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インタビュー時:48歳(2010年10月)
関係:次女(実母を介護)
診断時:実母80歳、次女46歳
2008年に実母がアルツハイマー型認知症と診断され、2人暮らしで自宅介護をしている。母は週4回デイサービスを利用している。次女は企業の健康管理センターに勤務。診断を受けた当初、症状を悪化させたくない気持ちから、母に脳トレや機能低下防止の体操等を強いてしまったが、母の気持ちになって考えられるように変わろうとしているところである。嫁いだ姉がいる。
語りの内容
―― その、最初に、その、(認知症と)闘うっていうふうに思われたとき、あのー、いろいろ試されたこととかってあるんですか。
ありますよ、もう。ほんとにあります、もういっぱい。その、大人の練習帳とか、こう、ドリルを買ってきたりとか。もう、あの、朝、毎日わたしが出勤の前に、お母さん、6時ぐらいに起きてもらって、散歩に行ったりとか。あとは帰ってきてから、わたしが帰ってきてから、夜に、こう、ちょっと体を動かすようなことを、スタジオみたいにしてストレッチやったり、リズム体操やったりとか、機能を落とさないようにするようなことをしたりとか。母親は母親で、ま、自分もちょっと、あの、自覚があったので、編み物。編み物すごい得意なので、「手先を動かすといいのよね」っていう感じでやったりとか。
もうほんとに、今思えば、そういうことやっちゃいけないというようなことは、結構、あの、子どもに宿題をやらせるのと同じような形で「今日、やったの」って。帰ってきたら、「ここ、やったの」っていうような形でやらせてしまっていましたね、はい。
―― その、子どもにやらせるようなことをやってしまってた、っておっしゃってたんですけど、お母さま自体はそれに対して抵抗感は?
もう、とても強くありましたよ。もう全然進まなかったですからね。やらなかったですね。明日やるからとか、あー、うん、言って。その練習帳とか、計算ドリルとか、脳を若返らせる何とかとか、そういうことはほとんどやんなかったですね。ただ運動は、もう週末とか朝の運動は…割と続けてましたけど。「もう今日はいい」。わたしがすごい早く起きて「行くよ」って言っても、「いい」って言われちゃうので、ちょっと続かなくなって、やめてしまいましたけど、はい。
インタビュー家族09
- 認知機能が落ちないよう大人の練習帳を買ってきたり、一緒に体を動かしたり、編み物をさせたりしたが、子どもに宿題をやらせるような態度に母が抵抗したのでやめてしまった
- IHにしているので火の心配はないはずだが、母が電子レンジに電気器具を入れてしまうのではないかなどと考え、帰宅時には家が燃えていないか不安になる
- 母は週4回、通所サービスを利用している。デイサービスとリハビリ中心のデイケアに2日ずつ行っていて、認知症専門デイサービスは認知機能を維持するための日課がある
- 早期に治療すればよくなると思っていたので、認知症と闘うことばかり考えていたが、今の医療では治すことが難しいとわかり、闘うより受け入れようと気持ちを変えた
- 日中、母の安否を定期的に画像確認できる設備や地域コミュニティーで看てくれるような制度があれば、安心して働ける。介護者はどうしてフルタイムで働けなくなるのだろうと思う
- つい常に前向きにチャレンジするという自分の価値観を母にも押し付けてしまう。自分を変えることが自分の認知症との闘いだと思う
- 認知症になった母親を受け入れられず、本人が「死にたい」と言い出すまで追いつめてしまった。大好きな母に長生きしてもらうために、自分が変わろうと思った