診断時:12歳
インタビュー時:33歳(2018年8月)
追加インタビュー時:35歳(2020年8月23日)
北海道在住の男性。一人暮らし。小学校5年の時に痔ろうの手術をして、翌年体重減少や貧血があって、検査をしたらクローン病だと診断された。今までに3回の開腹手術をしたが、大学1年の手術の時にストーマを造った。今は公務員として働いていおり、病気のことは開示しているが、今は寛解を維持しているので、特別な配慮は必要としていない。その後ヒュミラの効果が減衰してきたのでステラーラとゼンタコートカプセルを使っている。
プロフィール詳細
小学校5年で痔ろうの手術をした後も体重減少が続いて色々検査を受けてやっとクローン病だということが判明したが、その時の検査では小腸造影と、大腸カメラの前に飲む下剤がとても辛かった。特に小腸造影をこれから毎年やることになると聞かされた時は泣いた記憶がある。
中学3年の時に狭窄があって小腸の一部切除手術を行い、大学1年の時には再度狭窄が出てまた小腸の一部を切除し、その時にストーマ(人工肛門)を造った。その後就職して1年半後くらいに下血があり、貧血が酷くなってきて、お腹を開いてみたら小腸とS状結腸が癒着して穴が開いて繋がっている状態(瘻孔)だったので、その部分を切除し、ストーマも造り直した。その先の直腸はまだ残っているが今のところ繋ぎ直す予定はなく、むしろその部分が癌化する恐れもあるのでいずれ摘出することも検討している。
薬に関しては基本的にペンタサ(*1)が中心で、手術の前後や調子が悪い時にステロイド(*2)や抗生物質などを使ったことがあるが、副作用が出て長くは使えなかった。免疫調節薬のロイケリン(*3)を使った時は膵炎になってしまったし、2度目の手術の後にレミケード(*4)を使った時は2回目の投与で呼吸が苦しくなるという副作用が出てしまった。しかしその後9年ほど前から現在までヒュミラ(*5)を使っているが今のところ副作用は出ていない。
後は食事療法で、脂質の少ないものなどを摂るようにしているが、エレンタールは今でも経鼻(*6)で流している。大学生になって一人暮らしをするまでは母親が食事を作ってくれていて、小学校、中学校までは給食が食べられないために弁当を作ってもらって食べていた。母は妹(自分の叔母)が潰瘍性大腸炎だったので、以前からIBD(炎症性腸疾患)に関する知識があり、料理なども工夫して色々作ってくれたのはありがたかった。しかし、小学校6年生で大好きだったカレーやラーメンが食べられないと言われた時のショックは大きかったことを覚えている。
公務員試験を受ける時にはすでに障害者手帳を持っていたが、障害者枠ではなく一般枠で受験して合格した。勿論申請書類などにはクローン病のことも記載して開示しているし、人事や上司には病気のことも説明しているが、現在職場で何か特別な配慮を受けているということはない。
ストーマにしてからはプールや温泉には入っていないが、それは他人の目が気になるということもあるが、やはり万一のトラブルで迷惑をかけることを考えるとあえて入ることもないかと思っている。しかし、それ以外のスポーツはそれほど激しいものでなければ問題ない。学生時代は病気のことと勉強のことだけで精いっぱいで、趣味などに向ける時間も気持ちの余裕もなかったが、今寛解状態が続いているので、社会人になってから始めたテニスや卓球などを楽しんでいる。
<追加インタビュー>
その後ヒュミラの効果が減衰してきたのでゼンタコートカプセル(*7)というステロイドの一種とステラーラ(*8)を使いだした。そのころ原因不明の高熱が半月くらい続いたので入院し、絶食と点滴で1~2週間過ごし熱が下がった。入院中に小腸カプセル内視鏡(*9)、退院後に大腸内視鏡をやったが、恐らく小腸と大腸のつなぎ目あたりの炎症が原因ではないかということになった。現在はステラーラで寛解を維持している。
*1 ペンタサ:(一般名メサラジン)クローン病の基本薬
*2 ステロイド:副腎皮質ホルモンの1つで体の中の炎症を抑えたり、体の免疫力を抑制したりする作用があり、さまざまな疾患の治療に使われている。副作用も多いため、IBDでは一般的には寛解導入に使われるが寛解維持には使わない。
*3 ロイケリン:(一般名メルカプトプリン水和物)核酸合成を阻害することによる免疫調調節薬
*4 レミケード:(一般名インフリキシマブ)生物学的製剤(抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤)
*5 ヒュミラ:(一般名アダリムマブ)生物学的製剤(ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤)
*6 経鼻 :鼻から管を入れて直接胃に栄養剤を送り込む方法
*7 ゼンタコートカプセル:局所(小腸)だけに作用するステロイドで一般のステロイドよりも副作用が少ない
*8 ステラーラ:(一般名ウステキヌマブ)生物学的製剤(ヒト型抗ヒトIL-12/23p40モノクローナル抗体製剤)
*9 小腸カプセル内視鏡:大きめの錠剤のようなカプセルにカメラが入っており、それを飲み込むことで小腸の映像が自動的に送られてくるもの
中学3年の時に狭窄があって小腸の一部切除手術を行い、大学1年の時には再度狭窄が出てまた小腸の一部を切除し、その時にストーマ(人工肛門)を造った。その後就職して1年半後くらいに下血があり、貧血が酷くなってきて、お腹を開いてみたら小腸とS状結腸が癒着して穴が開いて繋がっている状態(瘻孔)だったので、その部分を切除し、ストーマも造り直した。その先の直腸はまだ残っているが今のところ繋ぎ直す予定はなく、むしろその部分が癌化する恐れもあるのでいずれ摘出することも検討している。
薬に関しては基本的にペンタサ(*1)が中心で、手術の前後や調子が悪い時にステロイド(*2)や抗生物質などを使ったことがあるが、副作用が出て長くは使えなかった。免疫調節薬のロイケリン(*3)を使った時は膵炎になってしまったし、2度目の手術の後にレミケード(*4)を使った時は2回目の投与で呼吸が苦しくなるという副作用が出てしまった。しかしその後9年ほど前から現在までヒュミラ(*5)を使っているが今のところ副作用は出ていない。
後は食事療法で、脂質の少ないものなどを摂るようにしているが、エレンタールは今でも経鼻(*6)で流している。大学生になって一人暮らしをするまでは母親が食事を作ってくれていて、小学校、中学校までは給食が食べられないために弁当を作ってもらって食べていた。母は妹(自分の叔母)が潰瘍性大腸炎だったので、以前からIBD(炎症性腸疾患)に関する知識があり、料理なども工夫して色々作ってくれたのはありがたかった。しかし、小学校6年生で大好きだったカレーやラーメンが食べられないと言われた時のショックは大きかったことを覚えている。
公務員試験を受ける時にはすでに障害者手帳を持っていたが、障害者枠ではなく一般枠で受験して合格した。勿論申請書類などにはクローン病のことも記載して開示しているし、人事や上司には病気のことも説明しているが、現在職場で何か特別な配慮を受けているということはない。
ストーマにしてからはプールや温泉には入っていないが、それは他人の目が気になるということもあるが、やはり万一のトラブルで迷惑をかけることを考えるとあえて入ることもないかと思っている。しかし、それ以外のスポーツはそれほど激しいものでなければ問題ない。学生時代は病気のことと勉強のことだけで精いっぱいで、趣味などに向ける時間も気持ちの余裕もなかったが、今寛解状態が続いているので、社会人になってから始めたテニスや卓球などを楽しんでいる。
<追加インタビュー>
その後ヒュミラの効果が減衰してきたのでゼンタコートカプセル(*7)というステロイドの一種とステラーラ(*8)を使いだした。そのころ原因不明の高熱が半月くらい続いたので入院し、絶食と点滴で1~2週間過ごし熱が下がった。入院中に小腸カプセル内視鏡(*9)、退院後に大腸内視鏡をやったが、恐らく小腸と大腸のつなぎ目あたりの炎症が原因ではないかということになった。現在はステラーラで寛解を維持している。
*1 ペンタサ:(一般名メサラジン)クローン病の基本薬
*2 ステロイド:副腎皮質ホルモンの1つで体の中の炎症を抑えたり、体の免疫力を抑制したりする作用があり、さまざまな疾患の治療に使われている。副作用も多いため、IBDでは一般的には寛解導入に使われるが寛解維持には使わない。
*3 ロイケリン:(一般名メルカプトプリン水和物)核酸合成を阻害することによる免疫調調節薬
*4 レミケード:(一般名インフリキシマブ)生物学的製剤(抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤)
*5 ヒュミラ:(一般名アダリムマブ)生物学的製剤(ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤)
*6 経鼻 :鼻から管を入れて直接胃に栄養剤を送り込む方法
*7 ゼンタコートカプセル:局所(小腸)だけに作用するステロイドで一般のステロイドよりも副作用が少ない
*8 ステラーラ:(一般名ウステキヌマブ)生物学的製剤(ヒト型抗ヒトIL-12/23p40モノクローナル抗体製剤)
*9 小腸カプセル内視鏡:大きめの錠剤のようなカプセルにカメラが入っており、それを飲み込むことで小腸の映像が自動的に送られてくるもの
インタビュー30
- 診断がつくまでに受けた検査では、鼻から長いチューブを入れて行う小腸造影と大腸検査の前に大量の下剤を飲まなければならなかったのが最も辛かった(音声のみ)
- 最近はいい薬が出てきて病気のコントロールもしやすくなっているので、昔に比べれば悲観することもないかと思う。医療の進歩もあるのでそれを信じて頑張ってほしいと思う(音声のみ)
- 中学生の時に小児科から内科に移り、そのころから一人で受診もしたし先生との話も、手術などよほど重大なことでなければ直接先生と話をした(音声のみ)
- 公務員の試験を受ける時に障害者枠と一般枠があったが、人事課とも相談して一般枠で受けてもいいといわれたので、一般枠で受験して受かったことで職域の幅も広がった(音声のみ)
- 小中学校時代というのは、みんなと同じであるというのが美徳になりうる時期なので、病気の子はそれに対して負い目があるのは間違いない(音声のみ)
- 最初は将来閉鎖することも考えて双孔式のストーマを造った。お腹に腸管の二つの断端が出ているもので、一つは口のほうから繋がり、もう一つはお尻に繋がっている(音声のみ)
- あまり激しい運動をすると汗でストーマがはがれやすくなることはあるが、卓球やテニスなど楽しむには問題ない。水泳や温泉は不測の事態に対応する自信がないので行っていない(音声のみ)
- 小6でクローン病の診断を受けた。叔母が潰瘍性大腸炎だったので、病気のことは母から聞いたり患者会で学んだりした。カレーやラーメンが食べられないことにショックを受けた(音声のみ)
- 自分の仕事が大変で愚痴をこぼすこともあるが、医療関係者はもっと大変な仕事をしている。患者が安心して通院できているのはそういう人たちのおかげだという事に深く感謝したい(音声のみ)
- カプセル内視鏡をやるときは事前にテスト用のパテンシ―カプセル(Patency Capsule: 開通性を確認するためのカプセル)を飲んでちゃんと腸管を通過するかどうかを確認する(音声のみ)
- カプセル内視鏡を飲んだら後は6-8時間くらいで小腸から出るので、その間は病院内を歩き回ってなるべく腸を動かすようにする(音声のみ)