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インタビュー時:41歳(2019年12月)
関係:母
医療的ケアのある子:長女5歳
首都圏在住。夫と娘の3人家族。
第一子となる長女が原因不明の先天性疾患をもって生まれ、生後まもなく気管切開をし、現在人工呼吸器を装着している。
2歳で胃ろうの手術をし、胃ろうから24時間持続的に栄養を注入している。
大学卒業後から会社員として働き、仕事復帰を望んでいるが、娘の預け先がなく復職は叶わずにいる。
仕事を再開できる環境が整うことを望んでいる。
語りの内容
通院介助を使えるまでは、公共交通機関で大学病院に行ってたんですが、バスに医療的ケアというか、障害のある人が乗ると、他のお客さまの邪魔になってしまう。
乗せ降ろしに時間がかかるので、どうしてもいい顔をされない。
それは私も肌で感じたので、あらかじめ数日前に、バスだったらバスの営業所に電話をして、時刻表はもちろん事前に調べて、この系統の何時のバスで、どこからどこまでの区間に行き帰り乗りたい。
ノンステップバスでできればお願いしたいとか、バス停の縁石の近くまでなるべく寄せてほしいとか、そういった要望をあらかじめ連絡をして乗降をする。
もちろん病院が遅くなっても大丈夫なように、時間にとんでもなくゆとりを持って予約もしますし、早く終わっても逆に乗れないような、そういう不便さもありました。
そうやって通ってたときに病院の近くで降りるとき、縁石の近くにとめてもらったので、自分の力だけで降りられそうだなと思って、「私自分で降ります」って、運転手さんに声を掛けたら、「何か心配だな。ちょっと手伝います」って言われて。
運転手さんが降りることで1~2分のタイムラグがもう生じるので、私は、ああ、嫌だなって思ってしまったんですね。
乗ってる方の視線も痛いですし、中にはね、急いでる人もいるので。
でももう運転手さん、こっち来てしまってるので、お手伝いをお願いして、運転手さんも嫌なのかなって自分の先入観で思ってたんですけど。
降りるときに運転手さんから、「利用しづらいかもしれないけど、こちらは迷惑と思ってないので、これからは全く遠慮しないで使っていい」って言われて。
他(の運転手の方もそう思うのか)は分からないですけど、そんなこと思ってくれてる人いるんだっていうのはすごくうれしかったですね。
公共交通機関を使ってもいいのかなっていう初めての経験でした。
インタビュー03
- 夫も病院でケアの指導を受けたが、成長に応じて必要となる手技や工夫が増えて母中心で回っており分担はほとんどできていない
- 子どもに障害があることが不幸なのではなく、医療的ケアがあるために社会から特別視され、孤立することが不幸なのだと思う
- 療育センターの入所は医療的ケアを理由に断られ、居場所がないと思っていたが、越境して通える療育があることをSNSで知った
- 発話はなくともうれしい時は笑い、嫌なときは寝たふりをする。ストレスがかかると血糖値があがるという形での意思の表出もある
- バス利用には事前連絡が欠かせない。乗降時に他の乗客の視線が気になっていたが、運転手が遠慮しないでといってくれた
- 仮死状態で生まれて高度医療が必要となり、こどもだけが転院搬送となった。自分としては漠然とした状況のみなんとか把握できた
- 心の準備もなく障害児の親になんてなりたくないと思った が、この子がかわいそうな子になるかどうかは自分次第だと気づいた