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医療的ケア児の家族の語り

行政から医療費の助成などを受けることができたが、申請窓口は別だった。用紙記入、医師の診断書などの準備も負担があった

子どもが生まれたら、一般的な役所への出生届から始まるんです。
そこから子どもが重い疾患があって、小児慢性特定疾患というのに該当すれば、申請して、(医療費助成を)取得することができるんです。

けれども、それの管轄が役所ではなくて保健所なんですね。
政令指定都市であれば、大体、役所と同じ敷地内にあったりするんですけれど、そうでなければ、保健所のほうに行かなければいけない。
結構、保健所って地域で場所が少なくて、幾つかの市町村で、1箇所って管轄があったりするんですけど、そういうところに行ったりとか。

更新とかは、郵送でも大丈夫なんですけれども、まず申請するのに、場所がちょっと遠かったりする場合もあります。
あとは先生に、必要書類を書いていただかなきゃいけなくて、そこでまあまあな金額が取られてしまうんですね。

申請が通れば、ものすごく恩恵はあるのは理解しているんですけど、まずそこで結構、書類代が(かかるし)。
用紙を記入しなきゃいけない、出さなきゃいけないっていうところもあります。

次に、取得したのは、障害者手帳です。そこも今は割と通りやすいとは思うんですけど。
昔であれば、まだ子どもが小さいので、お医者さんから「まだ早い」みたいなことを言われてしまったり、役所のほうで「前例がない」って言われてしまって、なかなか申請まで届かないっていう話も、以前はちらほら聞きました。
最近は割と先生もスムーズに書いてくれて、っていうところですね。

障害者手帳を取ったらそれの等級に応じて、付随して受けられるサービスがいろいろあるんですけど、ただ、サービスも冊子を渡されて、該当するものを探して、自分で連絡を取ってくださいっていうふうに言われてしまったので。

こちらは正直、子どものケアでいっぱいいっぱいで、時間も気持ちも余裕がない中でこう、自分でやってくださいって投げられてしまうと、突き放されたように感じて、そのときはとてもさみしいというか、つらく感じていました。

デイサービスに通いたいと思ったら、支援員さんをやっぱり自分で探してくださいと一覧を渡されて、自分で小児を扱ってくれているところを探して、電話して断られたりとか、そういうこともありました。

医療的ケア児の家族の語り

病院のソーシャルワーカーに退院後の支援について自分で役所に問い合わせるよう言われ、いろんな部署を回って大変な思いをした

息子が入院してた1つ目の病院のソーシャルワーカーさんが、最初必要な書類とか、どうやったらその書類が申請できるとかっていうのを、もう手取り足取り説明してくれて、それが当たり前っていうふうにだんだん感じてしまって。

でもこちらに転院してきて、2つ目の病院でのソーシャルワーカーさん。
今度は、実際に今後退院してったらどうするかっていう相談のときに、「私には分からないので、ご自身で区役所に問い合わせてください」っていう返答でした。

実際に自分で区役所に問い合わせてみたら、いろんな課にまたがっていて、1つの情報を得るのにいろんな人に、たらい回しじゃないんですけど、いろんな課に行ったり、いろんな人に言ったりで、聞く人によっては回答が違ったりとかして、すごく大変で。

最近になって知ったのですが、そういうのをいろいろやってくださる相談員さんっていう方がいるそうなんです。
本来はソーシャルワーカーさんが相談員さんを見つけてくれて、そこの相談員さんの人は、区役所とか(公的サービスの)アレンジをしてくれるというのを聞いて。

私は全くそれを知らなかったので、結局相談員さんがやるようなことを全部自分で区役所やデイサービスに問い合わせて、訪問看護ステーションに聞いて、全部自分でやったので。
そこを相談員さん、ソーシャルワーカーさんがもうちょっと情報を持っていて教えてくれたら助かったなっていうのがあります。

医療的ケア児の家族の語り

一時的にストーマをつけた我が子は制度の狭間で、必要な支援が受けられなかった。病院も一緒に問題点を発信してほしい(テキストのみ)

期間限定で医療的ケアが必要になる子っていうのは、今この医療が整ってきている中でたぶん多くいる。その子たちっていうのは大体福祉の制度の隙間にいる。
だけどその子たちは、一時的な医療的ケアが終わるともう次のステップに行き、次の生活も大変だから、そこを振り返って発信していく余裕もないと思うんです。

仮にあったとしても、多分そのケアでいっぱいいっぱいで、外に発信も難しい状況なので、声を上げていくしかないんです。
でも、それをどこが受け止めてくれるの?っていうのもあって、結局私はいろんなところに発信しました。
議員さん、町長、福祉課、役場、厚労省、患者会何個か。

そこでようやく、「あ、こんなことがあるんだ」って、「あ、そんなことがあるんだ」って、みんなうなずいてはくれるんです。
でも、じゃどうするのっていう話で、医療的ケア児を取り巻くところって、病児もおんなじなんですけど、窓口がばらばらじゃないですか。

病院もそうだし、国の管轄で言えば、厚労省、文科省でも違うし、学校関係のことは文科省、厚労省でまた変わってくるし、福祉のことに関しても、障害のある子は福祉課なんだけど、小児の通常の医療費に関しては子育て支援課、全部バラバラなので困る。

結局定型にはまらないっていうのがそういうこと。
お母さんたちには発信はしてほしいんだけど、今日こうやってインタビューを聞いてくださった方がいるように、どこかの医療機関の方が医療の立場で受け止めてくれて、発信してほしいなって思います 。

なぜそう思うかというと、結局病院のケースワーカーさんがそういうことに機能していないからです。
病院のケースワーカーさんに、「ストーマです。何か受けられる手当はありますか」「ありません」、おしまい、みたいな。
あの、「特別児童手当も却下されたんですけど」「そうですか」、おしまい(笑)。
「何とかこのストーマの袋代って何とかならないんですか」「いやー、結局動くのは行政なんで」、おしまいみたいな。
せっかく病院って声が集まるところなのに、ソーシャルワーカーさんからしてそういう姿勢なので。

結局うちみたいに、ストーマの後に心不全になりましたと(なると)、それはもうすごい説明が早いんですよ。
「小児慢性特定疾患を申請できると思いますから聞いてみてください。障害者手帳は先生と相談してみてください。特別児童手当は、これですね」って。
その型にはまってるものは、それなりに普通に話してくれるんです。
でも、型にはまらないものに関してはもうそれ以上のこと関わってもくれないから、病院としても(わからない部分も)あるとは思うんですけど。

いろんな病児のお母さんたちとつながる中で、同じ状態であっても、特別児童扶養手当が受けられる・受けられない、障害者手帳を申請できる・できない、申請しても却下される・されない、もう住んでるところ、先生の診断書で全部バラバラ(とわかった)。
結局うちは抜け落ちてしまったほうなので、そんなことに不満・不平、お金のことを悩むくらいなのは、これから医療が発達して助けられる命が増えていく中で、すごい残念な状況だと思うから、もっとその状況を知ってほしいし、動いてほしい。
母親が動く元気は、もう発信するので精いっぱいです。

医療的ケア児の家族の語り

支援の必要性を理解しない担当者に敵意を抱いたこともある。親切な人もいるが積極的に情報を取りにいかないと誰も教えてくれない

嫌な経験というか、息子を見に来た役所の人が「この子がこんなに大変なのになぜお母さんは働かなきゃいけないんですか」と言われたことがあります。
バギーの日傘が必要だったときに、なんかすごく言われたこととかあって、それに対して、ものすごく頭にきて言いに行ったりとか。

役所の人が来たときに、本当に頭にきたから、息子をずっと抱かせておいたんですよ(笑)。
抱かせたまんま私は話をするんです、下ろすなよって思いながら。
その子どもの重みとか体感とか(を通して)、空想とか絵空事の話じゃないんだ、今、この命をどう育ててかなきゃいけないかを私は考えてるんだっていうことを言葉にするより早かったので。
そういうことをして簡単な仕返しをしたり。

――お住まいの地域は、比較的、制度は整っているほうっていうふうに考えてよいですか。

制度としては整ってるし、使えてる人が使っているのでものすごくいいなとは思っているんですけども、紹介の知識として、仲介役の人がやっぱり手薄になっているかなって思ってるところがあります。
行き届く人には行き届いているけど、積極的じゃない人に対してはやっぱり手薄になってしまう。

こういう制度があるんです、使ってくださいじゃなくて、「こういう制度をあなたのご家庭ではこういうふうに使えるんじゃないですか、そうすると家族の負担がこういうふうに減るんじゃないですか」って、そこまで提案できる方が少ないような感じはします。
なので、知ってる人だけ得をするじゃないけど、そういう部分はもしかしたら出てるかもしれないですね。うん。

――先ほど、バギーの日よけを購入したかったときになんか腹が立ったっていうのはどういう経緯なんですか。

バギーは申請のお金のその上限の範囲内で出せるんだけど、バギーの日よけは実費なんですって。
だから、その実費のところと実費じゃないところのあやふやさにちょっと、いらっとしていたというか。いや、大したお金がじゃないんですよ。
今、考えるとそんな3,000円とか4,000円ぐらい自分で出せばいいのに、もう何もかも敵みたく思っていたと思う(笑)。うん。

医療的ケア児の家族の語り

制度の名前が似ていて、自分の家に該当する制度がどれなのかが全くわからない。一人一人にあった制度の情報を提供してほしい

制度は何であれもう、ちんぷんかんぷんですね。
いろいろあるみたいですけど、当事者にとっちゃあ、ただ分からないの一言です(笑)。
きちんと一つ一つ調べて「これはこうじゃない?」っておっしゃる頭脳明晰(めいせき)なお母さん方もいっぱいいらっしゃるんですけど。
ざっくりした人間からしたら、この制度もあります、あの制度もあります、この制度もって、たくさん用意してくださってるけれども、よく分からないと、ほんとにそれ一言です。

なんで分からないんだろう。そこが何とかならないのと。
使う人が分かりやすいようにしてほしいですよね。

いろんな制度用意してくださってますけど、縦割りで横につながってないですし。
せっかくAIの時代になってて、やりようはあるんじゃないかと思うんで、1人の人に対して、これがポンと使えるって出していただきたいです。

だから(今は)運のようにして、使える制度に巡り合うっていうところもあってですね。
この人に聞いた制度があるから、「もしかしてこれうち使えるんですか」って聞いてみたら、「ああ、使えますよ」って出てくるとか。
そういうのじゃない仕組みづくりをしていただきたいなーっていうのは思います。

いろいろ、ご用意いただいててほんとに助かってるんですけれども、その使い方とかアクセスの面で、もうひと工夫していただけたら。
相談支援員さんって間に立ってくださる方もいらっしゃいますけど、相談支援員さんも相性があったりっていう話も聞くので、そこ頼りではなくてですね。

1人1人がポンと使いやすい制度、見える化した制度、分かりやすい言葉で言ってくれる、漢字を少なくしてくれる、はんこいらなくしてくれるっていう、そこら辺のちょっとした工夫が非常に助かるように思います。

――確かに全部名前が似ていて、どれがどれだか。

外国の方はどうするんだと思いますね、あんな全部漢字で書いてて。

医療的ケア児の家族の語り

息子が小さい頃は訪問看護やリハビリの方と話すくらい。地域の子育ての場にも入れずに、日々、緊張と孤独の中で生活していた

それ(困りごと)はもう本当に、最初のほうから考えたらたーくさんあったと思うんですけど、今ちょっと思い付くのは、やはりなんか孤独なんですよね。
仕事もしてないですし、息子とずっと2人で、話す人がまず、主人しかいないし。

会話がなくて日々ずーっと、1週間に1回来てくださる訪問看護師さんとか、リハビリの方だから気付いたら息子関係のかたがたと、その息子の病気のこと、今の症状のこと、体のこととか、病気つながりの会話を常にするし。

息子と2人きりのときは常に、緊張して、今でこそ何となくだんだん、人と人の関係ができてきたかなーとは思ってるんですけど、ほんとに赤ちゃんのときは、ずーっと何が起こるか分からないし、常に緊張して息子の様子を逐一、観察して。
何かちょっと、不安なことがあったら、書いて先生に次聞かなきゃって思ったりとかしてたので、ずっと緊張しててずーっと疲れてて。かといって、それを話す人もいなくて。

だから、そういうときに少しでも気に掛けてくれるっていうのが、ほんとにうれしいなと思いました。
今私が住んでいる市は、赤ちゃんの頃は保健師さんとかが、そういうお仕事だったと思うんですけど、保健師さんもうちだけじゃなくて、その地域のお母さん方、皆さんを見てるので、私だけに集中して、特に時間を費やすとかっていうこともできないだろうし。

(保健師も)元々病気を持ってるとか、障害を持ってる方に関するプロっていうわけではない、専門っていうわけではないと思うので。
なかなか話しづらいことだったりとか、ちょっとここ聞きたいなと思って電話しても、全然つながらなかったりとか、全然電話がかかってこなかったりとか、そういうことがすごい多くあって、誰に頼っていいのかもほんとに分からなかった。

1人でもいいので、その担当してくださる方でどんなときでも電話かけてもいいし、何かあったらすぐに言ってくださいっていう人が、それは市なのか何なのか分からないですけど、誰かいたら、もっと気持ちが穏やかに過ごせただろうなと思う。
児童館とか、普通、お子さんとお母さんたちが集まるようなところだって、私たちも興味はあるし、行きたいんだけれども、誰も行っていいって言ってくれないし。

もちろん他のお母さんたちも、行っていいと言われてはいないだろうけど、皆さんは行きたければ行くんだろうと思う。
でも、どうしても、「行ったら迷惑だろうなー」じゃないんだけど、やっぱり自分も疎外感を感じるだろうなと思うし、どういうふうにそこに行っていいか分からなかったりっていうのがあると思うので。

そういうのを相談できる人っていうか、一緒に付いてきてくれるでもいいし、案内してくれる人でもいいし、そういう人が1人でもいたらよかったなとは思います。心の面でも。

医療的ケア児の家族の語り

娘が人と触れ合う機会として訪問型児童発達支援を利用したいが、医療的ケアがあっても介護認定がないので使えないと言われた

――これまで利用していた以外のもので、こういうものを利用したいっていうようなご希望ありますか。

そうですね。もっと、人と触れ合う機会を増やしたいですし、成長を促す機会っていうのと、私がもう少し楽になれる機会っていうのも同時に欲しいですね。
訪問介護まではいかなくても、訪問看護のレスパイト事業や訪問型の児童発達支援だったり、そういうところも都内を中心にあるとは聞いているので、制度として使えたらいいのになっていうふうには思ってます。

――これまでその申請はされたんでしょうか。

申請はしてみたものの、娘の状態だと、娘は医療的ケアは必要ではあるけれども、介護が必要っていう認定は下りなくて、障害者手帳の申請も通らない。でも医療的ケアは必要っていうような状態で。

私の問い合わせた自治体の見解としては、そのようなお子さんは基本的には、就学までは親御さんが、主体的にケアをするっていう前提があるそうで、介護の認定もなく、障害者手帳もないお子さんで、児童発達支援の許可が下りた前例がないと言われて。
そもそも申請まで、こぎ着くことができなかったっていう感じです。

――そのときお母さんも、ちょっと悔しい思いというか、反論したい気持ちもあったと思うんですけど、そのとき何かおっしゃったんですか。

そうですね。
お子さんをいろいろ審査をされたりとかして、実際のうちの様子をよく分かった上で、もっと困ってる人がいるからちょっと難しいですって言われるんだったら、まだしも…。
前例がないからって言われたことに関しては、じゃあ前例って誰がつくるんだろうかとか…。

困っている、支援が必要だと思ってることは事実なのに、そこには、なかなか手が差し伸べられないんだな。じゃあ誰が助けてくれるんだろうかっていうような思いはあります。

医療的ケア児の家族の語り

訪問看護師から制度について教えてもらったり、病院のパンフレットに目を通して市役所の担当者に質問したりするように心がけていた

主治医の先生は、最初に搬送された病院で、赤ちゃんのときから今もずっと診ていただいてるんです。
そこのリハビリの先生から、「娘さんに合ったリハビリがあるよ」って言われて、リハビリだけ別の病院を紹介していただいて、そっちに関わったり。

訪問看護さんもいろいろ情報をくれたりもするので、そういうところからいろんなサービスを使ったりですとか、病院にパンフレットがたくさんあるので、まめに目を通して、自分の娘に合ったいいサービスがないかなとか。
何か疑問があったときには、市役所の担当課の方が力になってくださるので、こういうところでこういうサービス受けたいんだけどっていうふうにすると、つないでくださったり。

行政機関とも綿密に連絡を取ったりとか関係をつくることで、私自身にとってもいいサービスであるとか、娘自身にとってもいいサービスっていうのを見つけられるので、積極的にそういうところとは関わるようにしています。

娘が生まれた当時っていうのは、医ケアのあるお子さんが行けるような預かりですとか、そういったものがほとんどなくて、ただお姉ちゃんがいたので、お姉ちゃんの学校行事のときに「どっか預ける先ないですか」っていうふうにいったときに、「ないです」と。
で、「今まで、そういうサービスを利用したいという申し出もありませんでした」って言われて。
でも私たちの住む街で、まさか私たちの子が一番最初の障害児ではないので、皆さん仕方がないものとして多分、家で過ごしてらしたんだと思うんですね。

それでは何も変わっていかないだろうなと思ったので、私は結構、積極的に市役所に出向いて、こういうサービスが必要なんです、こういうサービスを利用したいんです、そのためには行政としてはどうしていただけますかっていうようなやり取りをして。

結局、行政からこういう情報がありますよ、こういうサービスがありますよっていう提供って、ほとんどしてもらえないんですね。
それは今もあまり変わらなくて、でもこちらからこうしたいんです、こういうのはどうですかっていうふうに投げ掛ければ、回答はもらえる。
だから困ったときに「どうしよう」ではなくて、自分自身から行政のほうに働き掛けをするっていうことが、当然、自分自身にも子どもにとってもいいふうに動いてくれることがあるので。

――お子さんも連れて行くんですか。

そうですね。連れて、成長を見てもらうというか、見てもらわないとどこに困ってるか、どこに私たちが大変な思いをしてるかっていうのが伝わりづらいので、なるべく連れて行くようにしています。
そうすると、部署が変わった担当の方とかも声を掛けてくださったり、「大きくなったね」っていうふうに言われると、私自身も嬉しいので、なるべく外に行くときは連れて行くようにしています。

医療的ケア児の家族の語り

在宅医療に移る際、役所の担当者が我が家を何度も訪問し、ヘルパーの時間枠や吸引器・ 補装具の支給を検討してくれた

息子が帰ってきたときの役所の担当の方がですね、大変理解が深く、家にも何度も来てくださって、こんな状況お母さん大変だと。
ヘルパーさんの枠もこれじゃ足りないと、右も左もにっちもさっちもいかない私に対して、かなり大きい枠をくださったり、その許可を求めてくださったり。

子どもの吸引器ですとか、全て揃えなければいけないんですけれども、当時は6歳以上でなければ、吸引器は支給されなかったんです。
その住んでる自治体に掛け合ってくださって、もうこれだったら仕方がないよねということで、いろんな日常用具や補装具というものを、ナビゲートいただいた経緯があって。

その方が今の、息子の生活の礎を築いてくださった、公的な礎を築いてくださったので、非常に恵まれたスタートを切ることができた、というのが大変印象に残っています。
ただ、仕事を復帰するとなったときに、大きな障害であるということは、今もこれからも変わらないと思います。
保育園ですね。保育園に預けられるかというと、それ無理なのは分かってます。

無理なのは分かってるんですが、そういった子のための選択肢というのが、5年前にはほぼなかった時代。
(そこ)から、今は少しずつできてきているという状態ですので、ぜひこの流れを、各自治体の負担にならない(ように)。

私たちが考える問題ではないんですけれども、各自治体がどれぐらい取り組んでくださるか、重要だと思ってくださるかというのは、われわれの行動にもかかっている。
ですから今回の取材もそうですけれども、積極的に外に発信できるものに関してはしていきたいというふうには思っております。

医療的ケア児の家族の語り

雨が降ると歩いてバス停まで行くのが難しく、移動支援とは別に生活サポートという事業の契約をする

あとは、雨が降ると、歩いてバス停まで行くっていうのが難しくなってくるので、そういうときはまたその移動支援っていうのとは別に、生活サポートっていう事業の契約をします。
ただ、その事業所によっては生活サポートはやってなくて、移動支援と身体介護はやってますとか、ほんとに事業所によってばらばらで。

また、天気も途中までは晴れてたけど、途中から雨が降ったとか、ものすごい風が吹いてさすがに歩いては行けないとか。
そういう途中で変わっていくものの対応みたいなのが、それも事業所によってなんだとは思うんですけど、うちはとても、今、良い関係ができてるので、臨機応変に事業所さんと、のほうで考えて、やってくれてはいます。

ただいっとき、事業所さんのほうから、新しく自分の事業所の傘下にグループとして新しい事業所ができたので、使ってみませんかって勧められたことがあって。
同じ町内の方でとても親切な方だったので、「あ、じゃあ」って言って、そちらの新しい事業所を使ったんですけど。
ある日、「雨が、降りそうです」って、「今日どうしましょう」っていう連絡をもらって、「じゃあ、いつもどおり生活サポートに切り替えてもらって」って言ったら、「うち生活サポートは取ってないんです」って言われて、それじゃあできないねって。

やれるところ、やれないところっていうのがほんとに事業所によって違うし、そこを選んでくっていうのは難しいなあとは思いますね。