診断時:18歳
インタビュー時:36歳(2017年8月)
関東地方在住の女性。夫と子ども一人。高校卒業後すぐに発症したので、大学は行かずしばらくアルバイトをしていたが、27歳の時に大学に進学して大学院まで行った。28歳の時に結婚して、なかなか妊娠のタイミングが合わなかったが、ようやく33歳の時に出産した。腸閉塞で3回手術をしている。現在は8年前から使いだしたレミケードとロイケリンを併用し、不安ながらも、夫や家族、ママ友たちに助けられながら育児と自分の病気に向かっている。
プロフィール詳細
18歳の時に1か月以上下痢が続き、病院に行って大腸内視鏡検査を受け、クローン病の診断がでた。そのまま入院して絶食で中心静脈栄養とステロイドの治療が2か月ほど続いた。ようやく退院したが、自宅でも食事制限で、脂肪、油もの、お肉、食物繊維などはほとんど食べられなかった。その他には栄養補給のため、腸に負担がかからないような栄養剤(エレンタール)を1日4~5パック飲んでいた。高校を卒業してから大学進学も予定していたが、発病してしまったのでしばらくアルバイトなどをしていた。入退院を繰り返していたのでなかなか進学できず、27歳でようやく大学に進学できた。
アルバイトをするときも病気のことをいうと不採用になると思って、伝えずに仕事をしていたのでトイレに行きづらかった。本当に体調が悪くて仕事に行けなくなったこともあったが、周りから「トイレにすごい行ってる人」と思われているのではないか、と勝手に思ってしまい、それが気になって仕事を辞めてしまったこともあった。
薬は当初ステロイド(*1)が中心で、後はペンタサ(*2)を飲んでいたが、ステロイドの副作用でいわゆるムーンフェイスで顔がぱんぱんに膨らんでしまった。また、骨粗しょう症にならないように予防薬を服用していた。しかし発病して7年目くらいからレミケード(*3)を使いだしたらとてもよく効いた。それでももう8年くらい使っているので効きが悪くなることもあり、その時はロイケリン(*4)を併用すると効き目がよくなるが、やはり不安定ではある。
そして炎症を繰り返していると腸がだんだん狭くなってきて腸閉塞を起こしてしまうのでその時は手術でその部分を切除することになる。1回目の手術は24歳の時、腹腔鏡で手術をした。術後はとても調子が良くて一気に体重も増えるのだけれど、調子に乗って普通の食事をしているとまた腸閉塞を起こしてしまう。そして2回目の手術は29歳の時で、3回目はつい最近3か月前にした。
結婚は28歳の時にして、ちょっとしてから妊娠したのだが、その時は腸閉塞があって出産を断念した。その後なかなか妊娠できるような寛解状態が続かずようやく32歳の時に妊娠して、完璧な寛解状態ではなかったが、無事出産することができた。今は育児と自分の病気のケアで忙しくしているが、主人や家族、ママ友たちにも助けられながら、同じ病気の仲間と連携をとっている。患者会ではないが患者同士が集まって語り合えるサロンのようなチャルラの会という小さな会の運営にも携わっている。また、チャルララボという「生きづらさ」を解決し、個々人の生き方を豊かにすることを目指した活動も行っている。
クローン病は確かに大変な病気ではあるけれど、結婚も出産もできる。一人で抱え込まないで家族や周りの人に助けてもらって、また利用できる福祉制度も活用して、時には患者会やカフェのようなところで同病の人と情報交換しながら息抜きをして、そうやってうまく乗り越えていけば何でもできるということを同病の人に伝えたい。
*1 ステロイド:副腎皮質ホルモンの1つで体の中の炎症を抑えたり、体の免疫力を抑制したりする作用があり、さまざまな疾患の治療に使われている。副作用も多いため、IBDでは一般的には寛解導入に使われるが寛解維持には使わない。
*2 ペンタサ:(一般名:メサラジン)クローン病の基本薬
*3 レミケード:(一般名:インフリキシマブ)生物学的製剤(抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤)
*4 ロイケリン:(一般名:メルカプトプリン水和物)核酸合成を阻害することによる免疫調調節薬
アルバイトをするときも病気のことをいうと不採用になると思って、伝えずに仕事をしていたのでトイレに行きづらかった。本当に体調が悪くて仕事に行けなくなったこともあったが、周りから「トイレにすごい行ってる人」と思われているのではないか、と勝手に思ってしまい、それが気になって仕事を辞めてしまったこともあった。
薬は当初ステロイド(*1)が中心で、後はペンタサ(*2)を飲んでいたが、ステロイドの副作用でいわゆるムーンフェイスで顔がぱんぱんに膨らんでしまった。また、骨粗しょう症にならないように予防薬を服用していた。しかし発病して7年目くらいからレミケード(*3)を使いだしたらとてもよく効いた。それでももう8年くらい使っているので効きが悪くなることもあり、その時はロイケリン(*4)を併用すると効き目がよくなるが、やはり不安定ではある。
そして炎症を繰り返していると腸がだんだん狭くなってきて腸閉塞を起こしてしまうのでその時は手術でその部分を切除することになる。1回目の手術は24歳の時、腹腔鏡で手術をした。術後はとても調子が良くて一気に体重も増えるのだけれど、調子に乗って普通の食事をしているとまた腸閉塞を起こしてしまう。そして2回目の手術は29歳の時で、3回目はつい最近3か月前にした。
結婚は28歳の時にして、ちょっとしてから妊娠したのだが、その時は腸閉塞があって出産を断念した。その後なかなか妊娠できるような寛解状態が続かずようやく32歳の時に妊娠して、完璧な寛解状態ではなかったが、無事出産することができた。今は育児と自分の病気のケアで忙しくしているが、主人や家族、ママ友たちにも助けられながら、同じ病気の仲間と連携をとっている。患者会ではないが患者同士が集まって語り合えるサロンのようなチャルラの会という小さな会の運営にも携わっている。また、チャルララボという「生きづらさ」を解決し、個々人の生き方を豊かにすることを目指した活動も行っている。
クローン病は確かに大変な病気ではあるけれど、結婚も出産もできる。一人で抱え込まないで家族や周りの人に助けてもらって、また利用できる福祉制度も活用して、時には患者会やカフェのようなところで同病の人と情報交換しながら息抜きをして、そうやってうまく乗り越えていけば何でもできるということを同病の人に伝えたい。
*1 ステロイド:副腎皮質ホルモンの1つで体の中の炎症を抑えたり、体の免疫力を抑制したりする作用があり、さまざまな疾患の治療に使われている。副作用も多いため、IBDでは一般的には寛解導入に使われるが寛解維持には使わない。
*2 ペンタサ:(一般名:メサラジン)クローン病の基本薬
*3 レミケード:(一般名:インフリキシマブ)生物学的製剤(抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤)
*4 ロイケリン:(一般名:メルカプトプリン水和物)核酸合成を阻害することによる免疫調調節薬
インタビュー03
- 下痢以外の症状としては倦怠感があった。一生懸命やっているつもりでも体がしんどくてだらけてしまう。小腸で十分に栄養が吸収されなかったからではないだろうか
- 子育て中でも、一時預かりサービスを利用したり、ママ友に助けてもらったり、ヘルパーさんに来てもらったりすれば何とかなるので、一人で全部やろうと思わないことが重要
- 患者会のようなちゃんとした組織ではなく同病の人と話ができるチャルラの会っていうのをやっている。少しでも同病の人と話ができる場を提供することできればと思っている
- 子どもはお母さんが鼻から栄養剤を入れたり、病院に行ったりするというのはわかっているので、「おなかを診てもらいに病院に行く」というように普通に話をしている
- 就職の時は病気のことを言ったら不採用になると思って言わずに就職したので、トイレに行きづらくなって、そのことで周りの目が気になって仕事をやめてしまったこともある
- 結婚してすぐに妊娠したが、その頃狭窄があり、腸閉塞を起こす心配もあったので、その時は妊娠を継続することをあきらめた
- 妊娠を希望していたけれどなかなか寛解にならなかったので、クローン病で出産を手掛けている病院に移って、完全ではないけれど寛解に近い状態の時妊娠し、無事出産することができた
- 29歳の時に腸閉塞部分を切除する2回目の手術をしたが、1回目の時のように劇的にはよくならず、36歳の時、今から3か月前に3回目の手術をした
- 経腸栄養剤を鼻から管を入れて寝ている間にとるようにしている。きちんととっていると体調もよくなるが、子育て中ということもあり、さぼってしまうと倦怠感がでてしまう
- 免疫調整剤としてロイケリンを使っていて、妊娠してからも使っていたが特に問題はなかった。 また、レミケード(生物学的製剤)の効きが悪くなった時に併用したこともある