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診断時:20歳
インタビュー時:55歳(2017年12月)
追加インタビュー時58歳(2020年8月21日)
関西地方在住の男性。妻と子ども一人。高校の修学旅行の最中に激しい腹痛と高熱を出して発症したが、なかなか診断がつかなかった。やっと診断がついても病気を受け入れることができずに、きちんとした治療をしないで過ごしていた。しかし東京の病院でエレンタールを教わり、それからきちんとした治療を始めた。手術も3回やりストーマも造ったが、今では子どもにも恵まれ、仕事も順調で前向きに病気と向き合って生活している。2019年に原因不明の高熱が続いて脳に腫瘍ができていることがわかった。クローン病と同じ自己免疫疾患らしく、薬物療法によって何とか症状が落ち着いたが、その薬のおかげかクローン病の方も症状が治まっている。
語りの内容
実は今、患者会全体数いうのは減ってきてまして、けど、僕はプラス面も。なんでかっていうと今、ネットの時代ですので、ネットで僕、全然しませんけどSNSとかでもクローン病の集まりがあったり、潰瘍性大腸炎の集まりがあったりされて、それなりに情報交換されてますし。それはそれで僕、有意義やと思いますし。昔と違って病状も、あの、薬も増えましたし、その情報の入手もわりかた簡単になってきましたし、あの、それは一つの。
で、もう症状自体が少ないので会員までならなくてもっていうのもおられて、費用払ってまで、と思います。ただ、患者会してますと、まあ、会報出して情報提供するのと、まあ、自分は一番やってて実感できるのは交流会なんですね。そういう時代にかかわらず、会員数は減るんですけど交流会にはどんどこ、どんどこ何十人も来はるんですね。だから、そんだけやっぱり、あの、ネットでは分からない生の声、みんなどんな苦労してるのかっていうのが分かって、やっぱり不安で来られるみたいですし。
ま、ちょっと分かりませんけど、あの、帰ったときは幾分満足された顔で帰られるようですので。あの、その、ま、患者会が一つのツールとしてですね、あの、その、困ってる方にお役に立てばと、え、いう感じで。極論いえば、あの、患者会ってないほう、ないような世界ができれば、病気が治れば、え、いらないものですので。いらないとまでは言えないけど、ですので。まずもう、会員数が増えたらうれしいのは正直なんですけれども、それが幸せかどうかいうたらまた別問題ですので、あの。
なんか、ま、よくまとまらないんですけど、なんか、患者。取りあえず、ま、人の役に立ったら、まあ、こっちとしても満足かなという。ただね、患者会ね、先ほどいろいろ言いましたが専門医の情報とか、あと同病の方がどの程度どうされてるってポジションも非常に大切で。自分、実はとてつもなく、えらい状態やっていう方も平然と来られて「え、そんな僕悪いほうやった?」っていう人いるし、深刻に考えて来はって、そのグループの中で最も軽いっていうケースもほんとにありますので、あの。
で、相対的に自分の位置が分かると、なんか、ま、これからの対処の仕方、病院の取り方も変わるかと思いますんで、医療情報、専門医情報、あの、やっぱりとんちんかんなお医者さんにかかってられる方もいたらちょっと、場合によってはちゃうのかなとかっていうお話。ただ、僕らはお医者さんではありませんので、あの、それも患者会として言うので、あの、絶対じゃないですけど、何回も言わしていただいて、その上で個人で判断していただいて。
インタビュー16
- 新興宗教や民間療法に頼り、治すことだけにとらわれていたときはつらかった。結局1人ではどうにもできず、病気に向き合っている人の話を聞いて、初めて受け入れることができた
- 最近はインターネットで情報がとれるので患者会の会員数は減っている。しかし交流会にはたくさん集まるので、やはりネットではわからない生の声を聞きたいという人は多いのだと思う
- サラリーマンになっても飛ばされたら終わりだとの思いがあって、また鑑定士の仕事にも興味があったし、不動産関係では最も上の資格だったので不動産鑑定士の資格を取った
- サラゾピリンを飲んでいた時に精子を測ったら少ないことがわかったので、それからペンタサにきりかえたら精子の数も戻っていて子どもを作ることができた
- 肛門の手術のあとしばらくは勃起不全があったが、数か月で次第に回復した。ストーマが性生活に影響あるかと聞かれれば、確かに最初は気になったが慣れてしまえば問題なかった
- 絶対にストーマにしなくてはならない状況ではないものの、QOLを考えるとしたほうがいい状況で、ストーマにしたら母親が悲しむかもしれないということを言い訳に先送りしていた
- 3回目の手術は小腸を少しと大腸の5分の4を切除して同時にストーマを造った。また、麻酔があまり効かなくて術後も3日くらいは痛くて眠れなかった
- ステロイドに関してはパルス療法といって一度に大量のステロイドを投入することもやったが、副作用はそれほどひどいものは出なかった
- 初期のころはまだ重症ではなかったせいか、難病と言われたら自分はそれに立ち向かうヒーローになったように感じた。数年かかって病名がついて戦う相手がようやくわかった
- 肺や血液の病気ではないので、かかりやすさは変わらないが、かかった時は防御壁(免疫力)が弱いので注意しないといけない。しかしこれも諸説あるので、正しい恐れ方をしないといけない
- クローン病を体験したことによってコロナの問題も客観的に見ることができていると思う。コロナ対策でも100%を目指すのではなく、自分で対処できる事とできないことを見極めることが大事