月別アーカイブ: 2023年3月

医療的ケア児の家族の語り

お兄ちゃんと娘で時間を分けていたが、お兄ちゃんを保育園にいれたら生活しやすくなると思い、入園を役所に申請した

午前中は、きょうだいのために時間を使う。
午後は、娘のために病院に行く。
と、自分の中で分けて時間割を作っていて、お料理が好きだったので、週に2回ぐらい、午前中だけ友達に家に来てもらって、みんなで材料を持ち寄ったりして、夕飯を作っちゃうんです。

それぞれタッパーに入れて持って帰ったり、冷蔵庫にしまったりしながら夕飯を作って。
その間は友達の子どもたちと、うちの兄弟が遊んで、子どもも満足するし、私も友達とワイワイしながら楽しい時間を過ごして、午後は集中して、娘のとこに行く。

帰ってくるともう自分で作った夕飯ができてるっていう。
それがすごい自分の中でも落ち着けたっていうか。

そんなふうにしながら、病院に通ってるうちに、仲間の1人が、「もうそろそろお兄ちゃんたち3歳になるけど、幼稚園どうする?」みたいな話になって。

地域の仲間だったので、みんなそれぞれの幼稚園や保育園の情報を持ち寄って「いやいや、あなたのところは下の子が大変で病院に毎日行くんだから、幼稚園じゃなくて保育園でいいんじゃないの?」みたいな話をしてくれて。

そこから、はっと、そっかと思って、お兄ちゃんの保育園探しをしました。
市内に、1箇所だけ障害児の受け入れをしている保育園があったんです。
ここにお兄ちゃんが行けば、兄弟枠で下の子も退院したときに行けるんじゃないかと思いながら、もう絶対そこにしか入れないって気合いを入れて、担当の人を口説きに行って。
市長さんにも、お手紙を書いたりしながら、何とかそこに入って。

お兄ちゃんは朝から保育園に行き、私は家のことをし、午後から病院に行きっていう、ルーティーンに変わってった感じです。

医療的ケア児の家族の語り

お兄ちゃんはわがままを言わずに育ってしまった。サポートの学生ボランティアにわがままを聞いてもらうようにした

お兄ちゃんについて言うなら、もう、ただ一言ですね、いい子過ぎちゃったんですよね…。
いい子過ぎで育ててしまったことが大きな反省です。

今はもう大学に行っているんですけれど、(下の子と)2つ離れているので、身近にいたにもかかわらず、特に小さい頃は、反抗期っていうことをあんまりしていなかったように思うんですよね。

あれもしたかった、これもしたかったっていうことを言わなかった子に育ててしまったし、そういう環境にしてしまったんじゃないかなと、ちょっと反省してますよね…。

欲を言えば、やっぱりもっといろんなことは、親としてはさせてあげたかった。
チャンスをあげられなかったなって反省ですね。
いろんな公的な制度も、それこそ娘には(あったけど)。

お兄ちゃんが小学生だったときに一度言われたことがあるんですよね。
娘にはヘルパーさんが来る、「え、僕には来ないの、ヘルパーさん?」…。
そうなんですよ(笑)。
娘には当たり前なんですけど、公的な制度があるのでヘルパーさんが来ますよね。
でも、お兄ちゃんのためを支える制度っていうのが、ないんですよね。

だから当時、ボランティアできょうだい児に関わってくれる、看護学生さんをしばらく入れていたときがありますね。
そこは、うちの自費でお支払いをして、お兄ちゃんのわがままを何でも聞いてあげてくださいってわざと入れるようにしましたね。
もしかしたらそういうサポートも家族によってはいいのかなって、今思いますね。

医療的ケア児の家族の語り

お姉ちゃんは下の子の病気を理解しているが入院付添いで母が不在になるのは不安なようだ。要所要所でお姉ちゃんを優先している

次女の病気のことは、お姉ちゃんはすごい分かっていて、薬を飲まなきゃいけないとか、酸素を入れなきゃいけないとか、手術になれば、私も付き添っていなくなるっていうことは理解してて。

だから次女が病院に行くことを、ものすごい嫌がる。
私も一緒にいなくなっちゃうんじゃないか不安で、本人にとっては嫌みたいで、「また病院行くの?」っていうのは結構、定期的に聞かれたりはしますね。
普通に妹が生まれるっていうことよりかは、本人、相当、我慢することが多かったのかなとは思いますね。

でもそこは、なるべく、(長女の)気持ちを汲んであげるようにはしてるので。
次女の場合、病気があるといっても、すごい配慮が必要か、生活する上で何かすごい大変かっていうと、そこまで大変ではないので。
どっちかっていうと、次女が病気であるということに関しての、お姉ちゃんの心のケアのほうが大変かなって思うことはあります。

例えば、次女の入院のタイミングで、お姉ちゃんの参観や発表会が重なっちゃうことがたまーにあって。
そうすると、お父さんじゃなくて私に来てほしい、お母さんに来てほしいって、長女はすごいそういう思いが強いみたいなので。

発表会や参観とかそういう、長女を優先すべきときはなるべく私のほうが長女に関わって、次女はパパに預けて、という感じで。
長女を優先してあげたほうがいいなっていうふうに。

そういう大事なとき、要所要所は、お姉ちゃんのほうを、ちょっと気遣ってあげて。
きょうはお姉ちゃんが主役だからね、お姉ちゃんを大事にするからねっていう感じで。
メリハリじゃないですけど、ポイントポイントで大事なところではお姉ちゃんを優先するようにしてます。