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インタビュー時:56歳(2010年12月)
関係:長男(実母を介護)
診断時:実母83歳、長男54歳
2007年に実母がアルツハイマー型認知症と診断される。アリセプト内服中の母は独居。介護職を専門として勤務している長男が週末に1泊して遠距離介護を行っている。主として介護の実務を行っているのは県内に住む姉で、週5日通って介護している。ショートステイやデイサービスを利用しても、週1日は母親が1人になってしまう。将来を考え、入所を勧めたいが、姉が反対している。母親も入所を希望しており、時間をかけて姉を説得中。
語りの内容
もうちょっと自分のことを大事に考えてほしいなって。シングルですんでね。これが子どもがいたりね、あのー、だんなさんがいたりしたら、また別なんですけど、彼女(姉)は1人もんなんで、そこいら辺ももうちょっと、だから、どうしてこう、もうちょっと先を見ずに、今、今を見るん。今も大事やけど、今と同時に、もうちょっと先を見とけへんかったら、だから介護者っていうのはきっとそういう家庭、結構多いと思うんですけど、自分はそういう仕事にかかわったからだけじゃない…(かかわった)からかも分かりませんけど、あの、やっぱり、今、今半分、先半分ていう感じで、もう済んだことしょうがないんで、もうね、絶対帰ってきんへんから、しょうがないんで。今半分、先半分ていう視点で物を見とけへんかったら、絶対しんどいと思うんですよ。
―― そうですよね。
だから、僕の悩みちゅうのは、だから、姉がやっぱり燃え尽きてもろたら困るんで。そこにあんまり加担、があっと加担していってたら、おばあさん死んでまったら、姉自体がものすごく、こう、ダメージ受けるんちゃうかなっていう気分あるんで。それも、こないだの時に、ま、それは自分で言うてました。やっぱり、社会とのつながりを自分で持っていって、それは友達にアドバイスされたみたいです、同年代の。社会との、そのかかわりをきっちり持っとけへんかったら、そういう介護生活なんか送ってて、その、要するに、要介護者が死んだときにね、ものすごいダメージを受けるんで、っていうのを友達から言われたみたいです。
だから僕も、そのとき、友達から言われたっていう話を自分から切り出したもんですから、「そうやで」って。「あんた、自分のこともよう考えとかんと、あんたももう、ええ年なんやから」、あの、その、「今、その、おばあさんをこう、見てるという、そこに酔いしれてたら」、ちょっと言葉悪いけど、「あかんと思うよ」って。やっぱり、自分ちゅうのをもうちょっと、自分の生活ももっとこう、大事にしてきへんかったら、その、その、今も含めて、先も含めて、きちんということになるから、もうそろそろ今からそれを、まあ「それは友達にも言われたんや」とは言ってました。
インタビュー家族10
- 父が亡くなって一人暮らしをしている母を訪ねたとき、いつもと様子が違う感じを受けたが、1年ぐらいは気のせいかと思ってそのままにしていた
- 母の物忘れに気づいて、ひょっとしたらと思いつつ、もう少し様子見ようかと思ったりして、葛藤しているうちに、病院に行かないで1年ほど時間が経ってしまった
- 1回目に問診と絵を描かせる検査をした時点でまず認知症に間違いないと言われたが、確定診断のために放射能を含む薬剤を使った血流検査を受けた
- 母は半年ほど前からアリセプトを飲むようになって、進行が止まっているように感じるし、表情も以前に戻ったような感じがしている
- 家を売るのも簡単ではないので早めに決心して、母を施設に入れる準備をしたいが、姉は意見が異なる。月1回ケアマネと3人で会って話し、姉の心の整理がつくのを待っている
- 母を週4-5日介護している姉が心配だ。姉は母が死んだら燃え尽きてしまうかもしれない。姉も友人から介護生活だけでなく社会とのつながりを持つように言われたと話していた
- 認知症のDNAはあると思うが、それ以上に父が亡くなって母一人となり、さびしい山奥に残したことが病気を進行させたのではないか。母に悪いことをしたと思う