うん、人がいたらまだ冷静でおれるんですけど、2人だけのときに、もう延々と「えらい、えらい」言われると、なあ、怒るなあ、「えらい、えらい、言うな」って、うん。
認知症本人(妻):怒るんや。 (一同笑) 怒るんや。どつく。
どつくんのやな。
本人:どつくのや。
近寄るとおびえるんやな。
―― え、どつくってどんな、どんな感じ?
本人:バシンって。
―― へぇ、そんなふうにされるとどうですか。
本人:いやや。夫婦やから、もう夫にそんなことされたら(笑)。
長女:(笑)ラブラブやもんな。
うん。で、それもやっぱり、家族の会で、あの、奥さんがね、認知症の人、たくさんおられるんでやっぱり「そういう時期はある、あった」とか、その、あー、ね、「そんな教科書どおり、本のとおりに優しくはなれへん」とかいうのを聞いてるから。
本人:紅茶もらお。
怒った後とか、叩いた後、余計こっちが、したほうが落ち込んでしまうんですよね、やっぱりね。自分を責めるっていうか、うん。そんなことしたって、何の意味もないのに。でも、もうなあ、怒っとるときはな、もう。
本人:後でごめんねって言う。…後で「ごめんね」言うんですよ。
こっちがカリカリくる、うーん、カッカ、カッカなって怒ってても。
長女:こたえてないもんな。でも。
うん、にやにやするんですよね。で、余計もう「何がおかしいんや」とかって(笑)。なあ。
―― ああ、でも、今なんか、ちょっと表情悲しそうだったけどね。
うん、そやな。怒ると嫌やんな。
本人:怒ると嫌や。
うん、怒らんようにしようと思うけどもな。
本人:○ちゃん(夫)から怒られると一番ガクッとくるんや。○(次女)やらやったら…
まだ。ましなんか?
本人:うん。○(次女)も頭ぽかんてな。
そんな思い切りたたいてへんねんで。
本人:ほっぺ、びゅーんとつかんで。ぎゅうっと握って。