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インタビュー時:72歳(2011年10月)
関係:妻(夫を介護)
診断時:夫75歳、妻68歳
2007年に夫がアルツハイマー型認知症と診断され、アリセプトの内服を始める。夫と三女夫婦の4人暮らし。他に娘が2人いる。妻は元薬剤師。夫は開業の外科医で、夫婦で外科医院を開業していたが、診断を受けて休院することになった。自宅介護を始め4年後より徘徊がみられるようになり、対応に苦慮して介護保険を申請する。要介護3と認定され、デイサービスを利用するようになる。
語りの内容
あのー、いなくなっちゃって、2回いなくなっちゃって。もう探しようがなくなって、「捜索願を出してください」ってて、お巡りさんに言われたんですね。で、写真と、よく分かる写真も一緒に出してくださいって言われて、そのときに本当にちょっと途方に暮れちゃったんです。かわいそうにと思って。そしたら、あの、娘が「お母さん、ココセコムどう」ってて、「そういうの付けたほうがいいよ」っていうふうに薦めてくれたんです。
そいで、付けまして、そのまだ、あと1回事件があって。昼中いるはずの人がいないんですよね。で、どこ行っちゃったんかしらと思って。そんで、もう、うちの周りもずっと探してもいないんです。ほんで、うちへ見えた人にも聞いても、あの、会わなかったとか、知らないとか言われるんですよ。で、怖くなっちゃって、で、ココセコムに連絡して、あの、「ちょっといなくなっちゃったんですけど、あの、探していただけますか」って言いましたら、そしたら、「ここの国道の○のほうに向かって、あのー、ガストと自由書房の間に、いますよ」って言われたんです、調べると。で、私、はじめ、走ってったんです、自動車で。いるかしらと思って眺めてたら、確かにいました。
そいで、私ね、もう救われて。ああ、お助けだわと思って。で、「どうしてるの」って言ったら、これから向こう、○のほうへ向かって歩いてくんだって。で、「そんなん駄目だから乗って帰りましょう」ってって帰ってきたんですけど、本当に、あの、ありがたかったです、ええ。探してくださって。その通りでした、いる先が。本当にだから、何かね、あの、月ね、500円ぐらいで自動振込で手続きしてくださったんですけど、あのー、助かります。
―― ああ、そうですか。
ええ。で、もう今はお守りさんのように…。あの、最初は違和感があってね、よく外して違うとこ置いてあったりしましたけど、今は、お風呂入るとき以外は、いつでも付けてます。で、1週間に1回、あの、充電するんですね。それだけのことだもんですから、本当ありがたいと思ってます。
インタビュー家族16
- アルツハイマー型認知症の夫は怒りモードになると対応に困る。そのときは処方されている疳(かん)の虫を治めるような漢方を飲ませると落ち着く
- 医師から勧められたウォーキング、旅行、絵、写経などは楽しみながらやっている。特に水彩画は3年経ったら画集を作るという目標もあって楽しみにしている
- 医師に薦められたので、毎晩午後9時半から10時半まで認知症の夫と二人で歩いている。外の風に当たって戻ってお風呂に入って休むとコテン、キュッと熟睡できる
- 夫は夜中に徘徊して警察の世話になったが無事に戻ってきた。本人は自分は夢遊病者になったみたいだと日記に書いていて、外に出ていくはっきりした理由はないようだ
- 娘に勧められて警備会社のGPS位置情報確認サービスに契約した。その後、日中に夫がいなくなったときに探してもらって、すぐに見つけることができた
- 主治医の勧めで介護保険を申請し、夫はデイサービスに通い始めた。本人も喜んでいるし、私も365日24時間体制だったので、救いの神と感謝している
- 医師だった夫は大学病院を受診するときには自覚がなく、自分の医院の休院手続きの際についた病名をみて不思議がっていた
- 夫が認知症とは信じられなかったので、本を10冊以上読み、当てはまること、当てはまらないことを色々と調べた。妻として落ち度があったのではと責任を感じることもあった