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聖路加国際大学小児看護学教室教授
家族看護、小児看護を専門として、臨床では小児がんや医療的ケアなどの疾患のあるお子さんと家族に出会ってきた。研究では、慢性疾患を持つお子さんと家族が子どもから大人へと移行することへの支援をテーマにしている。現在は大学での講義や研究のほか、小児科クリニックでの臨床にも携わっている。
語りの内容
ーーストーマについて、教えてください。
ストーマは、腸のどこかに穴を開けて、そこから便を排出するものです。
腸を便が流れていくんですけれど、肛門から出すのではなく、何らかの事情で肛門から便を出せない場合に使います。
腸の途中にちっちゃな穴を開けて、そこに人工肛門というものを作り、そして便を出す。便を受け取る袋を、その近くに付けておいて、そこに便をためて、袋を換えて便を排出します。
ーー(ストーマ)を、赤ちゃんや子どもの時から使う時に、大人とは違うところはありますか。
医療の中でいわれるのは、赤ちゃんですと大人に比べて体の表面積ってとても小さいですよね。
(そのため)ストーマや、それを受ける便の袋が体に占める割合がすごく大きくなっちゃうんですね。
だから赤ちゃんが動きにくくなったりするので、なるべく赤ちゃんが動きやすいように、パウチを袋に入れて腹巻きみたいにして、動きやすくしてあげることもあります。
大人と違って赤ちゃん自身がストーマを気にしながら(生活すること)はできないですし、成長を考えた時には、一生懸命、(子ども自身で)気にしてもらうのは大変かな。
便が漏れるとか、そういったことに関して周りの大人がよく見てあげながら、ストーマを管理する必要があるというふうに思います。
ーー日常生活で、例えばプールや海に行く、温泉に入ることもできるんですか。
はい、できます。大人も、赤ちゃんも子どもでも、プールに行ったりお風呂に入ったりができます。ぜひ、世の中でストーマのことの理解が進んで、みんなが自由にプールやお風呂とかに入っていけるような、そんな社会になるといいなっていうふうに思います。
ーーストーマのケアに当たって注意しなきゃいけないことは、どんなことですか。
食べたものやお子さんの体調によって便の状態が結構変わってきたりする時もあります。
ストーマって、腸が少しだけ肌の外に盛り上がってるような形になってるんです。
その大きさに合わせて粘着テープを切って、スポッとはめて、便を入れる袋を付けていくんですね。それをなるべく上手に貼って、漏れがないようにしたい。
漏れがあると、パウチを貼っているところの肌荒れができて、パウチを貼ること自体がお子さんにとって苦痛になるので、スキンケアが大事になります。
一方で、お子さんが動きたがることもあるので、貼る時にも素早く貼らなきゃとか、形を作るのもすごく大変だったりするので、ぜひパウチを使う時にはそこの工夫を、医療者と相談しながら、うまい方法を見つけてくれたらと思います。
成長するに従って腸の状態が変わっていくと、大きさが変わることもあるんですね。
ですので、外来へ行かれた時にそんな相談をしたり、パウチの貼り方も、ぜひ一緒に医療者とご家族と、そしてお子さんとでやっていけるといいかなっていうふうに思います。
小児看護学・小林京子さん
- 尿道から膀胱に直接管を通す導尿には、清潔な操作が必要である。訓練して中学生くらいから自力で導尿をできる子どももいる
- 腸に穴をあけ袋(パウチ)をつけて便を排出するストーマは、子どもでは素早いパウチ交換、ずれない工夫を行う必要がある
- 経口で栄養を摂取することが難しい場合に、鼻から胃や腸にチューブを通したり、胃に直接穴をあけて胃ろうを作ったりする
- 肺に酸素の供給が十分にいかない場合に人工呼吸器が必要となる。酸素が届いているか、血中酸素濃度を気にしながらの生活となる
- なんらかの事情で気管内を空気がうまく通らず呼吸困難となる場合に、気管を切開する。切開後は気管内のたんの吸引をし、空気の通り道を確保する必要がある
- 在宅で医療的ケアを行う家族は、生活の中で様々なケアがスムーズにできるよう気を配る。親たちの負担を軽減するサポートが必要だ
- 人工呼吸器、胃ろう、経鼻経管栄養、痰の吸引のような通常病院で行われるようなケアを日常生活でも必要とするお子さんのことです