 2019年秋にCRPの値が高くなったので新しい生物学的製剤のエンタイビオ(*3)を使いだして、これが効いているので現在も使っている。また、近くのクリニックで漢方薬も処方してもらっている。その後2020年初めにはGMA(血球除去療法)を8回やって効果があったが、丁度その頃コロナが蔓延しだしたので通院のリスクを考えて中止した(予定では10回だった)。
2020年7月には腹膜炎を起こして治療をしていたが、その時の検査でひどい狭窄が見つかったので、大腸の一部を切除してS字結腸と小腸をつなぐ手術を受けた。入院時、かかっていた病院でも新型コロナウイルス感染患者を受け入れていたので、PCR検査で陰性を確認してから入院し、手術に臨んだ。手術時には家族も立ち会えない状況だった。
術後2か月経つが、まだ傷口から滲出液が出るのでガーゼを当てているが、狭窄がなくなり食事も普通食が食べられるようになったり、トイレの回数も1日3回程度に減ったりしたのでQOLは上がったと思う。

*1 ステロイド:副腎皮質ホルモンの1つで体の中の炎症を抑えたり、体の免疫力を抑制したりする作用があり、さまざまな疾患の治療に使われている。副作用も多いため、IBDでは一般的には寛解導入に使われるが寛解維持には使わない。
*2 ヒュミラ:(一般名アダリムマブ)生物学的製剤(ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤)
*3 エンタイビオ:(一般名ベドリズマブ)生物学的製剤(ヒト化抗ヒトα4β7インテグリンモノクローナル抗体製剤)

私は: です。

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