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インタビュー時:58歳(2012年5月)
関係:三女(実母を介護)
診断時:実母86歳、三女53歳
2008年に実母がアルツハイマー型認知症と診断され、アリセプトの内服を始める。実母は長男夫婦と同居の3人暮らし。三女は通いで日曜日を担当。主に認知症の実母を支えている家族は同居の長男の嫁であるが、通いで次女も分担し、時々四女も手伝う。デイサービスを週3回利用。ホームヘルパーの資格をもつ次女、送迎は長男や次男と、家族で協力し問題解決してきた。
語りの内容
―― あのー、例えば、何度も電話をされるとか、同じ物を買ってこられるとか、そういうことが分かったときに、あの、お母さまはそのことをどういうふうに受け止められていたと思われますか。
その時々によって違って、まあ、最初はもちろん否定していましたし。ただ、そのことが、あの、意識が明瞭っていうか――まだらぼけみたいなところは多分あったんだと思うんですけれど――あの、はっきりしているときはやはり、その、自分が同じ物を買ったりとか、同じことを、聞いたりとかする…そういうもの忘れがひどいということに気がついて、すごくショックを受けて、そして気落ちする。そして何かこういう状況で人に迷惑かけるんだったら、長生きしてもみんなに迷惑かけるっていうことで落ち込むことが多々ありました。
まあ母が、かわいそうだなって思うのは、あの、これは認知症で、その、食事をしたこと忘れたりとかって、それから、その、お金の管理のことがどうなってるのか心配になったり、ということがあるので、そこの部分を例えば、今日の夕飯、行ったときにお昼一緒に食べて、「夕飯の準備はしてくれてる?」、「買い物してくれてる?」、「あれ買ってきてくれてる?」っていうふうに心配しないといけない。そういう母がちょっと、とてもかわいそうだなっていうか、気の毒だなと。そういう先に対する不安をなくすように、「夕飯はお姉さんが準備して持ってきてくれるから大丈夫よ」っていうのを、えーと、1、2回言っただけでは、あの、落ち着きませんので、繰り返しそれを質問したりとか、確認するので、何度か言ううちに、「あ、お姉さんが作ってくれるのよね」って言って、「よく頼んどいてね」っていうふうに、あのー、ま、変化していくと。ただ、その過程の中でそういうふうに不安に思うっていうことは、まああの、何、何と言うか、切ないかなというふうに思います。
インタビュー家族23
- 継続的に診てもらっていて、主治医は母のことをよく知ってくれている。診断に疑問を感じているが、確認してどうこうということでもないので、そのままにしている
- 母は意識がはっきりしているときは、自分のもの忘れがひどいことに気づいて、長生きしてもみんなに迷惑をかけると落ち込んでいた
- アルツハイマー型認知症の母は、電話で何度も同じものを注文してしまうので、注文先に事情を説明して、トラブルが起こらないようにしている
- 普段、同居の兄嫁が母を介護しており、姉が通って手伝っている。自分や妹も時々行って世話をする。男のきょうだいも直接ケアはしないが、送り迎えなど協力してくれる
- 母の介護を日常的にしている兄嫁は、デイサービスがあってもやはり拘束感があると思う。母の介護から丸っきり解放される時間を作れるよう、月1回は姉が母を預かることにした
- 知識はあって「ダメ」とか「また」とか言っちゃいけないと理解していても、疲れてくると優しく対応できなくなる。親子の関係だと近いから言い過ぎるのかもしれない