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インタビュー時(2021年6月)の年齢:54歳
関係:母
医療的ケアのある子:次女17歳
首都圏在住。夫、長女(大学2年生)、次女(17歳、医療的ケア児)、実母と暮らしている。
次女は気管切開があるが自立呼吸。ほぼ全盲で外出時は白杖を使っている。現在は盲学校高等部卒業後の進路を検討中、18歳を目前に医療・福祉の移行期を迎えている。家族の雰囲気を察して「大丈夫」と盛り上げてくれるムードメーカー。長女がガイドとなり、次女は東京オリンピックの聖火ランナーを務める。次女のがん再発を機に常勤職を退職したが、生命力の強い娘の様子から「娘を諦めない、でも私も諦めない」と考え、フリーランスの仕事を再開した。
語りの内容
もともと、小さな出版社にいて、それで、フルタイムで働いてたんですけど。
自分の能力は普通(笑)なので、30半ば過ぎてからの出産っていうこともあったし、これで仕事を辞めてしまったら、また同じだけ稼ぐっていうのは厳しいし、自分も仕事が好きだったので、何とか辞めない方法を考えたかった。
こういう子がいるからこそ、正社員でいることが大事なんだと思っていたので、社会的な制度が、保障されているっていう意味でも、正社員は絶対辞めたくなかったんですけど。
(子どもの命が)そんなに長くないのかもしれないなって、これだけがんを2回もやって。だったらもう、子どもに集中してもいいかなと思ったのも、ゼロではないと思います。
ただ、辞めて、ほんと2カ月もたたないぐらいのときに、「あ、ちょっと待て」と。
「こんなに元気ならそんなことはないだろうな」って、なんかすごい生命力を感じる子だったので。そのときに、なんかスローガンじゃないんですけど、「娘を諦めない。でも私も諦めない。」
私は私の人生があるから、私も諦めちゃいけないなっていうふうにちょっと考え直して。
自分でできること、一番最初はほんとに近所の、NPOの事務局のアルバイトをしたりとか、フリーランスで今まで、やってたところをつてにして、フリーランスでそのライターとか。
あとは、それ以外にもちょっと、契約みたいな形で編集とかライターの仕事をぽつぽつと始めたんですけれど。
(娘が生まれて)ここまで来ていろいろありましたけど、唯一、後悔してると言ったら、その会社員を辞めたことだと思ってます。
だから、ほんとにもうこれから先、少なくとも子どもの障害を理由に辞めないでほしいって、ほんとに思います。
今ね、それができる方向に行ってると思うし、働き方のほうも、フルタイムで、例えばこんな事情があっても休むべきじゃないとか、そんなふうにはならない。
もちろん企業によるでしょうけれども、そういうふうにお互いが、今、少し歩み寄ってきている状態なので、そこは何とか踏ん張ってほしいなーと思います。
もちろん、それぞれの価値観だから、障害があってもなくても、子育てに専念したいっていうふうにして辞められることは、全く私は、それはそれで素晴らしい選択だと思ってるんです。
なんかこの子のせいでとか、この子がこうだったからっていうふうに言って、それを変えてしまうと、自分も後悔するけど、その子にとってもちょっと失礼かなーと思います。
だから、そこは何とか、大変なときもあると思うけど、何とか自分の人生も、自分が思ったように生きてほしいなと思います 。