※写真をクリックすると、動画の再生が始まります。
診断時:19歳
インタビュー時:54歳(2018年3月)
九州地方在住の男性。一人暮らし。高校2年の時に痔ろうの手術をし、一旦良くなって復帰したが、19歳の時に大量下血と体重減少で病院に行ったらクローン病と診断された。その後大腸も小腸も半分以上切除したが、病気だからと言ってベッドに逃げ込むのではなく、むしろ普通の人の何倍も努力をしなければいけないという思いで今まで仕事をしてきた。今は老人ホームの園長として働きながら、ライフワークである患者会の活動を精力的に行っている。
語りの内容
―― あのいわゆる難病法っていうのが制定されましたけれども、その中で医療費の助成制度とか今ありますけども、そういうその制度的な面に関して何かご意見とかありますか。
うーん、やっぱり少子高齢化社会、子どもが減って高齢者は2042年が最大ピークを迎えます。で、2025年にその手前でね800万人いる団塊の世代が75歳に達するんです。もうこの人たちを面倒見るために今の年金制度と介護保険制度、医療制度をね持たせなきゃいけないっていうのが国の使命であってですね。
高齢者って慢性疾患や色んな疾患がどんどんこう必然で増えていくので、医療費は当然上がるわけですね。で、えー、平均年齢(寿命)もどんどん延長して行っている。もう90歳代に達していますから。ということはね、もっともっと介護保険料もいるとなった時に、じゃあ難病法ができました。もう今までは50数疾患だけのね、難病対策のものであったものがね、今では330って、今度新しくまた追加になる。社会福祉法、あごめんなさい、障害者総合支援法上においては358疾患、あの福祉サービス受けられる。でもそれは税金を使ってサービスを受けているので、この人たちにも全部今まで通りというわけにはいかない。やはり、どこかに絞って行かないといけない。で、国の施策としてはね、寛解期を維持させたり、もしくは完治させるための新薬に莫大なお金を投資し始めたんですね。そして、中度、重度の人を中心に医療費の助成をあてがう。だから、すそ野は横に広いんです、軽症者の人って、完治はしてないけど軽症者の人たくさんいる。でもその人たちはねまだまだ働ける能力があったり、要は痛みや疲れ方もそこまではない、ないだろうというねことでね、ま、悪い言い方すれば足切りなっちゃったんですけど、これはもう今の医療制度等を維持していくために必要な措置であったということはね、やっぱり理解していかないと、ただ、増やしてくれ、えー、保護費用、生活保護をだれにでも平等に与えてくれっていうだけであるとですね、なかなかやっぱりにっちもさっちもいかなくなる。今のものでさえ、今改正されて今現状新しくスタートした。これでさえ持たない仕組みになってきたら、最重度の人しか治療を受けない時代になってしまうと。ま。ここはですねなんか、えー、留めおきたい。中度の人が重度に行かないように。っていうことはですね私たちの世代で頑張んなきゃいけないなあ、と思ってるところなんですね。
インタビュー20
- 「病気だから助けて」ではなくて「病気でも努力してるから助けてくれる」わけであり、甘えることからは卒業しないといけない。また、仕事をする上で自分の限界を把握することも大事
- 病気についての情報がほとんどない中、病気が理由で就労していない人でも、自分の経験をもとに、困っている仲間にアドバイスすることで社会に貢献できると考え、2000年に患者会を立ち上げた
- インターネットに情報が溢れ新薬も開発される中で、患者会の必要性が薄れているようにも見えるが、行政や学校や職業団体にお願いをするためには必要な組織だと思う
- 患者会を立ち上げた時に新聞に取り上げられたが、子どもが学校でいじめられて、家内からも「あなたが患者会なんかするから、家族は惨めな思いをする」といわれた
- 高齢化社会の中でこれからますます医療費が増えることは確実で、その中で難病の医療費助成制度も対象疾患を増やしていくためには軽症者がはずれるのはやむを得ないこと
- 努力をすることで会社に対して貯金ができて、体調を崩した時にその貯金が使える。しかし、長期に休むと平に戻ってしまうのはし方ないと思っていたが、最近はいい薬ができて状況は変わった
- 就職する際に、自信をもって仕事ができるのであれば病気のことは言わなくてもいいが、不安がある人は話しておいた方がいい。ただし、10年間も寛解を維持している人が病気の話をする必要はない
- 腸の長さが普通の人の十分の一しかないところで、必要な栄養分を吸収するっていうことは腸にとってもチャレンジだと思う
- 始めのころは、将来像が描けずにポンコツになってしまったようで、死んでしまおうかと思った。しかし「大変な病気だが一緒に治療していこう」という医師の言葉で治療に前向きになれた