※写真をクリックすると、動画の再生が始まります。
診断時:19歳
インタビュー時:54歳(2018年3月)
九州地方在住の男性。一人暮らし。高校2年の時に痔ろうの手術をし、一旦良くなって復帰したが、19歳の時に大量下血と体重減少で病院に行ったらクローン病と診断された。その後大腸も小腸も半分以上切除したが、病気だからと言ってベッドに逃げ込むのではなく、むしろ普通の人の何倍も努力をしなければいけないという思いで今まで仕事をしてきた。今は老人ホームの園長として働きながら、ライフワークである患者会の活動を精力的に行っている。
語りの内容
―― あと、お子さんはそのお父さんの病気についてなんかおっしゃったことってありますか。
いや一切口にしませんでしたね。だって、しょっちゅう入院してましたので。お父さん何か病気だ。「クーロン病」だとか言ってね作文に書いたことも、「クーロン病」ってなんだと、で、友達にクローンって言ったらね、いやお父さんあと二人目か三人目かいると?みたいな、丁度ドリーさんていう羊がね有名だったので、そういうことがちょっと思い出されます。
もう一つは患者会を立ち上げた時に、えー…このまるまる斯く斯くしかじかみたいな方が患者会立ち上げましたって新聞に大きく取り上げられたんですね、その時に子ども達が小学校で、「お前のお父さんは難病でね、…やーい、やーい」みたいなこと言われて、子どもが泣いて帰ってきた、いじめられて。
当時家内が「あなたがね患者会なんかするっていうから、こうやってね家族はねみじめな思いしなきゃいけないのよ」って、すんごいこう、家族からこう何か、何ていうかな、八つ当たりって言いますかね、直球でこういわれた時にね、でもこれをやらないとね患者さんたちがね、救われないんだよって、誰かがやらないといけないんだ。だから僕は手を挙げたんだよって、まあ、家族に理解してもらえるように説明しました。でもそれが子どもにとっては父親の難病患者であるっていうのをね始めてこうなんか、生で体験したような感じだったんじゃないかなと思っています。
インタビュー20
- 「病気だから助けて」ではなくて「病気でも努力してるから助けてくれる」わけであり、甘えることからは卒業しないといけない。また、仕事をする上で自分の限界を把握することも大事
- 病気についての情報がほとんどない中、病気が理由で就労していない人でも、自分の経験をもとに、困っている仲間にアドバイスすることで社会に貢献できると考え、2000年に患者会を立ち上げた
- インターネットに情報が溢れ新薬も開発される中で、患者会の必要性が薄れているようにも見えるが、行政や学校や職業団体にお願いをするためには必要な組織だと思う
- 患者会を立ち上げた時に新聞に取り上げられたが、子どもが学校でいじめられて、家内からも「あなたが患者会なんかするから、家族は惨めな思いをする」といわれた
- 高齢化社会の中でこれからますます医療費が増えることは確実で、その中で難病の医療費助成制度も対象疾患を増やしていくためには軽症者がはずれるのはやむを得ないこと
- 努力をすることで会社に対して貯金ができて、体調を崩した時にその貯金が使える。しかし、長期に休むと平に戻ってしまうのはし方ないと思っていたが、最近はいい薬ができて状況は変わった
- 就職する際に、自信をもって仕事ができるのであれば病気のことは言わなくてもいいが、不安がある人は話しておいた方がいい。ただし、10年間も寛解を維持している人が病気の話をする必要はない
- 腸の長さが普通の人の十分の一しかないところで、必要な栄養分を吸収するっていうことは腸にとってもチャレンジだと思う
- 始めのころは、将来像が描けずにポンコツになってしまったようで、死んでしまおうかと思った。しかし「大変な病気だが一緒に治療していこう」という医師の言葉で治療に前向きになれた