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インタビュー時:44歳(2021年7月)
関係:父(インタビュー29の夫)
医療的ケアのある子:次女10歳
四国在住。妻、長女、次女の4人家族。
次女は緊急帝王切開で生まれてすぐ、先天性心疾患があり、心臓手術が必要でNICUと小児科病棟に1年ほど入院した。
退院後も体調を崩しては入院し、経管栄養や人工呼吸器など医療的ケアが増えていった。のちに希少な染色体異常が分かった。
普段のケアは主に妻で、自分もできるだけケアに参加しているが、妻との差は感じる。
自宅から病院まで車で小一時間かかり、救急車を呼ぶのもためらわれることがある。もう少し近くに小児を診られる病院があればと思う。
語りの内容
――退院してからすぐのときはこう、チューブで、人工呼吸器はついてなくて、吸入を。
はい。鼻だけでした。
――鼻から。
はい。
――で、そこから、ま、人工呼吸器になったのはお幾つのとき?
7歳か8歳のときですかね、下の子が。はい。
――理由は誤嚥ですか。
誤嚥というか…自分で上手に息ができなくなった。
ネイザルハイフロー(酸素濃度の高い空気を鼻につけたチューブから送り込む治療)とかいろいろしてたんですけど、結局呼吸器のほうが確実かなみたいなので、そこから呼吸器。
だから、はっきりした原因は分かってないですね。ただ、酸素が上手に吸えなくなった…そっちのほうが楽だろうっていうんで呼吸器にはなったんですけど。
それでも、どうしても気管切開っていうのに踏み切れなかったので。
もう名前は忘れたんですけど、同じように鼻から酸素を吸入できる方法もあるっていうので、なんかマスクみたいなんをつけてっていうのはしてたんですけど、悪あがきだったみたいで、合わなくて。
そこからはもう人工呼吸器に頼るようになりました。
――お父さんの目から見ても、苦しそうだなっていう感じもあったんですか。
そうですね、サチュレーションがふらふらしてたっていうのがありまして。
確かにいいときもあるんですけど、悪いときのほうが多くなってきたかなっていう。
で、不安ではあったんですけど、どうにかこう――そのときの考えなんですけど、呼吸器をつけてしまったら声が出なくなるんじゃないんかとか、間違った感覚があったんで――できるだけ(気管切開は)したくはなかったんですよ。
――ご夫婦でも話し合ったと思うんですけど、ご夫婦の間でも意見が違うとか、そういうのはありましたか。
いや、それはなかったですね。取りあえず気管切開して呼吸器はつけるけど、(喉頭)分離*はしないっていう。まだせんでいいんだったらせずにおいとこうと。
声はまだ出るほうがいいっていう感覚で話し合いはしましたけど、そこで反対はなかったですね。
*喉頭分離術:気管への唾液の流れ込みを防止するために喉頭(声帯を含むのどの奥の部分)と気管を切り離す手術