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インタビュー時:33歳(2020年11月)
関係:母
医療的ケアのある子:長女1歳6か月
首都圏在住。夫と長女の3人家族。
娘は出生後まもなく体が青ざめていき、転院先の病院で、食道閉鎖と鎖肛と診断された。
現在はバーター症候群と診断されており、1日4回胃ろうからの栄養注入と、食道を切断しているため唾液を排出する唾液ろうがある。
来年には食道をつなぐ手術を行う予定だが、これまで口から食べる経験のほとんどなかった娘にとって、食べられるようになるには食べ物に興味を持ち、口を動かす訓練などが必要となる。
現在育休中で子どもと1日中一緒にいる。
居宅訪問型の児童発達支援などを利用したいが、子どもをみるのは親の仕事という行政の意識に壁を感じる。
語りの内容
夜間ずっと、夜の10時から朝の5時ぐらいまでかけて胃ろうで栄養が流しっぱなしになってるので、朝は、栄養の投与が終わりましたっていうポンプのアラーム音で目覚めるんです。
真っ暗な部屋の中でアラームを止めて、そんなことをしてるうちに、娘が起きてくるので、そこでおむつを替えて、大体6時ぐらいになって、そこから午前中は栄養の休み時間です。
その間に一気に家事を全部バーっとやって10時から、栄養ミルクが始まって、あとは4時間おきに10時、2時、6時は栄養の注入がある。
それに合わせてすき間すき間で買い物を済ませたり、お風呂に入れたり、ご飯作ったりっていうような感じで、一日が娘の栄養ありきで、毎日過ぎていくっていう感じです。
――それはお母さんご自身が基本的に全部行ってるんですか。
はい。ただ、全く同じことを夫もできるので、丸々1日私が外出させてもらったりもしてます。
――胃ろうからの注入で、在宅で失敗したとか、うまくいかないということもあるんですか。
元々はずっと、ポンプを使って注入をしてたんです。
娘は最初は寝返りするぐらいだったので、ポンプとチューブにつながれてる状態で問題なかったんです。
でもハイハイするようになって、そのハイハイもどんどん早くなって、遠くまで行けるようになると、つないでいることが難しくなって。
今は、シリンジで手押しで注入するっていう形にしたり、彼女の成長に伴って問題点はたくさん出てきました。
今はだんだん寝転がるのが嫌になってしまったので、そのシリンジで注入するのもなかなか止まってくれない。
注入してる最中に、突然走り出すというか、回転したりして、中身が全部こぼれるみたいなことも、何回もあるんです。
その都度どうやったらうまくいくんだろうっていうのを、彼女の成長とともに私も一緒に工夫して、日々試行錯誤しながらっていう感じです。
インタビュー08
- 日常のケアはほぼ私の仕事だが、外出予定ができると数日前から夫にケアの練習をしてもらう。娘もパパとの時間が嬉しそうだ
- 娘が人と触れ合う機会として訪問型児童発達支援を利用したいが、医療的ケアがあっても介護認定がないので使えないと言われた
- 訪問リハビリにより専門家の視点でアドバイスを受けることで、娘の成長が著しく変わったと感じている
- 1歳の娘にケアをする際には娘にも分かりやすい言葉で伝える。食べる経験が少ないので、食べることへの興味を向けようとしている
- 朝は経管栄養終了を知らせるアラーム音で目覚め、4時間置きの注入の合間に家事をこなす。動き回る娘を追いかけては注入する日々だ
- 何度も辛い思いをしながらも成長する娘は、「生きること」そのものを教えてくれる。うちの子で生まれてくれてありがとうと思う
- 来年、手術により娘が口から食べられるといいなと思っている。将来、排便が自力でできるか、食事もどのくらい進むか、まだ小さいが将来への心配はつきない
- 同じ境遇の親に会って、自分も前向きに頑張ろうと思えた。娘も周囲の人を頼りながら、自分に誇りをもって生きてほしい