※写真をクリックすると、動画の再生が始まります。
診断時:32歳
インタビュー時:52歳(2018年1月)
追加インタビュー時:55歳(2020年8月27日、12月6日)
関東地方在住の女性。夫と二人暮らし。米国留学から帰国後、希望の会社に入社し、プライベートも充実、まさに「人生で一番の絶頂期」にクローン病を発症した。仕事も途中で辞めることになるなど多くの辛い体験をしたが、その後結婚もし夫や多くの医師に支えられてきた。最近は、クローン病は落ち着いてきたが、他にも疾患を抱えており、何とか疾患を減らし、仕事に復帰したいと思っている。その後「反応性機能性低血糖」となりクローン病とは相反する食事制限で苦労した。2020年秋に37.3度という微妙な熱が出て近所のかかりつけ医に行ったら、念のためと言われてPCR検査を受けた。
語りの内容
―― で、その転職された先の仕事っていうのはあの、多少楽な仕事だったんですか。
もうあの、全然楽です。(笑い)まあ、あの、楽、でも楽というとね、働いている方に失礼なんでえすけれども、少なくとも、あの、一人当たりがこなさなければいけない業務量というのはもう半分以下という感じだったので。で、もう残業しないのが当たり前。残業する時には、あのその分をどこで、あの、代わりに休めるかっていうのをこう組織として考えてくれるような場所だったので。
―― じゃあ、その、病気に対する配慮のようなものも結構あったということですか。
で、実はそこも病気のことは言ってません。
―― あ、言わなかったんですか。
というのは、ま、その転職を、その激務の場所からする時に、あの、何か所か面接を受けたんですけれども、まあ、あの、で、一応私としては、あの、主治医に通常の業務は支障ないという診断書を出していただいて、で、ま、最終面接まで行った場合には必ずそれを見せるようにしてたんですね。で、ただ、そうすると例えば、あの、辞められる方の、ま、ちょっとかなり特殊な仕事だったので、あの、辞められる方のその次の仕事(注:後任者)っていうことで私が行ったときに、例えば私がその診断書を出したら、病気の人間にでもできる仕事を私がやってたと思われると困ると言われたこともありまして、うーん、ま、かなりの配慮が必要な職場だったら言うけれども、それなしで何とか行けそうなところだったら、もう言わないでおこうっていうような、なんとなくそんな方針が当時はありましたね。ただ、今だったら言うかもしれませんね。はい。
―― じゃあ、その病気のことを言わずにその、就職されたということは、あー、例えばトイレとかその通院とかに関しては大丈夫だったんですか。
えーと、何とか回しました。というのは、あの、一つは主治医があの、土曜日に診療が受けれるところなので、通院に関しては、ま、ほぼ、ほぼというか、ばれないです。で、あのトイレに関しては、あのー、ま、かなり、えー、ちょっと個室化したオフィスだったので、これもあんまりばれないと(笑い)。はい。うまーく、こう間を潜り抜けていきました。
インタビュー18
- 最後の職場を辞めたのはうつ病になってしまったことが原因。これはクローン病とは直接関係ないがクローンのために栄養バランスが悪くなったことが原因かもしれない
- 掌蹠膿疱症はクローン病の合併症とは書かれていないが、どちらも免疫に関係する疾患なので、IBDの患者にはよくいるようだ
- 頑張って何とかなることもあるが、だめなときもある。体の声をちゃんと聴いてあげることが必要。病気と友達にはなりたくないが、口うるさいおばさんくらいには思っておけばいい
- 環境の悪い海外へ行こうとしたときや激務の仕事に就こうとしたときに、いつも背中を押してくれた先生にとても助けられた
- 副腎を診てもらっている先生とクローン病の先生がいて複数の医療機関にかかっている。 自分がハブになって先生たちを繋いでいるが、最後の砦は調剤薬局の薬剤師さんだ
- 通院していた病院に、同病で人生に絶望してずーっと泣いているような若い女性が入院していた。彼女に話かけて彼女が笑ってくれた時は自分もとてもうれしかった
- 病気になってから知り合った人には「クローン病の人」と見られることが多いが、昔からの友人は「クローン病になった」と思ってくれる。その見方の違いは大きい
- 手術で結婚式を延期したことがきっかけで、相手の家族が病気のことを調べてノイローゼのようになり、婚約者も理解してくれず別れることになった
- 就職の最終面接では主治医にどういう仕事なら働けるかということを書いてもらって出すようにしている。そうすると自分で「働けます」というよりは信頼性があるので企業も安心できる
- 転職先の会社はそれほど激務ではないので病気のことを言わずに就職した。通院も土曜日に行けたし、個室化したオフィスだったのでトイレに関しても問題なかったので、特に支障はなかった
- 海外で暮らす場合食事には特に気を付けないといけないが、最近はどこでも日本食が手に入るので基本は和食がいい。しかし、和食でも繊維質の多いものがたくさんあるので注意が必要
- 大学院に行き、入りたい会社に入り、結婚を考えていた人生の絶頂期に難病と診断されて、人生終わったと思った。しかし、それからちゃんと20年生きている
- たまたま主治医とは違う先生に診てもらったとき、大建中湯を勧められて使ったらとても良く効いたので今でも使っている
- 微熱と倦怠感でかかりつけ医を受診したらPCR検査を勧められた。複数病気を抱えている事情など考慮の上、詳しく説明してくれ、検査を強く勧められたので納得して受けられた
- コロナ禍になって普通の人は外出が制限されたりして困っているが、私は元々病気で外出できないことなど普通だったので、時代が私に追い付いたと思っている