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診断時:79歳
インタビュー時:82歳(2014年4月)
2014年1月から長女一家の住まいに近いサービス付き高齢者向け住宅に独居。夫ががんで亡くなる(2011年2月)2,3カ月前からもの忘れとうつ傾向が目につくようになった。同年10月、大学病院で軽度の認知症と診断された。現在は、以前より続けている謡のお稽古、引っ越してから通い始めたフラダンスのレッスンに週に1、2回通い、愛犬とともに散歩を楽しむ生活。まだ公的サービスは受けていない。
語りの内容
――例えば、こんなことをすると(認知症の進行が)防げるのかなみたいなことで、やってみられたこととかありますか。
そう、防げるっていうのはあんまりね、考えたことないんですけど。防げるっていうのか…うーん、まあ、そうね。特に自分で何をこういう事をしたら防げるんじゃないかなって、そういうことは考えることないんですけどね。でも、何か、新しいことを見付けなきゃいけないなっていうのはありましたけどね。うーん、今までどおりやっていると、もう、だんだん慣れでね、考えることもなくなるからって。
だから、まあ、あのー、お稽古ごとでも、お謡なんかやっていれば、新しい曲を覚えなきゃいけないから、そうするとそれに対して、まあ、今までと違うやり方がいっぱい出てきますからね。だから、そういうのをやるのも一つのあれかなと思って。だから、お謡だけは、もう絶対にどんなことがあっても辞めないわと、自分で、それは、思ったことあるんですけどね。それが、まあ、声も出すっていうことは、自分の、あのー、何かのうっぷんを、こう、晴らすっていうのかしら、気持ち、気分的にもいいんですよね、大きな声を出して謡っているっていうのはね。でも、まあ、傍迷惑かもしれないですけどね、それは。でも、謡をやって、わたしはこれをやっていてよかったわっていう感じはありますからね。だから、何か一つこれ今までやっていたところで、新しくやるっていうのは、なかなか大変ですけどね。今までやっていたことを継続するのはいいんじゃないのかなとか、そういうのは考えたことありますけどね。だから、ここで絶対やめてはいけないわと思ってね、やっているんですけどね。……。
インタビュー本人10
- 認知症の進行を防げると考えたことはないが、これまで習っていた謡の稽古は、大きな声を出してうっぷん晴らしにもなるので、絶対やめてはいけないと思っている(音声のみ)
- 自分はまだ一人暮しできると思っていたが、娘が週に何度も車で50分くらいかけて通ってくるのがかわいそうで、娘の近くのサービス付高齢者向け住宅に転居した(音声のみ)
- ずきんとくるような言葉をかけられ、そこまで言わなくてもと思うこともあるが、自分も同じ立場だったら親がぼけてきたら気が気じゃないだろうと思う(音声のみ)
- サービス付き高齢者向け住宅では3食付なので料理をしなくなり寂しい。余計認知症が進むのではと不安だ。犬と一緒に外に出る機会があってよかった(音声のみ)
- このサービス付き高齢者住宅には自分で生活できる人ばかり住んでいるが、いつか病気になったり寝たきりになったりしたらどうなるかなと考えることがある(音声のみ)
- 自分でも「あの人は認知症なんだ」と思うと、その人が普通にやっていることもおかしく見てしまう。だから、自分から認知症だとは言わないほうがいいと思う(音声のみ)
- 普通に接してくれるのが一番ありがたい。本人が気づかずおかしいことを言ったりやったりしていも、さりげなく教えてくれるのが一番ショックがなくて良い(音声のみ)
- 認知症という言葉を聞いて、この先、人に迷惑ばかりかけるようだったら早く死んでしまいたいとも思った。生きていくのに色々と理由付けを考えた(音声のみ)
- 年を取ってみんながみんななるものじゃないが、病気と思えば仕方がない。結構優秀な人でも認知症になるというから、凡人がなるのはもうしょうがない(音声のみ)
- 今まで考えなくても手が勝手に動いてくれたのに、今はなにかをやっていて一瞬立ち止まってしまうことがある。すごく寂しい(音声のみ)