投稿者「dipex-j」のアーカイブ

認知症の語り

診断から1年半くらいは高次脳機能障害者向けのリハビリを臨床心理士の指導のもとで週2-3日受けていたが、効果が見られず、本人にとっても苦痛になってきたので病院を替えた

アルツハイマーの治療というのは基本的にはないんで、まあ、あの、一応薬を、抗認知症薬をまず、日本でまだ認可されているのは1種類しかない*ので、その抗認知症薬を飲んで、あとは、いろいろしても、それしかないんですけども、やることがないんで。あとは、脳のやっぱりいろんなリハビリ、高次脳機能障害向けの、一応リハビリを臨床心理士の方が毎週、週2日とか3日やってくださいました。それが大体1年半ぐらい続いたっていう感じですよ。

―― なるほど。その先生のところを移られたっていうきっかけは何かありましたか。

ええっとですね。あの、脳のリハビリについて、やっぱ効果がないっていうことと、まったく効果が感じられないっていうことと、やる意味がまあ、ないんだろうって、僕は考えて。あと、それはやっぱり、結構ストレスになってきたんで。あの、脳のリハビリ、脳のトレーニングが。ちょっとやっぱ本人も、苦痛になってきたようなんで、それをちょっとやめたいっていうことと。あとはやっぱり、今度は新しく移った病院があの、若年性のアルツハイマーの専門外来だったんで、そこにやっぱり移って、もう1回ちょっと治療の方も考えたいなと思いまして、移りました。

―― あの、脳のリハビリって、ちょっとイメージができないんですけど、具体的に言うとどんなことをするんでしょう。

いや、私見てないんですよね。高次脳機能障害者向けの、何か脳トレーニングみたいな感じだったらしいんですけど、いろんな。ただ、まあ積み木をやったりとか、積み木とか、あとは絵合わせとか、何かまあ、そういういろんな物を道具とか、まあ使いながら、脳の機能回復訓練、機能回復訓練と同じようなことをやってると思うんですよね。

*インタビューが行なわれた2010年5月の段階では、アリセプト以外の抗認知症薬は認可されていませんでした。

認知症の語り

知人の協力も得て認知症予防の7ヵ条の中から散歩と一口日記を実践している。一口日記のほうはあるとき「ありがとう」と書いていたので嬉しかったが、あとが続かない(音声のみ) 

まあ、最近ね、よくテレビでもやってるでしょう、認知症の。ほんで、あの、先般も認知症の、効果が出てくる、認知症、何かわたしメモ…したんですけども。その10ヵ条いうのを、7ヵ条か。7ヵ条あって、散歩をしましょう、交通機関利用しましょう、ほんで、一口日記(一行日記のこと)を毎日書くか、おしゃれをする。それから、新聞を声を出して読む、それから、うーんと、何やったね、あ、あ、うーんと、交友環境を広める。それから、もう一つ何かあった、あ、お料理。お料理が一番頭にはいいと。
この7項目をテレビでやっていたのを書いて、それで、主人に見せたのね。それ、全然、そんなもんね、見向きもしないけれども。最近ね、だから、あの、散歩…1人では絶対できないんですよ。でも、わたしの同級生が、あの、近くにいて、毎日ね、呼びに来てくださるんです。で、その他の人も、「散歩しょう、散歩しなあかん、散歩しなあかん」どれくらい言われるか分らんけども、自分と話が合わないと嫌になったり。だから、もう、わたしの同級生で心やすくしているから、で、その人たちが、毎日それこそ、3時か4時ごろに、ま、4キロ弱のところ、あすこへ連れて行ってくださるの。そういうのが、3月2月の終わりごろから、毎日続いているもんで、それで、すごく、ちょっと変わってきて。

―― そうでしょうね、うーん。

暮れからね、あの、一口日記も、わたしが、3月からもう、「頼む、一口でいいから」ってノート与えたんです。もう、とにかく、予定もカレンダーにも書かないし、で、あの、「書いて」って言ったらね、全然、書かなかったんです。で、この前も、あの、「給油はするけれども、一口日記を書いてくれたら、わたしが給油しますけれども」って書いたら、そしたら、そのときに、ちょちょちょって書いてあって、で、「給油してくれてありがとう」いうて書いてあったから、「あ、あんた、ありがとうって言ってくれたの、うれしいわ」いうて書いて。で、また(介護者が)ずうっと書いていたけど、まだ、か、(本人は)全然書けてない。

認知症の語り

昔ドリルをやっていたが、あれは一番嫌い。もう絶対やらない。

―― ほかには何か、よくなる、こういうことやったらよくなるかなと思って試してることとかってありますか。

あんまりないですね。はい。

―― あんまり。昔、いっぱいそういうドリルとか、やりました?

あれはもう、あれは一番嫌い。一番嫌い、ほんとに。

―― もうやらない?

うん。絶対やらない。ああ、あれだけはやめてほしいな。

―― ほかの人もじゃあ、あんまり、ああいうことやらされたらかわいそうですね。

うん、そうだと思いますね。はい…はい。

認知症の語り

ウォーキングが病気の進行を抑えるかどうかは知らないが、リラックスできるし、愛犬と土手を走ったり、世話をしたりするのは自分にとってもいいことだと思う(音声のみ)

―― そのウォーキングとか散歩とかっていうのは、その、少しは、進行を抑えるっていうふうな、そういうふうなことと関係もあるんですか。

いえ、どうですかね。いや、……リラックスはしますよね。で、ま、1人で行くっていうのもあるんですけど、うーん、ジョニーというね、小さい犬があるんですけど。それをやっていくと、また違った何ていうんですか感情っていうのかしら、うーん、そのジョニーを何、何ていうか、うーん、……うーん、……ま、ま、友達みたいなもんですかね、ああ。で、一緒に走ったりとか、あの、……多摩川の、あの、土手っていうのは、結構、急坂なんですが、そこを、こう、一緒に走って上がったりとか、何かそんなことをしながら、あの、…何、ま、ジョニーの世話をして、で、自分もほら、ウォーキングすれば、休みでもね、暇なときでもやっていけば、自分にとってもいいことだと思うし、気持ちいいんですよ。そんなことやっていますね。

認知症の語り

薬についてはいろんな考えの先生がいて、前の病院ではパッチ剤やアリセプト5ミリが処方されていたが、今の主治医は「アリセプト10ミリでもいいぐらい」と言っている(音声のみ)

8月でしたか、脳神経外科を2軒回りました。あの、パッチ剤、ここに貼るパッチ剤のお薬を処方されていたんですけれども、それが、豊橋の脳神経外科だったんですね。で、母は、やっぱり地元の病院の、長いこと、胃腸科でお世話になっている、そこの総合病院の院長先生がいらして、その院長先生に、「わたしは死ぬときは看とってほしいんだ。院長先生のところに行きたい」って言いだしたんですね、自分から。「じゃ、行こうか」って言って、もちろん、全然専門外なので、どうかと思って、思ったんですけれども。まあ、院長でいらっしゃるので、専門外のことも看てくださって。で、その先生から、継続して、その、パッチ剤と、あと、アリセプト、――パッチ剤で、途中から、増量したらかぶれてしまったもんですから、途中から、アリセプトにしたんですけれども。それ――その時期があって、…その時期が、その期間があって、それから姉が「やっぱり、専門医のところに行こう」って言って予約をとって、12月になったんですね。そうですね、そうです。
…いろんな考えの先生がいて、薬は減らしたほうがいいとかね、あのー、いろんな考えの方いらっしゃるみたいなんですけれども。まあ、その先生は、「アリセプト5ミリ、10ミリでもいいぐらいです」、で、あと、「漢方薬は、僕は、好きではありません」っていうはっきりしている方なので。ま、それはそれでお任せしてやっています。

認知症の語り

レビー小体型認知症にはアリセプトがよく効くが、パーキンソン症状を抑えるための薬も飲む必要があり、そのバランスが難しい。父は薬剤過敏だったので、ほとんど薬は飲めなかった

うちの父のときは、ちょうど過渡期って言ったらおかしいんですけど、診断基準の改定が少し出る前に、診断されて。で、まあ、アリセプトがいいっていうことは、アメリカの、レビーの研究のほうからアリセプトが効くっていうことが出ていて、で、アリセプトはもともとアルツハイマーのお薬ですけど、レビーの人にも非常によく効く。で、アリセプトが出たんですね。
で、そのときに、その、パーキンソンの症状を少し抑えるためにネオドパストンという、抗パ剤(抗パーキンソン剤)が出る。で、それを、まあ、今だから言えるんですけど、レビーの場合は、そのバランスを考えなくちゃいけないと。アリセプトのほうと、脳のほうと身体のお薬。で、それで、父の場合は両方とも、その、結局、副作用というか、薬剤過敏がはっきり出てしまったので、うちの父の場合は、もう、ずっともうほとんど飲んでないに等しいぐらい。で、ちょっとパーキンソニズム(パーキンソン症状のこと)がずっと強くなったかなっていうときはネオドパストン使ったりしましたけど。あと、病院に入院したときは、一応、あの、薬のことも病院が管理するので、そのときはネオドパストンがしっかり出ましたね。で、それで、あの、ずっと様子を見て。で、ただ、パーキンソニズムが出ないレビーもあるので、本当にその人に、よりけり、です、お薬は。で、そういう感じですね。

認知症の語り

幻視を抑えるために出されたグラマリールを飲んだ途端に動けなくなり、口からよだれを垂らして廃人のようになった。ネットで調べたら同様の症状の人がいた

ところが今度、幻視がものすごくひどくなったんです。その、まあ、見えないものが見えるという幻視がひどくなってきて、で、先生にちょっと、連絡を取って、そうしたら、まあ、幻視を抑える薬って、グラマリールっていうのが出たんですね。で、その、グラマリールという薬を飲んだ途端に父が動けなくなっちゃったんです。で、もう、口からはよだれが出て、廃人のように。そして、「この薬、本当にいいのかどうか?でも、先生が出してるんだから」っていうぐらいの認識しか私なくて。でも、あまりにもひどくて、もう、横にしたらもう、横になったきり、自分で起き上がれないし、昨日まで歩いてた人が動けなくなるのは、やっぱり薬のせいかなと思って、おかしいと思って。で、一生懸命ネットで調べて、ったら、たまたま、その、あの、グラマリールで動けなくなった人の話があったので、で、次のときに先生に、あの、やっぱりこれ、きついって、父には良くないって言ったら、じゃあ、やめましょうということで。で、だからってほかの薬が出るわけではないんですけど。で、その、幻視を抑えることが、もう当時は、私にも知識がなかったから、まあ、薬でしかできないだろうということだったんですね。

認知症の語り

レビー小体型認知症に抗認知症薬は劇的に効くが、次第に副作用が出て、飲み続けられなくなることが多い。家族会では薬の分量を微調節して穏やかな日々が送れているという話を聞く

あの、レビー小体型認知症の薬なんですけども、まず、一番、レビー小体型認知症っていうのは、薬剤過敏の方が多い、比較的多いと。全く何ともない方もいらっしゃるんですけど、割と、皆さん、薬に過敏で、で、うちの父の場合は、もう、今考えると、非常に過敏、なほうだったって、飲んでみてすぐ、その、症状が何か出てくるのでね、副作用って言っていいのか。
で、またうちの父の場合は、2004年にレビー小体型認知症ってされて、で、あの当時はやっぱりまだ、どのお薬がいいかっていうことはほとんど、決まってない状況でしたし、で、アリセプトは出たんですけども、アリセプトは、劇的に効くんです、レビー小体型認知症の方に。で、もう、何か普通の方に、普通のときに戻っちゃったぐらい、本当に元気になって治っちゃったと思うぐらいに、アリセプトは劇的に効くんです。で、幻視も軽くなったり、動きも良くなって。ところが、しばらくすると、何か症状が出てきて、怒りっぽくなったり、それから、よだれが止まらなかったり、まあ、あと胃腸障害が出てきたり、いろんな状況が見られるんです。
でも、アリセプトをずっと飲み続けても何ともないっていう方もいらっしゃる。そこが、あの、レビーの難しいところで。だから、「これがいいですよ」っていうことは言えないので、その人に合った、ものを調整してくしかないですね。
…で、今の、家族の集まりでも、新薬がほとんどメマリー、それからレミニール、イクセロンパッチ。で、そういう新薬が、皆さんそれぞれ使われてるので、で、それもその人に合った分量でっていうことで、うーん、皆さん、使い方も違います。でも、それを、微調節することで非常に穏やかな日々が続くっていうのは事実です。うん。…だから、何か、みんなで、レビー小体を消してくれる薬ができないのかなとか(笑)、そんなこと言ってますけどもね。

認知症の語り

アリセプトは以前に具合が悪くなった経験があり、レビー小体型認知症ならアリセプトと言われて受け入れられなかったが、経験者の話を聞いて第2選択の薬を試してみることにした

あのー、診断される前から、「もし、そうだったら、アリセプトですよ」って言われてたんですね。ところが、アリセプト、まだ、その疑いがあるときに飲んだことがあって、具合悪くなっちゃった経験があるんです。だから、アリセプトって言われた瞬間に、もう主人は「うっ」って感じだったんですよね。受け入れられない。でも、治療のほとんどはそこです、って言われたときに、薬も含めて、薬以外のものも含めた、あらゆる可能性を広げた対応を求めたら、その、大学病院では鼻でフン、ていう感じだったんです。「病院に来て薬以外の方法?フン」みたいな。
そこの、その対応ぶりで、実は落胆しちゃったんですね。しかも、あの、「具合悪くなったアリセプトです、可能性を開くのは」っていう…。「えー」って、それも受け入れがたく。だから、すごく重い気持ちで薬がなかなか入れられなかったんですけど、やっぱりあれこれと、家族会とかね、いろんな経験値のお話を聞くと、アリセプトが有用な第1選択、その次にっていう、第2選択いくつかある中の1つに、じゃあ、勇気を持ってやってみようかっていう、その時期がやってきたんですけど。

認知症の語り

アリセプトでもメマリーでもリバスタッチでもレミニールでも、必ず歩行障害につながる。この夏は転んで3回救急車で運ばれた。量を減らし、最後には薬を抜いたら、だいぶ良くなった

アリセプトにしても、メマリーにしても、リバスタッチっていう貼り薬ありますよね、最近では。それもあるんですけど、あとレミニールとか、4種類くらい試したんですけど、全部、歩行障害につながって。直近では、この夏、3回救急車で運ばれてる…転んで、ここで、フローリングで。転倒して、頭打って、フローリングなので真後ろからいくと、デン、デンってリバウンドするんですよね。そういうことが続いて、量とかも加減しながらだったんですけど、結果、あのー、認知症系のものが入ると、必ず歩行障害が起き、足元がこう、意識障害か、体の脱力を生み出し、それがパーキンソン症状のバランスの悪さと相まって、もつれて転倒みたいな。必ず転び方があって、真後ろにデン、デンっていくので、そういうことを経験してから、思い切って、抜いたんですよ。まあ、量を減らすこともやってみた。最終的に抜いて、そして抜いたら、よみがえってきたって感じですか。もちろん座り損なったり、こう、視覚の感覚がずれて、いすに座り損なったり、いろいろあるんですけど、そういったことも含めて、今はちょっと落ち着きかけてきたって感じですか。
だから、お薬だけに依存することを初めから求めてなかったので、お薬以外の、ま、介護のできる分野での本人の安心・安全の空気感、どれぐらい続けるかの中に、実はあの、薬以外の、認知症によいといわれる米ぬか活性療法とか、玄米療法とか、そういったものも、あのー、サプリメントですけど、わが家では取り入れることで、症状は落ち着いているっていう現実があるんですね。うん。