インタビュー時:44歳(2021年7月)
関係:父(インタビュー29の夫)
医療的ケアのある子:次女10歳
四国在住。妻、長女、次女の4人家族。

次女は緊急帝王切開で生まれてすぐ、先天性心疾患があり、心臓手術が必要でNICUと小児科病棟に1年ほど入院した。
退院後も体調を崩しては入院し、経管栄養や人工呼吸器など医療的ケアが増えていった。のちに希少な染色体異常が分かった。
普段のケアは主に妻で、自分もできるだけケアに参加しているが、妻との差は感じる。
自宅から病院まで車で小一時間かかり、救急車を呼ぶのもためらわれることがある。もう少し近くに小児を診られる病院があればと思う。

プロフィール詳細

次女は妊娠34週に緊急帝王切開で生まれた。
断片的に心臓に異常がある可能性だけ知らされたが、それ以外はよくわからないまま話が進んでいた。
NICU(新生児集中治療室)に運ばれるまでの少しの間に顔をみることができたが、子どもの顔色は良くなく「ほんとにこのタイミングで出して大丈夫だったのか」と思った。
その日の夜、保育器の中にいる次女の姿を見ても「こんなに早く出てきて大丈夫だったのか」という感覚は拭えなかった。
名前は生まれる前から決めていたので、とりあえず手続きだけは先に済ませようと翌日に出生届を出した。

生後2週間後、心臓カテーテル検査で、先天性心疾患(肺動脈弁狭窄、心室中隔欠損症、心房中隔欠損症、動脈管開存症)で、心房と心室両方に穴が開いていて動脈の狭窄があることと、手術はもう少し大きくなってからとの説明を受けた。

次女はNICU(新生児集中治療室)を出てからも小児科病棟にほぼ1年入院し、その間心臓手術を行った。
小児病棟での付き添いも夫婦で交代でしたが、次女はほぼ24時間起きて泣き続け、とても一緒に寝られる状態ではなかった。
涙で脱水になるんじゃないかと思うくらいで、原因もわからず、とても不安だった。
後に、腸の回転異常が原因とわかり、手術して改善されたが、当時このまま原因がわからず泣き続けるなら、他の入院患者さんにも迷惑だから家に連れて帰ろうと思っていた。
子供が寝ないと自分も寝られず、今なら無理だと思うがその当時はなぜか寝なくても全然平気だった。

のちに、稀少染色体異常46.XX.der(21)t(2;21) (p23;q22.3)、肺低形成、腸回転異常に伴う中腸軸捻転、両側尿管逆流症、ウエスト症候群と診断されている。

次女が家に帰ってくるときに一番うれしかったのは、長女や祖父母に思う存分会わせてあげられることだった。
一方、当時は鼻からの酸素吸入だけのケアだったが、なにかあったら大丈夫なのかという不安はあった。
妻は長女の出産前まで看護師でケアにはすぐ慣れたが、自分は一からケアを教わった。
自分で大丈夫なのかという不安は今でもある。
日々のケアは妻がほぼ担っており、自分も一通りはできるが、妻や訪問看護やヘルパーなど、誰かしらいるときにケアを行うことが多い。

数年前、妻が腎盂腎炎で入院した。
次女も入院中で付き添いが必要だったが、仕事は休めないため次女を一時退院させ、妻がいない状況で訪問看護などを利用しながら家で次女のケアを行った。
妻側の祖母も医療的ケアができ、長女もしっかりしていたので、なんとか乗り切った。
職場には次女のことは話している。
出生後すぐに数日間休みをとる必要があり、職場に話を通しておく必要があったこと、その後も妻がインフルエンザで入院付き添いができないときに数日休みを取るなどもあった。
職場の理解はあると思う一方、気を使われすぎているように感じるときもある。

自宅から病院までは車で1時間弱かかる。
これまで次女が急変して4回ほど救急車を呼んだ。しかし田舎なので救急車がすぐ来てくれるとは限らず、また、このぐらいで救急車を呼んだら迷惑だろうかと考えて家の車で病院まで連れていったことは何度もある。
これぐらいなら持ちこたえるだろうという次女の体調に関する慣れや感覚も出てきたが、もう少し自宅から近いところに小児を診られる病院があればいいのに、と思う。

会社勤めで長期の休みは取れないが、日帰りや1泊2日で弾丸ツアー的に出かけるのが家族の楽しみだ。
次女のバギー(子ども用車椅子)は重量があるのでリフト付きのワゴン車を7,8年前に購入した。
大体の行き先を決めると、次女をケアできる広さの休憩所がどこにあるかを調べる。
外出先で一番困るのは外食だ。バギーが入れない場所が多く、テイクアウトしたり、夜の空いている時間帯を狙ったりしている。

次女が大きくなってきて、移乗介助など、体力的にいつまで親ができるのかという心配はある。
ありがたいことに長女も次女も曲がらずまっすぐ育ってくれている。
これからも子供たちが元気であってくれればというのが自分の願いだ。

私は: です。

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