診断時:19歳
インタビュー時:52歳(2017年9月)
追加インタビュー時:56歳(2020年9月24日)
関東地方在住の男性。妻と子ども二人。学生時代に発症し腸管破裂で緊急手術をした。その後は腸閉塞で緊急入院したこともあったが、全体的には落ち着いた状態が続いて、その間に結婚をして子どもも二人もうけた。しかし、45歳のころから悪化し、レミケード等を試してみたが、結局直腸がんが見つかり摘出手術をし、その時人工肛門にした。2018年6月頃ヒュミラを使いだしたが皮膚トラブルがでたので中止した。また貧血が酷くなり輸血をすることもあったが、ビタミンB12が効いたようで、それ以降貧血も改善した。
プロフィール詳細
高校を卒業して予備校に通っている頃に発症して、血便が出たり痔ろうになったりしたので、いくつかの病院に行ったが、なかなか診断がつかず、メンタルな問題とか過敏性腸炎とか言われた。翌年大きな病院で小腸造影をやってようやくクローン病の診断がついたが、当時は治療として栄養剤とサラゾピリン(*1)くらいしかなく、一旦は寛解したものの、その後しばらくして腸管が破裂して緊急手術となった。その後は落ち着いて大学も卒業し就職し、32歳の時に結婚して子どもも二人生まれた。その間も肛門病変は続いていて、腸閉塞を起こして救急で入院したこともあったが、おおむね順調な生活が続いていた。
しかし、45歳のころ体調が崩れだし、それまでの薬だけでは対処できなくなったので、当時出てきたレミケード(*2)をやってみたが、狭窄がさらに進行してしまい使えなかった。また肛門が狭くなってしまって排便がうまくできなくなったために、ドレナージといって直腸に直接管を入れて便を流すという方法をとった。1年半くらい続けたが、それを一生続けるわけにはいかないということで、セカンドオピニオンも取りながら色々検討しているうちに直腸がんが見つかり、結局直腸を切除することになった。それが46歳の時で、同時に恒久的人工肛門を作った。
手術後のベッドの上でストーマパウチ(*3)を見ていると、これから先この姿でどう生活していくのか途方に暮れてしまった。最初の頃はパウチが外れて便がもれてしまうなどの失敗もあったが、その時手術をしてくれた病院のケアがとてもよかったこともあり、だんだん取り扱いにも慣れて、今では普通に生活をしている。また、人工肛門にしてから、なぜかクローン病の方は落ち着いており、最近は食事はなんでも食べられるようになった。また、がんの方も手術から5年がたち、医者からはもう心配はいらないと言われている。
19歳の時に主治医から「これは大変な病気だから」と言われて、その後33年間クローン病と付き合って来た。確かに病気自体は治らないし、色々大変な面もあるが、人生総体で考えれば7割くらい元気でいられればいい方ではないかと考えている。同病の若い人にも、それほど悩まなくても普通に生活できるし、結婚して子どもをもうけることもできるということを伝えたい。
<追加インタビュー>
2018年6月ころ、体調が下降気味だったこともあり、主治医から「短くなった腸を長持ちさせるため」といわれてヒュミラ(*4)を使いだしたが、皮膚トラブルと貧血の症状がでたので中止した。皮膚トラブルはすぐに治ったが貧血の方はなかなか治らず、輸血をすることもあった。しかし2019年8月に交通事故で右肩を痛めたときに治療の一環としてビタミンB12を処方されたら、これが貧血にとても良く効いて、その後も服用を続けたところ、貧血の状態はほとんど平常値に戻った。
2019年6月に転職して、現在は設計の仕事についている。激務だが以前からやりたかった仕事なのでやりがいを感じている。
*1 サラゾピリン:(一般名:メサラジン)クローン病の基本薬
*2 レミケード:(一般名:インフリキシマブ)生物学的製剤(抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤)
*3 ストーマパウチ:ストーマに貼り付ける便をためるための袋
*4ヒュミラ:(一般名:アダリムマブ)生物学的製剤(ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤)
しかし、45歳のころ体調が崩れだし、それまでの薬だけでは対処できなくなったので、当時出てきたレミケード(*2)をやってみたが、狭窄がさらに進行してしまい使えなかった。また肛門が狭くなってしまって排便がうまくできなくなったために、ドレナージといって直腸に直接管を入れて便を流すという方法をとった。1年半くらい続けたが、それを一生続けるわけにはいかないということで、セカンドオピニオンも取りながら色々検討しているうちに直腸がんが見つかり、結局直腸を切除することになった。それが46歳の時で、同時に恒久的人工肛門を作った。
手術後のベッドの上でストーマパウチ(*3)を見ていると、これから先この姿でどう生活していくのか途方に暮れてしまった。最初の頃はパウチが外れて便がもれてしまうなどの失敗もあったが、その時手術をしてくれた病院のケアがとてもよかったこともあり、だんだん取り扱いにも慣れて、今では普通に生活をしている。また、人工肛門にしてから、なぜかクローン病の方は落ち着いており、最近は食事はなんでも食べられるようになった。また、がんの方も手術から5年がたち、医者からはもう心配はいらないと言われている。
19歳の時に主治医から「これは大変な病気だから」と言われて、その後33年間クローン病と付き合って来た。確かに病気自体は治らないし、色々大変な面もあるが、人生総体で考えれば7割くらい元気でいられればいい方ではないかと考えている。同病の若い人にも、それほど悩まなくても普通に生活できるし、結婚して子どもをもうけることもできるということを伝えたい。
<追加インタビュー>
2018年6月ころ、体調が下降気味だったこともあり、主治医から「短くなった腸を長持ちさせるため」といわれてヒュミラ(*4)を使いだしたが、皮膚トラブルと貧血の症状がでたので中止した。皮膚トラブルはすぐに治ったが貧血の方はなかなか治らず、輸血をすることもあった。しかし2019年8月に交通事故で右肩を痛めたときに治療の一環としてビタミンB12を処方されたら、これが貧血にとても良く効いて、その後も服用を続けたところ、貧血の状態はほとんど平常値に戻った。
2019年6月に転職して、現在は設計の仕事についている。激務だが以前からやりたかった仕事なのでやりがいを感じている。
*1 サラゾピリン:(一般名:メサラジン)クローン病の基本薬
*2 レミケード:(一般名:インフリキシマブ)生物学的製剤(抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤)
*3 ストーマパウチ:ストーマに貼り付ける便をためるための袋
*4ヒュミラ:(一般名:アダリムマブ)生物学的製剤(ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤)
インタビュー06
- 食事に関しては、家内の負担にならないように特別な配慮はしなくていいと言ってあるので、子ども中心の食事で、自分は食べられるものを選んで食べている
- 5年前に直腸がんが見つかってストーマを造ったが、あえて子どもに話したことはない。ストーマだけでなくがんについての説明をすることになるので、お風呂も一緒には入らない
- 職場での昼飯は一人残って時間をかけて食べていた。夜の飲み会でも食べられるものだけ選んでたべていたので、割り勘負けはしたけれど普通に付き合っていた
- 就職活動で最初は正直に病気を開示したが、どこも採用してくれなかったので、主治医に「炎症性の腸疾患があるけれど通常勤務に支障はない」というコメントを書いてもらって、採用に至った
- 腸管が破裂して緊急手術となったもので、その破裂した個所だけでなく潰瘍のあるところまでを切除したので、小腸の3分の1と大腸の広い範囲を切除した
- 手術の前には、家族に心配かけるとか色々悩みもある。しかし、手術を引き延ばしてもいいことはないので、やると決めたらさっさとやってしまう方がいいと思う
- サラゾピリンを使っていると尿だけでなく精液もオレンジ色になりびっくりした
- レミケードは最初は劇的に効いたが、狭窄があったためにお腹が張ってしまった
- 難病と言われても大変なことだとは思ったが先のことは想像がつかなかった。さんざん病院を回って診断がついたので、やれやれと思った
- 便のドレナージというのはお尻から直腸に管を入れて排便する方法。管を常時差し込んでおいて、テープで止めて足元のドレナージバックに流し込むというもの
- 「基礎疾患」を枕ことばのようにして周りの人は心配してくれるので気を付けないといけないのかな、と思っている。感染に注意する必要性は患者会でもお話している
- 生物学的製剤を使っている人は風疹ワクチンを打てないので、コロナのワクチンも普通の人みたいには使えないかもしれないと心配した。自分が普通の人と違うことを改めて実感させられる
- 倦怠感とのどの痛みが続いたので保健所に相談して抗原検査を受けた。その時、駐車場の車の中で受けた検査の異様な雰囲気が印象に残った