インタビュー時:76歳(2020年6月) 
関係:妻(夫を介護) 
診断時:夫67歳、妻65歳

共働きで夫婦2人暮らし。夫は50歳で1型糖尿病と診断され、56歳で退職した。67歳、糖尿病教育入院時にはアルツハイマー型認知症、翌年、画像診断で前頭側頭型認知症と診断された。血糖値不安定のまま、70歳前後で弄便(ろうべん)や不潔行為、昼夜逆転が始まった。親身になってくれたデイサービス施設が小規模多機能型居宅介護施設になったことを機に、看取りまでをお願いした。腎機能低下により76歳で逝去。

語りの内容

弄便(ろうべん)ですか。不潔行為とか、そういうことがしょっちゅう出てくるようになったんですね。それで、ヘルパーさんも、日にちを増やして、朝、見てもらったりしながら、だいぶ、お手上げだったこともあったんだろうと思いますが、私も当然一緒になって見たりして。そうすると、不潔行為みたいなのは並じゃなく、その一部屋。もう私はもう部屋を分けて、何年か前からもう部屋分けて自分一人で寝るようになってて。もうどう不潔行為しようが勝手だよっていうような感じでいたんですけども。
朝行くともう部屋の中がくさい。シーツは、茶色、掛け布団は汚れてる。壁は汚れている。周りには落ちている。手は真っ黒。それで手を頭へやる。つかみ出すんですよね、気持ち悪いからね。部屋にあって、整理の引き出しなんかの中に入っている。ゴミ箱に入ってる。クロークに入れている(笑)。ちょっとたってから、気が付いたらカーテンにも付いている。それで、上掛けはカバーをしてたんですが、もうカバーいちいちやってられないんで、それはやめにして。で、毛布のね、ちょっと厚めぐらいのを買って、それで直接もう、洗濯をする。そういうようなことじゃないと対応できなくなってしまって。それで、ずーっとそれできたんですよね。

引き出しだとか。そのー、空気清浄機だとか。加湿器の隙間だとかね。そういう所にね。とにかく、丹念に入れてあるんですよね。そういうことって何だろうなって思ったら、処理してるのね。とにかく自分の目に見えない所に(笑)。自分がやった行為を隠すっていうことじゃなくて、ただその汚いものっていうのは分かってはいると思うのね、私。それを始末したっていう。紙おむつをトイレに突っ込んであったりとか。流そうと思ってっていうのは、それを流せばきれいになっちゃうわけですよね。何にもなかったふうになるっていう。そういうこと。そういう意識じゃないのかしらと思うんですよね。

――ともかく汚いものを目の前からこう、どっかに退けたいっていうそういう感じですかね。

そうそう。手を真っ黒にしてね(笑)。それ頭に持っていったりね。ほんとにね。そういうことじゃないのかなと思ったんで。悪ぶれるですか、そういうことではない。何でこんなことするのよっていうこと自体がないことなんですよね。

私は: です。

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