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インタビュー時:63歳(2017年3月)
関係:次女(実母を介護)
診断時年齢:実母89歳、次女53歳
2001年頃、当時84歳の実母と同居していた兄弟の転居をきっかけに、自宅近くの軽費老人ホームへ母を呼び寄せた。脳梗塞の後遺症で認知症の兆しがあった母は、89歳で症状が悪化(アルツハイマー型と診断)し、介護老人保健施設に入所となる。以後、老健と在宅とを往復しながら、夫と協力して母の介護をしている。在宅のたびに状態が悪くなる母をみて落ち込み、在宅は無理だと悩む一方、勤めに出ていないのに老健を利用する葛藤も抱えていた。
語りの内容
特に母の場合は、在宅になると何か転ぶとか。ここでもそうですけど、あのー、立ち上がるときにふらっとよろめくというか、あのー、目まいって、本人は目まいって言うんですけど、何か目が回るとかって。
1度、あのー、何ていうかなあ、精密検査を受けたんですが、おっきな病院で。そのときは、何か腎臓機能かどっかが、うーん、薬の、今まで飲んでた副作用か何かで、何か弱くなってて、その原因が、それが原因じゃないかっていうような。うーん、そのー、立ちくらみっていうか、なのでもう、寝てた人が起き上がって、トイレに行くとか、あの、車椅子に乗るにしても、そのときは一旦、まあ、何ていうかな、ベッドから下りる。一旦、まあ、しゃきっと立たなくても、一応、そのー、足を地に付けるっていうか、そのときにふらっとしたら、車椅子に座る前にそれが起きたら、それこそ母がトイレ行くたんびにドキドキっていうか、するので。
それと、何ていうかな、在宅になると、ここ(老健)で飲んでる薬よりも少し薬の量が増えるんですね。まあ、主治医が良かれと思って処方されるんですけど、どういうわけか、うーん……、その薬が多すぎるっていうわけではないんですけど……その、アリセプト、アリセプトだっけ、うーん、それも何か母にとっては、副作用が出やすかったりいろいろするもんですから。なんせ、あの、在宅になるとすごい不安がいっぱいです。
―― 今何か、アリセプト飲んでらして、何か副作用ってちらっとおっしゃったんですけど、それは、その目まいみたいのが副作用ですか。
あのー、アリセプト、何か何ミリ、何ミリとかってあって、このー、当初、1週間か2週間かちょっと分からないんですけど、何ミリを最初に飲ませると。それで1週間から2週間たったら、そのー、ミリ数を少なくするのか多くするのか、どっちか分かりませんけど、母の場合は、そのー、それを多く、当初はいいんだけど、多くしたら何か妙に副作用が出て、吐き気とかいろんな症状が出て、あ、おばあちゃんには何か合わないみたいですねえみたいな。でも、何か飲ませたいんだけどみたいに、主治医の方はおっしゃるんですけど。そのー、何ていうかな、老健施設で飲まなかったものを、いきなり飲ましたらそういうことになるのかなあと思ったり。ちょっとその薬の効き目については個人差もあるし、特に、そのー、認知症のお薬だからどういうふうに効いてくのか。まあ、Aさんが効いて、その症状が改善されてきたものが、まあ、うちの母にとったら、まあ、合わなかったっていうのか。まあ、その辺のところは個人差もあるし、何とも、うーん、飲まなかったほうが良かったのか悪かったのか、うーん、それも、アリセプトって老健に来たらそういうお薬は飲まないので……。在宅に戻ってから、さあ、飲みましょうって飲んで、それが効果的なのかどうかっていうか、そんな思いもあるし。何か認知症って奥が深いなあっていうか、うーん。
インタビュー家族39
- 自分の親を他人に預けることには葛藤があったが、自分がつぶれたら在宅も何もない。老健は在宅復帰を目指す施設なので、時間的に短くても在宅でみる努力を続ける気にさせてくれる
- 小学校高学年の頃父母と川の字になって寝ていた時に、病弱だった父が母に俺が死んだらどうする?と言っているのを聞いた。子ども心に母の面倒は自分が見るという使命感を抱いた
- 在宅復帰するとめまいがして転倒しやすくなる。老健ではアリセプトが出ていないのが、家に帰ると出されるので、薬の副作用かもしれない。特に増量すると吐き気が出るようだ
- 最初のケアマネは困っていることを一緒に背負ってくれる感じではなく、住宅改修業者も勝手に選定されて信用できなかったので、包括支援センターに穏便にケアマネを交替してほしいと頼んだ
- 在宅の時は週6日デイに行っていて2カ所3日ずつだったが、食事の内容や職員のスキルなど事業所ごとの差が大きい。いいと思うほうのデイに6日行かせたいが、空きがない
- 3年前、在宅に戻って4日目で転倒し大腿骨を骨折してから在宅で看るのが怖くなった。昨年の在宅期間も「魔の4日間」が過ぎて、1週間、10日過ぎたと思ったら下血が始まった
- 在宅での看取りは正直言って怖い。100歳を超えて今日は元気でも翌朝亡くなることも不思議ではなく、覚悟はできているが在宅でそれが来るのはつらい。施設に預けるほうが不安はない