えーとですね、待ち合わせをすると、…「あ、分った、分った」って言うんですけど。本人が思い込んだ場所に待っているんですよ。だから、ちょっと場所が違ったりとかすることがあって、そういうことがあったり。あと、財布とか、定期入れとかいつも身につけているような物を、置き忘れてどこにいったかなってなっちゃったりとか、っていうのはありましたよね、やっぱり。でも、それ以外、うちのお父さんの場合、あの、何だろう、こう、ちょっと、どっか行ってしまったりとか、そういうことはないんですよ。だから、まだ、助かっているんですけど。もう、やっぱり、もの忘れですかね。うーん、そういう、……ぐらいですね、うーん。
最初はすごい不安で、あと、いらいらしちゃって、携帯で連絡とるんだけど、違うとこいたりとかっていうことだったりすると、怒っちゃったりもしていたんですけど。最近それを回避する術を、工夫で覚える、覚えてきたら、あの、多少ありますけど、でも、大丈夫になってきたんですよ。例えば、待ち合わせの場所に関して言うと、メモを渡す、それで、それを見て、それを絶対見て、そこに来てっていうふうにして、もう、紙を渡してしまってそれを見てきてもらうとか、もの忘れは、実は、トレイを1個用意していまして、そのトレイに、外出から帰ったりしたら、財布と鍵と定期と、えーと、ほかのもろもろの入れているポケットに入れているのを置くってことにしたんですよ。そしたら、そこに、あの、もし、失くしたと思っても、見ればそこにあるわけなんで。そういうこう、工夫を1個1個していくと、あの、収まってくるものって結構あって。だから、何か知恵を使うっていうのも重要だなと思って。で、いかに、本人をパニクらせないかということと、わたしもイライラしないようにするには、何があったらいいだろうっていうふうに考えるようになりましたよね。…そういうの、お勧めです(笑)。
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やっぱり、そうやって日にちがぼけてきてからはね。ま、とにかく、そうやって、もう、ほんとに、去年のね、11月1日に、町のほうで長年やってきたもんで表彰式があったんね。そのときなんか、やっぱり、昔のイメージは、自分の昔のイメージがすごくあるもんで、10月の15日から、毎日スーツ着て出かけるんですよ。夜中から起きてきて着替えして。そんな、きょう、何にもやと言っとると、あの、招待状をね、こうやって誰にでも見せてね。「実は、きょう、こうふうに書いてあるで」って。「違うってAちゃん、これは、11月1日やで」「そんなことねえ」って。でも、みんなほかっていかるけども(ほおっておかれるけれど)。
そういうふうでね、もう、15日間毎日そうでしたし、その月にちょうど町内の旅行がある、老人会の旅行があるって言ったときも、もう、28日、10月の末でしたのに、旅行の案内見せてもらったら、その日から5日間ぐらい、毎日、出かけたり、それをまた役員さんとこへ行って聞きに行くの。毎日。
―― そうですか。
「違う」って、「まんだ先なんで、わたしがちゃんとその日を教えてあげるでいい」って言っても、それがもう毎日。もう、頭ん中に入ってしまやね。
―― そうですねえ。
で、ある人が、「きょうは違う」ってカレンダー持ってみえや、「お前んとこのカレンダー違う、うちのカレンダー合っとる」とか、「ほんなんやったら、新聞、きょうの新聞」って(見せると)「その新聞が違っとる」ってもう喧嘩腰で。「もう、お前みたいなの来るな」いうてどんだけ近所の人に言われたかもしれない。
自分のオフィスがありまして、かなり大きかったんですけども、えー、今では何てことはないんですよ。えー…、10mぐらいのところでね、えー、どこ入っていったか、あ、あ、すいすいと自分ができたんですけども、えー、ゆっくりではないと、あ、おれはどこからどこまで歩かないといけないのか、というような感じを持ったことがあります。だけど、その後はね、それはもう、今でも、その、分かった時には、あー、何回もそんなことは全然なりませんでした。だけど、妻は、そういうことがあったということを知ってるわけだからね。で、いつもそういうことができなかった、できなかった、できなかったって言われますけど、わたしは今、今なら、すらすらできます。
―― あの、最初に、そのご病気のことっていうか、何かちょっといつもと違うなとか、あの、変だなっていうふうに感じたのはどういうことでしょうか。
いや、おれが感じたんじゃないんですよ。……本人はそんなに感じてないんですよ。ただ、周りから、
ちょっと、ま、忘れっぽくなってねー、なんつって。えー、自分では、そんなに、あの、ようするに、何ていうの、自覚症状として持ってないわけですよ。持っていたら、自分でも、ま、心配すると思うけど(笑)。ま、何だろうな、人から言われて、あそうかな、なんて。で、ほかのやつにおれが、忘れっぽいって言われんだけど、どうだ。「ああ、おれも、ちょっとそう思ったことがあるよ」なんて言われてさ。だんだんだんだん、これで、ちょっとそうかなとか。でもね、あの、心配してもしょうがないじゃないと、正直言って(笑)。それがね、認知症とか、ま、そういう言葉すら知らないときですからね。
まあ、……よく言われましたよ。あの、忘れ、忘れないようにするには、忘れちゃいけないことはメモしとけって(笑)。それは、それは、分っているんですけど、なかなか、その都度その都度なかなかできるもんじゃないじゃないですか。優先順位がついちゃったりとか、そうするとね、えー、例えば、1から10までだったらば、8番目ぐらいのものは忘れちゃうとかさ。ま、そういうことなのかなと思いながら。ま、病気という意識があんまりなかったですよね。
やっぱり、何ていうのかな、やっぱり、その日とかそのときだとか、その場面だとか、その人だとか、それ一つ一つによって、やはり考える、頭ん中でこう浮かんでくるものっていうのが、全部違うじゃないですか。ま、その辺は、何って言ったらいいんだろうな、…そっちのほうが重くって、で、ちょっとしたことは、もう、忘れてもいいというぐらいの感覚になっているときもありますね。そうじゃないと、頭の中で、もう、整理しきれなくなっちゃうというところがあったから。それは、ね、ま、……今、認知症と言われていますけど、実際に、その病気とは関係なく、あれもやらなきゃいけない、これもやらなくちゃいけないというものが、まあ、いっぱいあったわけですよね。
うちの場合は、物忘れはなかったけど、とにかく、何ていうかな、レビー型は、パーキンソン症状が現れるんですよね。それでこう、持った物を落としたり。そういうことがあったですよね。うちの親戚が神道だもんだから、榊(さかき)、葬式のときね。あれをこうやるわけ(玉串拝礼の仕草)。それが、できなくて、ぽとんと落としちゃったんですよ。それで、その妹が、「あんた、そんなことできないの」って言われて、それが、こう、自分はもうできないの分かっとって、それがショックみたいだったですね。それで、妹は分からんもんで、それで…かなり(きつく)言っとったで。あの、自分では悩んでいて、わたしが妹にこういう事情だって話したら、「ああ、悪かったね」って、「お姉さん悪かったね」って謝ったけどね。やっぱり、それが最初だったね。…茶碗を持っても、こう落したり、スプーンもね、そういうことで。
―― ちょっと教えていただきたいのは、その、混合型とかいうのもあるじゃないですか。
あります。
―― だから、今みたいなの(レビー小体型認知症の女性患者で最初アルツハイマー的な症状が出ることが多い)っていうのは、その、明らかにレビーで、絶対アルツハイマーじゃないのか、それとも混じってるのかとかって……。
やっぱり先生方に言わせると、やっぱり解剖してみないとこれはどうにも分からないことで、つい数日前にちょっと先生ともやりとりしてたんですけど、やっぱり解剖しないと、はっきり分からないものなんですよね。ところが、あの、現実、その病名を出さなきゃいけないので、レビー小体型認知症ということで、まあ、それかピック病、アルツハイマー病って、そういうことで、その、先生方も一応、それ、「何となく」をそこに置いて、診断したということにしてると。
ただ私たちは、レビー小体型認知症っていう、その家族会で、と、特化しているのは、やっぱり、あの、レビーの症状っていうのは、その、日内変動がすごく激しいっていうことで、ほかの認知症とはやっぱりちょっと違う。だから、身体症状とか、それから、どうしてそれが起きるのかっていうことはきちっと勉強してもらわないと、やっぱり、ケアするにしても、気を付けなきゃいけないことがたくさんあるんですよね。
それからしばらくたって、まあ、年も80超えたから、やっぱり体調もね、弱ってくるのかなあと思いながら、いたときに、ある日、その、父にご飯できたから、お昼ご飯だから上(2世帯同居の上階)来てって呼びに行ったら、「いや、あの、みんなにご飯出さなくていいのかね」って言ったんですよ(笑)。で、それで、みんなにご飯出さなくてって、誰か来てるのかしらと思って、で、ここ(両親の住居)1階なのでね、分からないから、もしかして私が知らないうちに本当に来てるんじゃないかと思って、で、慌てて下りてきて見たら、テレビに向かって椅子が全部こう並んでたんです。それで、「お父さん、何人来てるの?」って言ったら、7人だか8人だか来てるって。で、今、あの、「誰?」って言ったら、「会社の部下が来てるから」。で、ニコニコしてるの、喜んで。で、こっちはもう息が止まってしまう(笑)。で、ちゃんと椅子が並べ、ありったけの椅子をこう出して、丸椅子でも何でも出して、テレビが見れるようにしてあるんです。で、あれっと思って。そして、「もう、あの、何かお父さん、もういないみたい、帰っちゃったみたい」ったら、「ああ、そうか」って言うんです。「言っていけばいいのに」とかって普通なんです。何か普通にしゃべってるんです。で、あの、ご飯が終わっちゃったらもう何ももう気にしてなくて、で、私が椅子片付けて、で、父も何とも思ってない。
私はアルツハイマーの母とレビーの父を看て、で、レビーだった父は最後まで、その、やっぱり本人がいたんですね。あの、「自己」って言ったらおかしいですけど、本人がしっかりいて、きちっとコミュニケーションができてた。で、アルツハイマーの母の場合は、母は母でよく話せるし、父のように小声にもならないし、それから、あの、幻視もほとんど見ないし、でも、母は母ではあるんですけど、母じゃないんですよ。母らしさはあるんだけど、本来の母っていうのはどこかに消えてしまったんです。それをすごく、感じるんですね。で、もちろんこれはうちの母のアルツハイマーの場合と、うちの父のレビーの場合なので、またこれもまた皆さん、それぞれ感じ方、違うかもしれないけども、やっぱり、違うと思いましたね。
例えば病院の検査でも、うちの母だと、あの、アルツハイマーなので、MRIで「動かないで静かにしてください」って言っても、絶対無理。絶対動きますしね。で、「早く出して」って騒ぎますし。ところが、何か物をあまり言わない父に、その、「今日は検査があって、脳の検査でMRIを撮るから、これは動いちゃいけないから、じっと頑張ってね、動かないで頑張ってね」って言うと、「うん」って言って、その、動かずにきちっと検査も終了できる。で、あと、胃カメラの検査された方でも、「今日はこれを飲むから、頑張って」って、朝からずっとちゃんと説明をして、病院に行っても、もう間際まで説明すると、きちっとできるんですよ。そういう、その、細かいところなんですけども、レビーの方の理解力というのはかなり高いので、そういうところ、施設の方も、決してどんどん分からなくなっていく(笑)状況ではないっていうことを、皆さんに知ってもらいたいと、そう思ってる。
全然、そのアルツハイマーとか…脳血管とかの違いまで、まだ全然知識がなくて。で、テレビとかって、アルツハイマーの人ばっかり出るような気が、それと、最後は、何か「あーあー」とか言っちゃって(笑)…何かこう名前が分かんなくて「あーあー」って。ああ、あと何年後になるんだみたいな、何か恐怖というか、…感じですね、
で、定期検診のたびに聞くんですけど、やっぱ、忙しそうなので、じっくりも聞けなかったですし。それでも、ほんとに困ったとき、「どうしても話が聞きたいんだ」って言って。「夜、先生が終わるまで待ちます」とか何とか言って待って…理解しよう。やっぱ、父親のことを理解するのが非常に大変だったので、今、どうなっちゃているんだっていうのが知りたかったので、何か、夜、1回、時間をもらって聞きに行ったことがあったような気がするんですけど。
それでも、何か分からなかったんです、いまいち。とにかく、脳梗塞だけではない病になったっていうのは分かったんですけど。でも、何か、先生もはっきりしたことを言えなくて。ま、人によって症状が違うからこうなるとか、やっぱ、先のことがどうしても知りたくなってきたりして、いろいろ聞いても、「人によって違うから」とか。あとは、何か、「段階的に悪くなるから」、何か、「アルツハイマーではないから、こう、階段みたいな感じで、落ちるときにはカクンカクンて落ちて、落ちるまでは、ある程度一定の症状が続くから」みたいなことを言われても、…どういうことなんだろうみたいな。やっぱり、病気を理解するっていうことが相当大変でした。
アルツハイマーの人は、徐々に徐々に悪くなるっていう話だったんですけど、今でこそ、(脳血管性認知症の人は)段階を追って悪くなるっていう意味が分かって。きちっきちっとって言っていいのか分からないんですけど、薬も管理できるようになったし、食事もほどほど管理できるようになったので、病状は進んでないと思います、あまり。とんちんかんなままと、…あと、ちょっとトイレができないぐらい…が、8年ぐらい保てているんじゃないかな…っていう…気がしますね。
―― 記憶に関しては、そんなたいした障害はないんでしょうか
何か、あ、そこからなんだって思ったことがあって…。父親が一番最初に、53歳ぐらいで倒れて、その前に会ったわたしの友達っていうのは、覚えているんです。「はあ、どこどこの何々ちゃんだね」みたいに。そのあとに出会った、社会人になってから出会った友達とかでも、仲良くなればちょこちょこ来る子とかっていうのがいるんですけど、うちオープンなので(笑)。母と仲良くなっちゃったりして来るんですけど、覚えていないんです。…「へえー」とか言って。あと、うち自営業なんで、従業員さんがいて、父が倒れたあとに入った従業員さんがいたんですけど、お子さんを生むというので辞めて、でも、何か里帰りみたいなので来たときに、従業員さんなので、毎日うちに来ていたはずなんですけど、彼女のことは忘れていました。何か向こうが「ああー」とか「ショック」とか言っていたんですけど。
―― そうすると、今言ったことを忘れるとかそういうことはないんですね。
ああ、あんまりないですね。なので、よくテレビで見るアルツハイマーの人とかの違いってこっちは混乱…しますね。あの、数字系が強くて、いつ何したって意外に覚えているんですよね、びっくりするぐらい。あと、食事も覚えていますね(笑)。きょう、デイで何食べたっていうのも覚えていますし。……ただ、細かく聞いていくと、季節は分からないです、何だか、いつも「秋」って言う、いつ聞いても「秋」って言うんです、何だか知らないんですけど。