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診断時:60歳
インタビュー時:67歳(2016年7月)
インタビュー家族38 の夫
青果店に勤務していた2009年頃、計算を間違えたり、文字がうまく書けなくなったりするようになり、妻の勧めで受診して、若年性認知症の診断を受けた。診断後は、他人に病気を知られることが嫌で、9か月間家の中に引きこもっていたが、和菓子屋でアルバイトを始め、現在は週3日デイサービスにも通っている。診断前からの趣味であるインディアカ(球技)は今も続けており、気心の知れた仲間と過ごす時間を楽しんでいる。現在は妻と二人暮らし。
語りの内容
―― まあ、毎日、何か決まった習慣とか、お散歩するとか、何か決まった、体操するとかありますか。
インディアカ*という、あ、そうですか、あのー、体操ですけどね。体操っていうかな。
―― 運動。
運動ですね。
―― どんなものですか。
えーと、インディアカ、きゅう。
―― 球技。あ、ボールを使う。
球技ですね、ええ。
―― あ、どんな大きさのボールですか。
えーと、どれくらいのかな。
―― 割と小さい。
いや、これぐらいかな(両手の指で輪を作る)。
―― ああ、はい、それを投げるんですか。
そうです。
―― 投げる、取って投げたりとか。
そうです、そうです、ええ。
―― で、点数を競う。
そうですね。
―― ああー、どこでやっているんですか。
えーと、…どこ。
―― 近所ですか。
近いところですけど。
―― ああ、そうですか。で、お仲間がいらっしゃるんですね。
ええ、あのー、…友達がいっぱい、いっぱいということもないけど、ええ。
―― 何人ぐらいでやる競技ですか。
あ、競技は、4人、…4人、もっとかな、5人ぐらいかな。
―― 4対4とか、4人でやる。
4人から5人か、そんなもんかな。
―― で、その、インディアカのお友達。あ、そもそも、インディアカは、えーと、その、ご近所だからっていうことで始められたんですか。どなたかのご紹介いただいたんですか。
最初はどっから始まったのかね。ちょっと、もう(笑)。
―― 覚えていないかな。
うん、もう、うーん、だいぶ前からやっているから。
―― だいぶ前から、そのくらい昔からやっているんですね、もうずいぶん前からね。
ええ、ええ。
―― で、じゃ、その仲間に、特に、その、えーと、ご自身から、あのー、こういう病気の診断があるんだよっていうふうに説明したりしなくても、皆さんは、大体分かっている。
大体、分かっていると思います。ええ。
―― ああ、そういうことですね。はい、別に、でも、そのインディアカをやる上で、ご病気が、で、その認知症であることで難しくなることとか何かありますか。それ…。
あ、それはなかったですね。まあ、それで、みんな仲良くそれやって、うん、いたんで。
―― じゃ、楽しくできるスポーツなんですね。
そうです、ええ、ええ。
―― それは、とってもいいですね、そういうのがあるのね。
楽しみにしています、いつも。
えっと、友達が、やっぱりインディアカが好きな人しか、で、やっているんで、余計、あのー、楽しいというか、ええ。
*バレーボールコートを使って4対4で羽の付いたボールを打ち合う競技
インタビュー本人15
- 日頃インディアカという球技を楽しんでいる。診断を受ける前からやっているので、チームの人たちは気心が知れている。それほどハードではないので長く続けられそうだ
- 診断当時のことはもう忘れかけているが、嫌なことは嫌だったし、悔しかったこともあった。昔からの友達は今も遊びに誘ってくれるので、今はこういうものだと受け止めている
- 一人で出掛けて迷ったことがあるので、今は必ずかわいいお母ちゃんと出掛けるようにしている。文字も読むことはできるが書くのは苦手になってきた
- 認知症になるのは本当に苦しく、自分に対して怒(おこ)れてくる*こともある。ただ、最近はそういうことが減ってきた。同じ立場の仲間と話す機会が増えたからかもしれない
- 初めのうちは言いたいことはいっぱいあっても、外に心を開くことが難しかった。でもいったん外に出て周りの人と仲良くなれたら、認知症になっても人生が楽しくなる