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インタビュー時:39歳(2021年2月)
関係:母
医療的ケアのある子:長男3歳
首都圏在住。夫と長男の3人家族。
妊娠5か月頃、エコーで胎児の脳室が通常より大きく、先天性水頭症と診断された。
出生後、自力での呼吸維持が困難なため挿管による人工呼吸を開始し、その後在宅酸素療法に移行した。
自力歩行が困難で発話がまだない等、発達はゆっくりではあるが、数字や電車に興味をもち親とコミュニケーションを図ることを楽しんでいる。
シンガポール人である夫の両親に会うため、子どもが2歳のときに海外渡航を家族で経験した。
語りの内容
私自身も海外に行ったときに、子ども限定で会った覚えがないので何とも言えないんですけど、障害者とか、高齢者とか、少し弱い立場の方とかに対する受け止め方とか対応の仕方とかは全く違うと思います。
公共の場で当たり前のように、こんなところまでっていう気配りを、一般の人がしてくれたり(の状況を海外では)目の当たりにしてた。
私自身、妊娠もしてない、子どもも連れていない、ただそれは女性だからなのか、電車で席譲ってくれたり、大きい荷物を持ってたら譲ってくれたり。
車椅子の人に対して、周りの人たち全員で何のちゅうちょもなく手伝えるところとか、そういうところはなかなか日本では(ない)。
息子が大きくて、1歳半ぐらいのとき15キロぐらい。それに、酸素ボンベ背負って自分の荷物持って、狭いバスに乗ってたんですけど、席譲ってもらったことほとんどないし、声掛けられたこともほとんどないです。
腫れ物に触る的に思っているところがあるのか、知らない人に声掛けるのが恥ずかしいとか、ちゅうちょしてしまうっていう文化があるのかなーって思ったりはしますね。
――日本の中で、少し残念な体験もあったと思うんですけど、一方でこんな人のこんな行動がすごく助けになったとか、そういう経験っていうのはありますか。
日常、すごく大きな出来事っていうのは今、思い付かないんですけど、分け隔てなく、普通に子どもがいる母親で、息子もただ1人の子どもとして扱ってくれることが幸せなんだって、後になって気付いた。
当たり前のことなんですけど、普通に「何歳?」って、話し掛けてくれて「何歳です」って言ったら、「あ、そうなんだ。かわいいね」っていう、その普通のやり取りがありがたいなとは思いますね。
道歩いていると、知らないおばあちゃんが話し掛けてくれて、普通に「おはよう」とか、「学校行くの?」とか、「頑張って行ってきてね」って話し掛けてくれること。
何かあったときに助けますよって言ってくれたら、すごいうれしいんですけど、もし自分が困っていたら。
だけど、普通に話し掛けられることがほとんどないので、そういうのがありがたかった。
息子もすごいうれしそうにバイバイしたり、普通のことがうれしかったりしますね。
インタビュー13
- 児童発達支援施設に子どもを預けるようになり、気を張って生活していたことに気付き、自分をいたわることも大事だと思った
- 息子が小さい頃は訪問看護やリハビリの方と話すくらい。地域の子育ての場にも入れずに、日々、緊張と孤独の中で生活していた
- 息子は実家の大きいカレンダーに興味を示したことがきっかけで数字にはまった。お散歩で速度標識の数字探しをするのも楽しい
- コロナ禍で家時間が増えたとき息子にYouTube動画を見せたらはまってしまい、電車の動画が見たいと手を打って合図する
- 夫婦2人で生活していた家に息子を迎え、赤ちゃんのいる生活に驚きもあり、病院とは異なる環境で酸素ボンベの位置なども気を遣った
- 息子が2歳のときシンガポールに1週間滞在した。航空会社、酸素ボンベの会社などにあらかじめ連絡しホテルはキッチン付きを手配した
- 子どもと酸素ボンベを背負ってバスに乗っていてもほとんど声をかけられない。その中で近所のおばあちゃんとのなにげない会話がとてもうれしい
- 性別がわかるのを楽しみに夫と一緒に行った検診でお腹の子の異常を指摘された。二人とも何の話か理解できなかった