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インタビュー時:57歳(2021年4月)
関係:母
医療的ケアのある子:長男17歳
首都圏在住。夫、長男の3人家族。
長男は1歳2ヶ月頃まで元気だったが、感染症を繰り返すごとに状態が悪くなり、1歳6ヶ月でミトコンドリア脳筋症(Leigh脳症、ピルビン酸脱水素酵素欠損症)と診断された。
言葉での意思疎通は難しく、人工呼吸器、気管切開、吸引、胃ろうからの経管栄養がある。
自身は障害のある子どもを支援するNPO法人で活動している。
長男の特別支援学校に付き添いながら、卒業後に社会に出る準備を大切に過ごしている。
語りの内容
うちの県ではまず、気管切開をして吸引が必要な子どもはスクールバスには乗れませんと。で、お母さんがスクールバスに同乗するっていう前例がないし、あり得ません。
校区外から通学するのも前例がないというか、去年もお断りをしていますと。だからこっちの学校に自主通学で来てくださいっていう通知だった。
でもそんなの絶対無理です、私。その本来行くべき学校って(言われたところは)、車で行くと1時間ぐらいかかるんですよね。
で、その新設校は、30分あればまあまあ行ける。それでも、自分一人で車で連れてくってできんのかなと思ってたので。
「いや、無理ですから」っていう話になったら、そっちの新設校は「通学の手段をお母さんが用意して通ってくるんだったら、ウエルカムですよ」。
でも1人で運転したことがないし、助手席に試しに、カーシートを付けて乗せてみたんですけど、ずーっと片手で(子どもの)吸引しながら運転する感じで。
その頃はまだあの、緊張(筋緊張:注1)がバッて入ってるタイプだったんで。走ってる最中に急に(子どもが)ギアを足でガッて変えちゃったり、急にバックに入っちゃったり、ニュートラルに入っちゃったりとかしてたので、いや、怖い怖いと思って。
最初のうちはヘルパーさんの車で通ってました。そのヘルパーさんの車っていうのも、すったもんだがあり。
ご存じかと思うんですけど、ヘルパーさんっていうのは障害者本人のためのサービスだから、ヘルパーさんの車にお母さんが乗ることはできません。お母さんはヘルパーさんの車の後ろから追走してくださいって。
だけど吸引とかはヘルパーさんにできない時代なので、ヘルパーさんは運転しかしません。
そんなのね、普通に考えて、5歳、6歳の子どもを病院に連れてってください、じゃあヘルパーさんお願いねとか、そういう話でしょ。
これは障害者であるっていうことを忘れて、普通に健康な子が風邪ひきました、じゃあ、タクシーに子ども一人乗せるから、運転手さん病院まで連れてってくださいって言ってるのと、おんなじじゃないかなっていうので、市に交渉して。
もう絶対、普通に考えたら、それ逆に虐待で怒られるよねっていう話でしょ。で、それが障害児だと何で急にそうなるの?っていう話で、お願いをして。
もうそれもすったもんだして。で、やっとヘルパーさんの車に私が同乗することを認めてもらって。で、何とかかんとか入学式に間に合った。
注1)ここでは筋緊張のこと。脳性麻痺などの脳機能に障害がある場合に出る症状で身体がギューっと緊張した状態になり、つっぱったようになる。