「(子どもは)気管支炎だから、入院してくれって言われた」と。
「そうなんだ」と、「分かりました」って言ってて、「では、お父さんかお母さん、どちらかは、今日からお泊りしてください」って言われたんですよね。
ここから多分、皆さんよく言う医療的ケア児あるある話になるんですけど、びっくりするわけですよ。もう人生の中でそんなこと想像もしたこともなかったんで。
「え、今日からですか」「はい、今からです」と(笑)。
「いつまでですか」「それは分かりません」そりゃそうですよね。
え、僕、明日ミーティングあるんですけどとか、っていうね。
あなたは?みたいな(目で看護師から)、当然しらーっと見られる。
僕が個人的な問題を頭に思い浮かべても、泊まって当然ですからっていう。
最初の多分、最大の衝撃がまずここに来ますよね。
ある日突然、自分の予定が未来永劫(えいごう)、立たなくなる瞬間がここから始まるわけですよね。
仕事の予約とか打ち合わせとか、僕、人の前でしゃべる仕事が多いんですけど、そういうセミナーとかはね、例えば大きな会場で、講演会とかセミナーがもしあったとしても、全キャンセルしなきゃいけない。病室からずっとやるわけにいかない。
うちの場合は身寄りがいないんで、お姉ちゃんの保育園の迎えもあるんで、絶対1人はもう張り付かなきゃいけないわけですね。
で、また医療的ケア児の場合は、マーゲンチューブとか大体、看護師さん入れてくんなかったりして、「お父さんお願い」とか言うんですよ、病室にいると。
これもね、後であるある話になるんですけど、結局、他人に替えてもらえなくなるんで、多分、もし身寄りがいても、おじいちゃんおばあちゃんじゃできないんですよね、きっとね、そういうことはね。
病院だったら少なくとも、その間は看護師さんが入れてくれたり、病院の先生が入れてくれる可能性、全然あるんですけど、にしてもやっぱり、泊まったりするっていうことっていうのは、僕も今まで、そういうことがあることすら知らなかったんで、楽観視。
そのときも大丈夫だろうと、3日4日行けばなんとか出るだろうと思って。
で、そこからが、突然の問題が幾つか起きるんで、足掛け半年間ぐらい入院生活は続くわけですね。
だから途中、もう諦めの境地が入るわけ。これ普通の生活もうできないなと。
身寄りもいないし、お風呂も行けないでしょ。1時間も代わってもらえないから。
1時間ぐらいは代わってもらえるんだけど、その病院お風呂もなかったんで。
まあ、男だからいいんだろうと思ってたんですけど。
もう5分も目離せないわけですよね、子どもってね、当然。特にチューブ付いてたりするからね。