※写真をクリックすると、動画の再生が始まります。
インタビュー時:80歳(2012年2月)
関係:夫(妻を介護)
診断時:妻75歳、夫72歳
2004年に妻がアルツハイマー型認知症と診断され、アリセプトの内服が始まる。夫婦2人暮らし。息子3人は別世帯を構える。夫は無職。妻は要介護2で、発症3年後に、引っ越しのため妻を有料施設へ預けた。しかし、妻の不在で夫がノイローゼ気味になり、息子の反対を押し切って施設を退所させ、現在週2回デイサービス利用しながら自宅で介護をしている。
語りの内容
おばあちゃんはさ、どこが悪くてさ、あのー、何か、病院行ったりなんかするんだというようなことを、よく人に聞かれ、言われるんですよ、はい。そんな状況。
―― ああ、分かりました。
はい。だから本人は全然気にしてません。
―― あ、ご本人はアルツハイマーと言われたときも、そんなに気にはかけられなかった?
はい。本人はね、むしろ何でこんな病気になったと、おれだけ、きょうだい、きょうだいいっぱいいるんだ、昔だからね。きょうだい6、7人いるんですよ。女だって6人ぐらいいるんだ。そん中で何でおればっかし、その、こんな悪い病気になったと。忘れるのは仕方がない、また、べろまで痛いといって、自分では承知してる。おれは病気なんだと、自分でしょっちゅう言ってるんですよ。「おれは、自分で、病気だから申し訳ないね」と感謝、「申し訳ない、申し訳ない」って言って、私に言うんですよ。
インタビュー家族22
- 妻がべろが痛いと言い出したのは10年前で、その頃がどうも始まりかなという感じがする。それからもの忘れが始まって診断に至った
- 時間の感覚が飛んでいる妻は、週2回のデイサービスの日がわからず、毎朝午前3時ごろに出かける支度をする。「行くときは教えて上げるから」と言ったら安心した
- 家を建て直すのを機に、妻を有料(老人)ホームに一時期預けたが、一人きりでテレビを見て晩酌していたら、何だかノイローゼ気味になり、子どもを説得して妻を退所させることにした
- 施設に入っていた妻を引き取り介護している。できれば、ゆくゆくは息子たちの誰かにこの家に来てもらい、世話になりたいが、その話になると喧嘩になってしまう
- 妻は忘れるのは仕方ないと病名を気にかけなかったが、「たくさんのきょうだいの中でなぜ自分だけが悪い病気になったのか、申し訳けない」と、繰り返し言う