※写真をクリックすると、動画の再生が始まります。
インタビュー時の年齢:44歳(2021年6月)
関係:母 (インタビュー25の妻)
医療的ケアのある子:長男15歳
北関東在住。夫、長男、二男(1歳)と暮らしている。
長男は小学2年生のときに交通事故で寝たきりとなり、人工呼吸器の管理、痰の吸引、胃ろうからの経管栄養の医療的ケアが必要となった。
息子は現在、特別支援学校の訪問教育を受けている。
自分は息子のお世話をしながら、バリアフリーに改装した自宅で小さなカフェを始めた。
同じような境遇にある方々にとって安心して外に出かけられるきっかけとなる場所にしたいと思っている。
語りの内容
――現在、福祉車両をお持ちなんですか。
はい、買いました。
最初、お友達に誘われてお花見に行ったり、ちょっとそこまで公園に行ったりっていうのでも、(介護タクシーで)片道5,000円、1万円をかけていたので、もう生活が。
最初、余命2~3カ月という思いがあったので、後で働けばっていう思いがあったんですけれど、長期で考えた場合にとても現実的ではないというところで、福祉車両が必要ということで。
ただ、なかなか金額も張るものなので、最初は軽自動車で後ろにスロープが付いていて乗れるタイプの車を見に行きました。
実際、息子の使っている車いすを持って、載せてみたんです。
これだったら、リクライニングをしたり倒しても載るねということで。
最初、軽自動車の前に助手席と運転席があって、後ろに1台車いすが載るタイプを買ったんですが、呼吸器を付けていると、外れたときにすぐに付けられないんですね、走行中は。
それはとっても危険なことなので、隣に介助者が乗れるということが、とっても大切になるっていうことで。
普通の道であれば、止まってすぐぱっと付けるっていうことで何とか対処はできるんですけれど、例えば高速道路には乗れないとか、いろいろなことがあって、「これはまずいよ」って結局買い直すという二度手間をしてしまったんですが(笑)。
その辺も最初に買ったときには先輩ママの話を聞く前に動いてしまったところがあったので、あ、ちゃんと聞いてからにすれば良かったなっていう後悔は若干あるんですが。
今は、隣に乗れるタイプのものを持っています。
――福祉車両を買うにしても、経済面での負担を少し支援してくれるものとかっていうのは何かありましたか。
この地域に関しては、車に関しては購入に関する補助は一切ないんです。
考え方としては、タクシー券を出してもらえるんですね。
市のほうから、タクシー券の補助が出るので、移動をする際にはタクシー券を使ってくださいというのが多分、原則というか。
障害がある方が運転をするための車の改造費ですとか、そういった補助はあるんですけれど、運転するのは家族であって、ただ乗せるだけというか、そういう福祉車両に関しては、一切購入に関しての補助はないですね。
例えば高速道路を乗るときの、ETC割のような、障害割というものはもちろんあるんですけれど、車を購入に関しては一切補助がこの地域ではないです。
インタビュー24
- 息子のケアに慣れてきた頃、下の子が生まれた。まだ手のかかる時期だが、下の子がいることで家族全体で楽しい時間が増えた
- 自家用車での通学時、予定時間に到着できない事があり、ヘルパーさんをお待たせしてしまったり、自分たちが待ったりする
- 交通事故で医療的ケアが必要になり元の学校に戻るか相談した際、息子の状態や学校の負担、親の付き添いの負担も考え訪問籍にした
- 訪問教育でじっくり子どもの反応を引き出してもらえた。訪問籍でも通学籍の子との交流の機会もあり子ども同士のつながりもあった
- リフォームで玄関のバリアフリーや濡れずに出入りできる駐車場、雪の積もらないスペース確保、地震時に安全なものの配置などを考えた
- 息子をディズニーランドに連れていきたいと主治医に伝えると、車いすや行ける環境を整えてくれた。息子の昔からの友達とママ達との交流も楽しい時間だ
- 最初はスロープ付きの軽自動車を購入したが、呼吸器のチューブが外れたときに横に介助者がいないと危険なため、買い直した
- 田舎でバスの本数も少ない。将来息子が大人になったときに公共交通機関を使って自力で移動できるよう、定期的に経験させている
- 事故で身体が動かなくなった息子が退院したとき、近所のママたちがクリスマス会を企画し、子どもたちもこれまで通りに接してくれた
- 地域の避難訓練に参加し、吸引やアラーム音、荷物の量など知ってもらった。家が一番なのでできるだけ家で過ごせるよう準備している
- 呼吸器のチューブ内に結露した水が気管に流れ込み、子どもの顔色がみるみる変わり、怖い思いをした。予防や対処法を知り、対応している
- 宣告された余命をはるかに超えて子どもが落ち着いて過ごしている。少しずつ長期的なことに目を向けていけるようになった