当初、多分こういうことはできないよって言われていました。
例えば簡単に言えば、何か食べ物を口から摂取をして、それを味わってみるなど。
退院してきた当初は、栄養も基本的には胃ろうで。
で、意識がなくて、意識もはっきり分かってるのかどうか、よく分からない状態なので、体を動かすことはできないですって。
そんな状態だから、僕らは触れて何かを感じてもらうとか、場合によっては、あったかさで何かを感じるとか、そんなふうなことで、できる限りのコミュニケーションを取っていたんです。
今は、おいしいものを口に入れてみると、多分おいしいような反応をしますし、痛いとか、つらいとかっていうふうなのは、表情にも出てきていると思いますし。
もちろん、誰にでも分かるのかっていったら、それは誰にでもではないと思います。
でも、しばらくの間ケアに携わっていただいた方ならきっと感じられるレベルに、彼は彼なりに反応を、表現することができているのかなと思います。
そういうのもあるので、彼は明らかに、事故で入院した当時からは回復をしているし、成長もしているし、元気になっているっていうふうに感じてます。
――今の生活の中で、お子さんがすごく楽しんでるとか、そういう表情を見せる場面って、どんなときなんでしょうか。
まあ食い意地が張ってるのか、多分、食べ物が一番。
あとは、これも恥ずかしいお話なんですけども、お気に入りのケアをしてくださる方に、担当が回ってきたときは、非常にいい顔をします。