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インタビュー時(2021年6月)の年齢:54歳
関係:母
医療的ケアのある子:次女17歳
首都圏在住。夫、長女(大学2年生)、次女(17歳、医療的ケア児)、実母と暮らしている。
次女は気管切開があるが自立呼吸。ほぼ全盲で外出時は白杖を使っている。現在は盲学校高等部卒業後の進路を検討中、18歳を目前に医療・福祉の移行期を迎えている。家族の雰囲気を察して「大丈夫」と盛り上げてくれるムードメーカー。長女がガイドとなり、次女は東京オリンピックの聖火ランナーを務める。次女のがん再発を機に常勤職を退職したが、生命力の強い娘の様子から「娘を諦めない、でも私も諦めない」と考え、フリーランスの仕事を再開した。
語りの内容
お姉 ちゃんが保育園に行って、下の子は、一緒に連れて行ったりすると、やっぱりみんなすごい見たりとか、「怖い」とか「気持ち悪い」とか「これどうなってんの」とか「なんで首に穴空いてんの」とか「鼻に何が入ってんの」とか。
もうすっごい、いろいろ聞いてきて、グサグサになるんですけど。
だけどそこで、「もう傷ついたから連れてこない」とか、「もうみんな見ないで」とか言わないで、そのときに一つ一つ心を強くしていろいろ説明したんです。
そしたら、次のときは、「鼻から管を入れてて痛くないの?」って言う子もいれば、「知ってるよ、鼻からね、鼻とのどはつながっていてね、それもお腹につながってるの」とか言って科学的に言ってくる子とか。
やっぱり、とにかくバックボーンから出てくる自分の発言を言うんだけど、それが、なんか「気持ち悪い」とかじゃなくって、「あ、そういうことなんだ」って、すとんって入るんですよね 。
学校 の先生のほうが、「あんなに障害がたくさんあっても頑張ってるんだから、みんなで親切にして優しくしてあげましょう」とかって言うんだけど、なんかそれのほうが違うんじゃないかなとは思いましたね。
あるとき、お姉ちゃんの友達が道で会ったときに、次女も一緒にいて、「あ、妹いるんだ」とか言って。「なんか障害?」とか言うから、「ああ、目、見えてないんだよ」、「ええ?!」とか言って。
「障害者手帳とか持ってんの?」とか言って。「持ってるよ、1級だよ」て言ったら「え、すげえ!」とか言ってて。
なんかよく分かってないんですけど、よく分かんないカミングアウトで「ああ、俺の何とかも持ってる」とか言って、「ふーん」とか言って、「うちは1級だけどね」とか言ったら、「すげえな」みたいな。
そういう変な同情のまなざしがない。それはもちろん学年が上がるに従って、そんな素直っていうか、あからさまな表現はなくなっていくんですけど。
同情みたいな変な、かわいそうだよね、みたいなまなざしはないのに、教育のあれ(成果)があるのか知らないですけど、目が見えない次女に向かって…。
合唱の練習をしてたんですよね。そこにちょっと一緒に参加させてもらってたんですけど。そのときにすぐ脇でCDをかけるんだけど、「大きな音にびっくりしないですか」って聞いてきたんですよ。
「ちょっと待って」(と思って)。
私、自分が中学生のときに目の見えない子にとって、大きな音はびっくりさせるなんていう想像力がなかったので。「ああ、ちゃんとそんな知識というか、そんなことを思ってるんだ」と思って。
「今から音楽かけるよって言えばだいじょうぶだよ」って言ったんですけど。
だからほんとに、そういう意味ではすごい、若い人には可能性を感じます。