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インタビュー時:61歳(2016年7月)
関係:妻(夫を介護)
診断時:夫60歳(インタビュー本人15 )、妻54歳
息子2人はすでに結婚して家を出ており、現在は若年性認知症の夫との2人暮らし。夫は2009年に診断を受けた後、しばらく引きこもってしまったが、自分は近所の人に診断を隠さずに相談していたことで、仕事と介護で疲れがたまって倒れたときにも、周囲に助けられた。夫は数時間でも妻がそばにいないと不安になり、イライラしてしまうので、現在はパート勤務の時間を減らして、なるべく夫と過ごすようにしている。
語りの内容
インディアカ*も、やっぱりだんだんとやれなくは、本人の前では言わないですけど、やれなくはなってます。迷惑はかけてると思うんですけど、みんなが、「いいよ、来て、来て」って言ってくださるから、うん、行って、楽しく、うん。みんなにはほんと、迷惑かけてると思います。
で、このー、認知症になる前は、内緒にしてたんですけど、やっぱり、ある程度いくと、やっぱりミスが多くなると、「○○さん(ご本人の苗字)、変ね」「変ね」って言うので、で、帰るときに「俺って変かなあ」とか言って、うん。で、「うーん、今日はちょっと疲れてたんで、変じゃない?」って。で、今度行ったときに、(本人には)内緒で、「こうなんです」って言ったら、みんなが、「うん、分かった」とか言って。それからは何も言わない。で、普通に、うん。「来てね」「来てね」って言ってくださるから、うん。
ほんとに、すごく、あのー認知症っていうのは、こう、ちょっと、こう、視野が、何か少しずつ狭くなってるみたいなのね。だから、食べるのにも、こう、目の前にあるものはすっすっと食べるけど、ちょっと横にあると分かんない、うん。だから、ミスが多いけども、やっぱり、うん。ラインを、こう、サーブするラインを間違えたり。するとみんなが、「そこじゃないよ。はい、もっと、後ろ、後ろ」とかいって、声かけてくださるし、うん。ミスしても、笑って過ごせる。
だから、みんな、周りが、こう、サポートしてくださるから、うん、スポーツでもご近所さんでもそうです、うん。だから、やっぱり、公表して、周りに、うん、サポートしてもらえれば、介護するほうも楽だと思います、うん。
それが一番。うん、隠して隠してね、サポートする、介護する人がすごくストレスためて、体調崩すよりいい。そのほうがいい、いいんじゃないかなとは、私は思いますけどね。
で、インディアカのこう、あのー、試合はもう主人は出ないんですけど、うん、私が、あのー、他のチームで出たりすると応援に来て、うん。で、みんなが「○○さーん」とか声かけてもらえるので、うん。普通に、うん。
―― そういう居場所がいる、あるってことでしょうね、要するにね。
そう、そうです。外に出て、居場所がある。
*バレーボールコートを使って4対4で羽の付いたボールを打ち合う競技
インタビュー家族38
- インディアカもミスが多くなってきているが、仲間は夫が認知症であることを知っているので、さりげなくサポートして居場所を作ってくれるので、介護する方も楽だと思う
- 40年来の近所づきあいがあるので、自分が倒れた時には近所の人が差し入れをしてくれた。夫に対しても「認知症だから」と思わずに普通に接してくれるのが嬉しい
- 仕事も自分から辞めると言い出し家にこもってしまった。散歩も迷子になって行くのをやめ、車の運転も操作ミスをして自分からやめた。認知症であることを知られたくなかったようだ
- 妻が家を空けると2-3時間でもイライラして、不機嫌になり口も利かなくなる。また、人前でできないことを指摘されるのを嫌がるので、外食時には気を遣う
- 何でも笑いに変えるのが毎日を穏やかに過ごすコツ。自分から笑いを誘うような言葉をかけると、夫も笑える言葉を返してくれる。笑いはすっと出てくる
- 夫は診断から9カ月家にこもりきりだったが、近所のお店で働くようになり、当初は病気のことを伏せていたが、1年ほどしてようやく病気のことを職場に伝えることを承知した
- 60歳で夫が仕事をやめた時は家のローンも残っていたので、貯蓄を切り崩しながら自分もフルに働いていた。そのため、失業保険や障害年金の受給手続きができなかった