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インタビュー時:67歳(2020年8月) 
関係:妻(夫を介護) 
診断時:夫61歳、妻57歳

公務員の夫は配置転換後から辞職を口にし、妻との合意もないまま、半年の休職後に54歳で退職。その後も無為に過ごす夫にストレスを覚えた妻は訪問ヘルパーの仕事を始め、互いに干渉しない生活の自由を一時は楽しんだ時期もあった。しかし、夫の動作や発言に異常を感じ、大腸憩室炎で入院時(61歳)に全身の検査を勧めてもらい、前頭側頭型認知症と診断された。娘と二人三脚の在宅介護で穏やかに過ごしたが、7年後に夫は歯磨き中に倒れ、寝たきりとなり入退院を2回繰り返し、心機能低下により69歳で逝去。自宅で看取った。

語りの内容

主人もこう、決まった時間に家を出るようになって。それで決まった時間に、9時45分になると家を出ていって、12時15分になると帰ってくるっていう生活が毎日続いて。それでもう、あのー、お互い自由に生きていった時点で、えーと、夕食は私が作るけれども、もう朝とお昼は自由に好きな時間に自分たちで食べましょうということで、ま、私も夕飯以外、作らなかったんですね。それで、そのときに主人がそれでいいってやっぱり言ったものですから、もう、でも何を作るかなと思って見てたら、毎日、卵焼きとウインナーを焼くんですよ。それで、そのとき、ウインナーも決まった銘柄のウインナーじゃないと怒るんですね。
それで卵焼きを焼いて、ウインナーを焼いて、毎日それを食べて。それで、「お父さん、冷蔵庫に他の食材もあるのに毎日同じなの?」って聞いたら、「そんなの俺が食べるのに、おまえに言われることはない」と、「俺が好きで食べてるんだから、いいだろ」っていうことで言ったんですね。それで、それを思ったときに、まだ現職で仕事をしてる頃に3カ月間、冷やし中華を食べ続けたことがあるんですね、夏に。それで、あの、ご近所のお友達が「いいわね、いっつも冷やし中華で。夕飯決まってるからメニュー、簡単でいいじゃない」って言って笑われたことあるんですけれども、今思うと、それがやっぱり病気の一歩だったんですけれどね。

それで帰ってくるときに自分のお昼を食べる食材を買って、それで12時15分ぴったりに帰ってくるんですよ。それでパチンコに行って、えー、そんなもうかってるときに、ぴったりぴったり帰ってくるのがおかしいなって思ったんですよ。それでいっつも、あのー、それを普通だったらば、お金に換えてまた次に使うとか、そういうのが多分あったんでしょうけれども、それもやっぱり主人の多分その病気のこだわりだったらしく、まあ、お砂糖を持ってきたり、おしょうゆを持ってきたり、もうそういうものを持ってくるんですね。
だから主人的には後ろめたい気持ちがあって、私のためにと思って持ってきてるのかなって思ったりもしたんですが、それがやっぱり異常だったんですよ。お砂糖となったらもう、「要らない」って言っても持ってくるんですね。それでもうご近所に配ってあげるほど、お砂糖、おしょうゆ、油、そういうのがもう決まってて。それである程度私が言っても、あのー、「そんな、人がせっかく持ってきて文句を言うのか」みたいに怒るんで。もう、うーん、主人がなすがままに放っておいたんですね。

私は: です。

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