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インタビュー時:33歳(2020年11月)
関係:母
医療的ケアのある子:長女1歳6か月
首都圏在住。夫と長女の3人家族。
娘は出生後まもなく体が青ざめていき、転院先の病院で、食道閉鎖と鎖肛と診断された。
現在はバーター症候群と診断されており、1日4回胃ろうからの栄養注入と、食道を切断しているため唾液を排出する唾液ろうがある。
来年には食道をつなぐ手術を行う予定だが、これまで口から食べる経験のほとんどなかった娘にとって、食べられるようになるには食べ物に興味を持ち、口を動かす訓練などが必要となる。
現在育休中で子どもと1日中一緒にいる。
居宅訪問型の児童発達支援などを利用したいが、子どもをみるのは親の仕事という行政の意識に壁を感じる。
語りの内容
本人は分かってくれてるかどうかは分からないんですけど、ちょっと分かってくれてる言葉として、毎回、胃ろうのケアのときも唾液ろうのケアのときも、「これは大事大事だからね」って言って伝えていて。
「大事大事だから優しくね」っていうような感じで伝えてると、なんとなく娘も、「大事大事」って、こうやってなでるみたいなアクションをするんです。
んー大事か、みたいな感じで、これはとても大切なことなんだよっていうのを、伝えるように。
あとは、怖い顔してやらないようにするのは心掛けてる。
多分、怖い顔してやってると、娘も萎縮しちゃうかなと思うので…、いいことやってるんだよっていうふうに伝えるようにはしてます。
――胃ろうで、まだ口から食べられないっていうことお伺いして、でもお子さんは、いろいろ口に入れたい時期だと思うんですけれども、そのときにこういう工夫をしてるとか、説明をしてるっていうのはありますか。
娘は、スリッパだとか、ボールペンとか、口に入れてほしくない物はどんどん口に入れるんです。
でも食べ物に関しては、今まで食べてこなかったせいなのか、どちらかというと抵抗感のほうが強いです。
だからそこはリハビリで言語聴覚士さんにサポートしてもらいながら、そういう咀嚼(そしゃく)とか嚥下(えんげ)とか、そういう練習をしていて。
いわゆる一般の赤ちゃん、他のお子さんたちと同じように、口にあらゆる物は入れるんですけど、そこと食事は、なかなかつながらないみたいで。
なので、食事はなんか欲しがってくれるといいなって逆に思っていて。
娘は食べてくれなくても、食卓は一緒に囲むようにしたりとかして、逆に食欲を感じてくれるように、工夫している現状かなとは思います。
――じゃあ、普段のお食事も一緒に、お母さんがあーんってしてるところを、見てるっていう。一緒に。
そうです、そうです。
いつも大体、横に座らせて、私がご飯を「おいしい」とか言いながら(笑)食べて。
それでたまに興味を持つことがあるんで、そうするともうすかさず。
今、娘は、何を食べてもこの食道ろうから出てくるので、特に食事の制限がなくって、詰まったりするようなものでなければちょっと辛いものだったりとか、あんまり子どもに食べさせるようなものではなくっても、興味を持ったら取りあえず1回、味を感じてもらうために、どんどん何でもあげてます。
――どんな表情ですか。
あー、なんか欲しがってみたけど、違ったっていうような顔をすることが多いんですけど、でも、パンは好きな味みたいで、朝食のときは自分で進んで、参加したがる様子があります。
インタビュー08
- 日常のケアはほぼ私の仕事だが、外出予定ができると数日前から夫にケアの練習をしてもらう。娘もパパとの時間が嬉しそうだ
- 娘が人と触れ合う機会として訪問型児童発達支援を利用したいが、医療的ケアがあっても介護認定がないので使えないと言われた
- 訪問リハビリにより専門家の視点でアドバイスを受けることで、娘の成長が著しく変わったと感じている
- 1歳の娘にケアをする際には娘にも分かりやすい言葉で伝える。食べる経験が少ないので、食べることへの興味を向けようとしている
- 朝は経管栄養終了を知らせるアラーム音で目覚め、4時間置きの注入の合間に家事をこなす。動き回る娘を追いかけては注入する日々だ
- 何度も辛い思いをしながらも成長する娘は、「生きること」そのものを教えてくれる。うちの子で生まれてくれてありがとうと思う
- 来年、手術により娘が口から食べられるといいなと思っている。将来、排便が自力でできるか、食事もどのくらい進むか、まだ小さいが将来への心配はつきない
- 同じ境遇の親に会って、自分も前向きに頑張ろうと思えた。娘も周囲の人を頼りながら、自分に誇りをもって生きてほしい