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インタビュー時:61歳(2016年7月)
関係:妻(夫を介護)
診断時:夫60歳(インタビュー本人15 )、妻54歳
息子2人はすでに結婚して家を出ており、現在は若年性認知症の夫との2人暮らし。夫は2009年に診断を受けた後、しばらく引きこもってしまったが、自分は近所の人に診断を隠さずに相談していたことで、仕事と介護で疲れがたまって倒れたときにも、周囲に助けられた。夫は数時間でも妻がそばにいないと不安になり、イライラしてしまうので、現在はパート勤務の時間を減らして、なるべく夫と過ごすようにしている。
語りの内容
4~5日前も、あのー、具合悪いからデイを休んだんですね。で、私は仕事、行かなくちゃいけないので、仕事行くのに、「1人でいるんだよ」って(夫に)言ったら、「嫌だな」って言ってたんで。で、まあ、私も仕事行って、あの、「主人が調子悪いので、きりがついたところで帰らせてもらいます」と言って、3時間ぐらいで帰ってきたんですね。たら、機嫌が悪いです。で、「どう、調子は?」言ったら、「俺はどこも悪くない」。
で、あのー、ちょうどあのー、血圧の薬がちょうどなくなってたんで、午後の、あのー、診察に行く予定だったので、ま、早めてお昼の診察に連れて行ったんですけど。「俺はどこも悪くない。何で行くんだ?」とか言って。まあ、「血圧の薬をもらいに行くから行くんだよ」とか言って。もう、口をきかないんですよ。機嫌が悪くて。
――先ほど見て、とってもにこやかにお話されてるので、そういう不機嫌な様子、想像がつかないんですけども、やっぱりそういうことが。
機嫌が悪いというか、もう、顔を見たら分かるんですよね。もう、口をぐっとつむんで、一言もしゃべりませんから。
だから、午前中でももう1人ではおれないから、午前中デイ、「デイで午前中預かってもらえないですか」って言ったら、「いいよ」って言われて。で、午前中預かって、午後から家族会に行ったり、うーん、そうしないともう、ほんとに2~3時間ぐらい1人でおるのも駄目なので。やっぱり、そうすると、もうイライライライラして。
――そういうところが、まあ、変化。
そうですね。
――一番大きな変化みたいなとこですかね。
だから、それを踏まえて、だんだんとこっちも、あ、こんなんしたら機嫌悪くなるなと思うから、もう先に先に、こういうことはやらないようにと思って。
――特に気を使、気にしてらっしゃるってか心配、あのー、これは絶対しちゃいけないっていうのは、今おっしゃったような1人で置く時間を無くす。
もう、無くす。
――一番大きな問題ですかね。
そうですね、うん。と、人前でできないことを、こう、指摘されるのが嫌みたいですね。
あのー、食事してても、あのー、これを食べて、これを食べてとか、うん、外へ行って、外食してて。だけどあんまり言うと嫌がるので、もう先に、もう切りわけして、すっと食べれるように、うん。あのー、フォークとナイフは使えないとか、そういうのがあると、もう先に箸を用意しといてもらうとか、そういうふうに。人前であんまり指摘すると嫌がる。だから普通に、もう、普通に食べて、うん。まあぐちゃぐちゃでもいいやと(笑)。
インタビュー家族38
- インディアカもミスが多くなってきているが、仲間は夫が認知症であることを知っているので、さりげなくサポートして居場所を作ってくれるので、介護する方も楽だと思う
- 40年来の近所づきあいがあるので、自分が倒れた時には近所の人が差し入れをしてくれた。夫に対しても「認知症だから」と思わずに普通に接してくれるのが嬉しい
- 仕事も自分から辞めると言い出し家にこもってしまった。散歩も迷子になって行くのをやめ、車の運転も操作ミスをして自分からやめた。認知症であることを知られたくなかったようだ
- 妻が家を空けると2-3時間でもイライラして、不機嫌になり口も利かなくなる。また、人前でできないことを指摘されるのを嫌がるので、外食時には気を遣う
- 何でも笑いに変えるのが毎日を穏やかに過ごすコツ。自分から笑いを誘うような言葉をかけると、夫も笑える言葉を返してくれる。笑いはすっと出てくる
- 夫は診断から9カ月家にこもりきりだったが、近所のお店で働くようになり、当初は病気のことを伏せていたが、1年ほどしてようやく病気のことを職場に伝えることを承知した
- 60歳で夫が仕事をやめた時は家のローンも残っていたので、貯蓄を切り崩しながら自分もフルに働いていた。そのため、失業保険や障害年金の受給手続きができなかった