年別アーカイブ: 2023年

医療的ケア児の家族の語り

週末に息子と2人で難病患者用のセンサースイッチでiPadのゲームをする。横について設定をするのが自分の役割だ (音声のみ)

最近は、ピエゾ(注1)のスイッチでiPadのゲームをやってたりしてますね。

――どんなゲームなのか教えていただけますか。

モンストですね。モンスターストライクっていう、僕それまであんま知らなかったですけど、お兄ちゃんが好きで、これやってみたらみたいな形で下の子に勧めて。

iPadだと、アシスティブタッチ(Assistive Touch)の機能で、タッチの仕方を登録できるんですよね。で、そのゲームで必要なスワイプの動きを登録しておくと、あとは1回、スイッチで入力さえ入れたら、その動きでスワイプをしてくれるっていうことができるので、それを使って、モンスターストライクをやってるっていう。

――へえ。モンストって何でしたっけ。一緒に戦うんでしたっけ、対戦。

球みたいなのを引っ張って相手にぶつけて、敵を倒すみたいなやつですね。ピンボールみたいな形で。

――ああ。それをパパと週末楽しめるようなことがあるわけですね。

今のところは、上の子がそれをセッティングしてくれないので、週末、僕と一緒にしかできない。
なので、きょうも午前中それで遊んで、ピエゾのスイッチがちゃんと押せるようなときじゃないと、なかなか難しいんですけど。

1個難しいのがあって、iPadのそのアシスティブタッチの機能がですね、8秒ぐらいで1回消えるんですよ。
だから8秒ごとに1回、いちいち機能をオンにしなきゃいけなくて、僕はそのオン係です(笑)。
オンにしとかないと、スイッチ押しても反応しないので、ちょっとAppleにどうにかしてほしいんですけど、横に僕はずっとはべっててですね、「はい、どうぞ」「はい、どうぞ」って言いながら(笑)。

――それ、なんで8秒なんでしょうね。不便ですよねえ。

不便ですねえ。

――せめて5分ぐらいそのままでもいい。

うん、ほんとにそう思います。
あれ、どうにかならないのかなーって、ちょっと僕がググった限りだと、なかなか解決方法にたどり着かなくてですね、多分ないんですよね、その機能。
そこ、ちょっと調節できるような形にしてほしいんですけどね。
 

注1)ALSなどの難病患者のために開発された、わずかな動きも感知できるセンサースイッチ

医療的ケア児の家族の語り

息子はその日の宿題が終わればゲームをしてよいルールで、ゲームを楽しみにしている。和太鼓のリズムゲームは相当な腕前だ

(好きなゲームは)「ウイニングイレブン」というサッカーゲームと、「プロ野球スピリッツ」と。
あとちょっと視知覚的なゲームとかも入ってて、結構お勧めなんですけど、Switchの「やわらかあたま体操」が結構一緒にやってみてていいなって思ったんです。

サイコロがいっぱい、重なり合ってるのが何個ありますかとか、4本足の動物はどれですかとか、この中で昆虫はどれですかとか。
あと結構簡単な足し算、5にするにはどのロボット、3個と2個とか、そういうのを選んだりとか、そういう頭体操のゲームとか、プログラミングとか、いろいろですね。

でも一番は、「太鼓の達人」なのかな(笑)。「太鼓の達人」はすごいですね。

――誰よりうまい?

(ゲームをする息子のスマートフォンの動画を見せながら)そう

――ああ、こういう、ゲーセンにいる人ですね(笑)。

そうです。もうマイバチで。

――ずっとやってるめっちゃ速い人、いますよね(笑)。

多分ね、速いのが……あ、これですね(お子さんのゲームをする後ろ姿の動画)。…… あれ、連打するやつ(笑)。……

――めっちゃうまいじゃないですか。これは相当注ぎ込まないと、ここまでにはならないですよ。

そうですね。これ、もうちっちゃい頃からゲーム機と太鼓を買って、家でやってます。
もう裏鬼(難易度の高いバージョン)とか普通にやってはります。

――はあ、プロの域ですね。

そうですね(笑)。病院とかで学校休んだときとかに、早く終わるじゃないですか。
そういうときにゲームセンター行くと、誰もいなくて…今はコロナなんで、そういうときに行って、ちょっとストレス発散させてます。

医療的ケア児の家族の語り

娘は視線入力のゲームをしている。射撃でうまく標的に当てている様子から娘の目は見えているのだという発見もあった

できないことよりできることを発見したくて、最近、人気なのが視線入力っていうものがあって、県のほうに来てくれたFacebookのイベントとかに参加して、目でパソコンのほうを見てゲームをしたり(笑)。

――ええー?

はい。そういうのがうれしくて、機器一式を購入してそろえたりしました(笑)。

――例えばどんなゲームがあるんですか。

射的とか、お絵描きとか、どんどん今、ゲームが増えていってます。

――お子さんが今はまってるっていうと、その視線入力の。

そうですね。それまでは目、合うようで、ほんと見えてるのかなっていう部分もあったんですよ。
光はまぶしいとかはあったんですけど、ほんとに見えてるかなっていう部分があったんです。
ちゃんと、飛行機撃ったりするとか、風船割ったりとか、ちゃんと見て割ってるんですよね(笑)。

――普段の会話で、目線合わせるみたいな、そういうタイミングも分かりやすくなったりとかあるんですか、お母さんから見て。

実際、目合ってるけど見えてるのかなって思ったことが、(ゲームを)利用することによって、あ、見えてたんだーっていう発見になりました。
安心感ですね。見えてて良かったと(笑)。

――お子さんがゲームをやりたいっていうのは、どういうふうに意思を表示するんですか。

やりたいっていうそういう意思表示はないんですけど、やっぱり呼吸器を付けてたりすると、今コロナ禍でもあって、なかなか出掛けたりが難しくなってきたから、家でおる時間が長いので、時間があったら、体調が良ければセッティングしてする(笑)。

――何時間とかあるんですか、何分とか決めるんですか。

ではなく、短時間で、眠たくなったら勝手に寝るみたいな(笑)、はい。

医療的ケア児の家族の語り

娘は鉛筆よりも太い筆が向いているのではと書道教室に連れていった。初日から目をキラキラさせ、文字も頭に入るようになった

(娘)2人が、今は学校ごっことかをすごい楽しんでいて、お姉ちゃんが学校で得てきた授業の内容を、妹と一緒にやったり、その逆で妹が学校で覚えてきたことをお姉ちゃんと一緒に、先生と生徒になったりしながらやっていたり。

今、私も一緒に混ざって3人で書道を始めたんです。
その書道っていうのも元々、この子が小学校の4年生のときに、学校の先生に「お母さん、この子、鉛筆で書くよりも、もっと太いマーカーとか、絵の具の筆みたいな物のほうがいいかも」って言われたからで。

その理由は、やっぱり肩とか肘とか手首の動きがよくないっていうか。
細かい動きが苦手なので、そのほうがいいかもって言われたところから、学校でちょっと書道をしだしたんです。
私も、「あ、そうですか」って言いながらも、家でやることはなかったんですけど。

障害のある子たちでも教えてくれる先生がいてっていう話を聞いて、「ちょっと見学に来ない?」って誘われたので、行ってみたらもう目がキラキラしてて、自分も興味もあったし、これなら一緒に行けるかもと思って。

学校の担任の先生は、いろいろ変わっちゃったんですけど、今年、担任してくれた先生がやっぱり同じことを言ったんです。鉛筆よりもっていう話をしてくれて。

実は、(娘は)これだけ話はするけれども、文字に関してはまるっきり入らない子だったんですね。
でも私の中では、子どもの名前2文字なんですけど、せめてその2文字のひらがなだけでも覚えてくれれば、例えば自分のコップとか、持ち物に名前が書いてあれば自分のだって分かるって、それってすごいことかもと思って。

名前の2文字だけを読めるようになってほしいし、あわよくば書けるようになってほしいと思ってて、その2文字すごい固執して、学校入ってからずっとやらせてきたんですけど、それがすって入ったのは習字だったんです。

アイテムを変えるだけで、ここまですんなり物って覚えたり書いたりできるんだなと思って、だったら名前だけなんて言わずに、もうちょっと欲かいてみようかなみたいなものもあって。
プラス本人も楽しんでいるので、これはちょっと続けてみようかなと今、思っているとこです。

医療的ケア児の家族の語り

パソコンやテレビは使い方を教えなくても自分で機能を発見して遊んでいる。音声検索機能で好きな動画や画像を出すのも楽しそうだ

まあゲームなんですけれど、ゲームとかもどんどん、どうやったら勝てるかとかって、こう追求していくんですね。
どのボタンを押したら何々、どのボタン押したらこうなるよとか、一切教えてなくて。
自分でパパパパパッて、覚えてやってくので、どんどんどんどん、上手になっていくんです。

何をやってるかはあまりよく分かってないんですけど、ゲームで、マリオのお金、取ってくるじゃないですか。
マリオじゃないんですけれど、それのはたから見たバージョンじゃなくて、自分が取っていく側になっていく、ミニオンズバージョンなんですけど、バナナを取っていくのとかなんですけど、それとかをすごく楽しんだりとか、今してます。

で、あと面白いのが、言葉もまだ足らないんですけれど、グーグルの音声検索ですね。
で、そこにポッとやってて、「ドラえもん、ドラえもん、ドラえもんのかばん」とか。
それが相手に伝わらなくて、「土曜日ですね」とか「今、分かりません」とか言って。
何かもう、いっぱいこう言われるんですけど。

親だったら、もう何回も聞かれて嫌だなとかって思うんだけれど、やっぱりあのAIさんたち、パソコンさんたちは、根気良くずっと、「ほにゃららですか。ほにゃららですか。分かりません」とか、そういうので何回も言うんですよ。

分かってもらえるために。そのしつこさって言ったらいけないんですけれど、すごくかわいくて。
それで、だんだんだんだん、滑舌も少しずつうまくなってきたっていうのは、現代のあるあるなのかなとか思いながらいます。

それで検索して、出てきたら、写真が、「ドラえもんのかばん」とか言うと、ドラえもんのかばん、いろいろ出てきて。
好きなのこうやってしながら、探したりとか。「これ欲しい」とか言って、「それは幼稚園の子たちが使うのだから駄目だよ」とかって言ったら、「そっか」とか言いながらとか。そういうのが今すごく楽しいやりとりです。

医療的ケア児の家族の語り

息子は実家の大きいカレンダーに興味を示したことがきっかけで数字にはまった。お散歩で速度標識の数字探しをするのも楽しい

世間一般に、これは脳にいいよとか、発達にいいよって言われるものは、何もかも試したくなるのが親心です。
いろいろおもちゃも買いましたし、これがいいかもって思ったら試してみたりとかしました。
でもやっぱり、親がいろいろ買うものは偏りがほんとにあります。
もちろんはまってくれるものもあれば、一瞬見るけど触りもしないで興味を示さないものもあったり。
今もまだ部屋の隅っこにたくさん置いてあるものとかも、すごくたくさんあるんです。

今、好きになった電車は、散歩中に電車が走っていて、そこで興味を示して好きになったっていう気がしますね。

数字は、ほんとにそれはなんで? って思ったんです。
たまたま実家に遊びに行ってたときに、今の私たちの自宅には、壁掛けカレンダーが一切なくて、もう携帯で親は済ませてしまってるんですけど、実家っておっきい壁掛けカレンダーがあるんですよね。

やたらと数字がおっきくって、そこにおばあちゃんが予定とか書いてまして、そのおっきい壁掛けカレンダーの数字に、一番最初は興味を示したんです。
自分では話ができないんですけど、人に言ってもらうの、息子はなんか好きで、指差してこれ何、これ何みたいな感じの訴えを私たちに聞いてきて。

これは数字で1だよとか3だよとかって言った、それが面白かったみたいで、実家に行くたびに、その壁掛けカレンダーに一目散に行って、これ何、これ何みたいな感じで指差すようになりました。
これってなんか、もしかしたら数字に興味示してきてるのかなっていうふうに、親はいいように捉えて。

それからカード作ったりとかしたら、すごいはまって。
あとお風呂に貼れる数字のポスターみたいなのとかも、すごいはまってますし、今は外に散歩に行くと、道路標識のスピードの30キロですとか、60キロですっていう、あれにすごいはまってて。
30探しの旅じゃないけど、30の標識を探しに行く散歩とかも、今すごい2人ではまってやったりとかして、もう自然に何となく興味を本人が持った、っていう感じだったと思います。

医療的ケア児の家族の語り

訪問看護や介護、巡回入浴には感謝の気持ちはあるものの、他人が家に入ってくるストレスを家族がそれぞれ感じていた(音声のみ)

(社会サービスは)訪問看護師さんや、ヘルパーさん、巡回入浴、本人の髪の毛を切る訪問理美容というものも利用しています。

この生活、本人の体調とともに健康を維持するためには、かかりつけの病院以外に往診(ここでは訪問診療)というものの意味がすごく大きい。
ちょっと体調を崩し始めたなと思ったら、往診が早々にお薬を出してくれて、抗生剤をすぐ飲み始めたり、ほんとに支えてもらってここまで来てるというのが実情ですね。

社会サービスを利用し始めの頃は、やはり人がひっきりなしに自宅にやっぱり来ますし、家の生活を全て見られているというか、やっぱり散らかしておくこともちょっとできなかったり、気を遣うので、すごくそれで疲れてしまっていた自分もいたんですね。

看護師さんが来るなんていうと、慌てて部屋をとってもきれいにしたりして、なんかそういうこう、生活を覗かれてるって言ったら変ですけど、やっぱり訪問してくるってことは自分たちの私的なエリアに入ってくるってことなので。
そうですね、それはとっても疲れるなって思っていたんですけど。

だんだん…やっぱり利用せざるを得ないんですね。きょうだいの行事があったり、保護者会があったとか、そういうことでも看護師さんが、子どもを見ててくれないと、私も外出ができないので。

ずっと同じ訪問看護ステーションに、もう1歳の頃から今までお世話になっていて、赤ちゃんだった本人を今、大人になってきた、もう青年の次男を、看護師さんたちは見続けてる状況です。
なので、私ももう、緊張して人を迎え入れるようなこともなくなっていて、まあその辺ではだいぶ私も肩の力が抜けて、いろんな人にありのままの姿、生活を見せてやっていけるようになったなというふうに、ここまで来て、そういう感じになってきています。

ま、ちょっとね、例えば子どもの受験だったり、「ああ、お兄ちゃんはどこに行ったんだね」とか、「今年は受験だね、どうするの?」とかね、やっぱりそういうプライベートな話もいっぱい出てくると、結構、子どもにもちょっとこう、ストレスがかかったりする。
本来だったら他の人は知らなくていいようなことも、やっぱり家庭に入ってきてもらってるがために、知り得る情報っていうのがやっぱりあるじゃないですか。

もちろん看護師さんやヘルパーさん、みんな個人情報なんで、そういうのを口外するわけではないんです。
けれども、次男を見るにあたっては関係ない話題も、たくさん日常の中ではあるので、そういうところが、きょうだいにとってはストレスになってるようなところも、多少あったかなっていうふうには思っていますけど。

医療的ケア児の家族の語り

田舎で小児の訪問看護を見つけるのは難しい。入院中に枠が埋まり、スタッフも人員不足で毎日入浴させるのは難しくなってきた

田舎なので訪問看護とか、訪問診療で先生を探したりする時点ですごく苦労しました。
もうたくさんしてるとこあるんですけど、子どもはちょっとしたことないっていうとこが多くて、断りが多かったです。

大人の人にケアマネさんがいるように、障害を持った子どもたちには相談支援員さんという方がいて、その方にいろいろ相談をすると、一緒に探してくれたりします。
あとは、かかりつけの地域連携室の方たちが在宅の先生とか、訪問看護先を一緒に探してくれたりとかはしてくれてます。

――今は十分に揃っているというふうに考えてますか。

揃ってないですね。入院中にスタッフの方が、在宅のスタッフの方が不足してしまい、もう行けなくなったっていうところはやっぱりあります。

――行けなくなっちゃったっていうのは?

もう、次女のケアには来れなくなった事業所とかもあります。

――入院してる間に、その枠がどんどん埋まっちゃって?

枠が埋まったり、あとは産休とか引っ越しでスタッフの方が辞めちゃって、コロナっていうのもあって、募集してもなかなか今の時代、来ないらしくて、受け入れの体制が整わないという返答があります。

――一番、手が足りないとか、ここでヘルプがあったらなーって思われるタイミングっていうのは、いつになりますか。

次女は呼吸器になってからも毎日、お風呂入れてたんです。
在宅の訪問看護師さんとかが入ってくれるまでは、旦那が帰ってくるのが遅かったりとかして、夜の9時とか10時ぐらいにお風呂入れたりもあったんですよね。

今は、訪問看護さんとかが入ってくれるようなったんですけど、スタッフ不足で入って来られない日があるので、お風呂に入れてあげれないときも増えてますね。
ちょっと旦那と2人だけの力では難しいときとかもあって。
本当ならば、毎日お風呂も入れてあげたいのが希望です。

最近、状態は落ち着いてるんですけど、酸素の値が低下することがちょっとあって、在宅の先生から(入浴時は)最低3人とかいないと、もし(酸素の値が)下がったときの対処に困るという理由でストップが出てるので、旦那と2人だけでは入れられない。
プラスそこにおばあちゃんとか、長女を人員として入れるのは、また違うかなあと思って。

医療的ケア児の家族の語り

療育センターの見学で、反応がないように見える子に、歌を歌おう、絵を描こうと明るく接するスタッフに衝撃を受けた(テキストのみ)

初日まずお父さんがね、朝から通園日に中にいてくださいっていう日があるんですよ。
要は施設を体験してくださいと。
で、どんな人だろう。正直、僕も偏見があったんで、福祉に携わってる人ってどんな人なんだろうみたいな。
偽善かなーぐらいの気持ちもあるんですよね。ほんとに失礼な話だけどね。

大学病院の看護師さんとか、まだいいですよ。
特にこういう病院、福祉系の病院の人たちって、相模原の事件とかもあったからなんだけど、なんかね、ほんとに信用していいのかなっていう気持ちもちょっとだけあるんですよね。
だから、どう思ってんだろう。仕事として割り切ってんじゃないかしら、みたいな気持ちもあるじゃないですか。

だからとりあえず、その日1日朝から晩まで。
初めて、保育園、そういう施設の保育園に行って、そういう子たちに10人か20人ぐらいいる。朝から晩まで子どもと一緒にいて。
で、スタッフのことよーく見てたら、まず1つはびっくりしたんですよ。
みんなねえ、すごい一生懸命で、明るいんですよね。予想とちょっと違ったの。

何よりもびっくりしたのは、みんな反応しないわけですよ、この重心(重症心身障害)の子って。だけど、普通に接するんですよ。
「はい、これから絵を描きます」って…「や、無理だから」って。「絵なんて描いたことないし、描けないから」って思うじゃないですか。
「はい、絵描きましょう。歌、歌いましょう」って…「いや、歌なんて歌ったことないから」って。
全部、心で突っ込み入れながら、彼女たちが、真顔でそれをやってるのを見て衝撃を受けたんです。

僕のほうが諦めてんですよ、いろんなことをね。
うちの子はできないから、そういう楽しみないしとかって思って。
普通に、え、うそでしょって思うのよ。なんで? 仕事だから? ぐらいの、まだね、疑ってるんですよね。
そうやって、朝から晩までいろんなアクティビティがあるんですよ。

医療的ケア児の家族の語り

訪問リハビリにより専門家の視点でアドバイスを受けることで、娘の成長が著しく変わったと感じている

――お母さんの目から見て、訪問リハを受けてからお子さんは変わったなっていう、思われるところはありますか。

もうほんとにすごく変わったなというか、毎回来ていただく度に成長を感じられるなって思います。
例えばつかまり立ちの立ち方一つにしても、ここに力を入れると立ちやすいとか、こんなふうにするとっていうのを、その時間の中で何回も繰り返し練習したりとか、本人に促したりしてくれるんです。
そうするともうその日の、夕方とか夜から、自分で自主的にやりだそうとする様子があったりとか。

言語聴覚士さんは、何か具体的にそこで、介入をめちゃくちゃするわけではないんですけど、言語聴覚士さんからは私にたくさんアドバイス(注1)をしていただいています。
「次はこんな物を食べさせてみましょう」とか、「こんな物をやってみましょう」とか、「これは危ないからやめときましょう」っていうアドバイスをいただいてます。

いただいたアドバイスに従って、ご飯を食べる練習とかをすると、本人も進んでやってくれたり、やる気を持ってくれたりして、やっぱりプロの目から見てアドバイスをいただけるので、すごく成長が著しくなっているなっていうふうに思います。

注1)言語聴覚士の行うリハビリの一つに、医師らの指示のもと行う嚥下訓練があります。