診断時:50歳
インタビュー時:53歳(2011年10月)
妻とともに生活保護を受給。2009年自宅で転倒し後頭部を打つ。高次脳機能障害も疑われたが、最終的に若年性脳血管性認知症と診断された。血圧は元々高く、言葉が出にくい、重い物が持てないなどの症状は、降圧剤と家族や周りのサポートで回復し仕事に行けるようになった。週5日障害者就労支援施設B型でタオルをたたむ作業をしている。生活保護の状態から脱したいと思っている。
語りの内容
―― サポートセンターに来るのはどうですか。楽しい? ここへは週に何回ぐらい来てるんでしたっけ。
週に1回。
―― 4人くらいの方とお話をしたりしてるって伺ったんですけども、楽しいですか?
……お話か。お話、もう苦痛になってきた、だんだん。
うん。…もともと、根っからしゃべる人間じゃなかったから。
―― …ほかの人の話、聞いてるのもつらいですか。
うーん年寄りだから、ま、それ、聞くことは別に…構わないですけども、……普通の会話っていうのはこんだけ難しいことと思わんかったわ。
―― もともと、お話するの苦手だったかもしれませんけど、やっぱり、ぶつけた後はなかなか、こう、頭と口もつながっていかない、みたいな感じですか。
うん、そんな感じやね。
―― 最初のころに比べたらどうですか。つながりやすくなってる。それとも、それがやっぱりちょっと困難度が増してる感じ。
半々なんやろうね、今は。
―― 半々…良くなってるなと思うときと、そうでもない。
落ち込むときと。
―― 落ち込むのは何かきっかけがありますか。
……そやから、落ち込めば、だんだんと深みにはまっていく感じでね、それで困ってんねん。……本当にだから、出口が見えないんよ。
インタビュー本人08
- 脳血管性認知症と高次脳機能障害と2つの診断名がついたが、自分としては回復の見込みのある高次脳機能障害の方がぴったりくる(テキストのみ)
- 作業所の仕事にノルマはないが、折ったタオルを正確に重ねていくのが難しい。昼休み、話しかけられると頭の中で整理するのが大変なので、余計な話はしない(テキストのみ)
- 生活保護でだいぶ(国のお金を)使っていると思うので、早く返さなきゃいけないというのが頭にこびりついている。生活保護を脱しないと自分には未来がない(テキストのみ)
- 普通の会話がこんなに難しいとは思わなかった。落ち込めばだんだん深みにはまっていく感じで、困っている。出口がみえない感じがする(テキストのみ)