学校の送迎

特別支援学校は、学区域が広域のため、毎日の通学手段が問題となります。就学先が決まってから学校から徒歩圏内に引っ越したという方もいますが、きょうだい児の学校や、親の就業先の都合で引っ越しはそう簡単ではありません。
特別支援学校の通学バスに乗っていく方法がありますが、気管切開をしていると通学中に吸引が必要となる場合を想定し、安全が確保できない等の理由で断られることが多いようです。そうなると、親が自家用車で送迎したり、公共交通機関やタクシーを使ったり、といった対応が必要になります。

通学バスに乗れない

気管切開があるため、通学バスの乗車ができないと言われ、自家用車で送迎することにしたものの、親が一人で運転し、吸引が必要になれば路肩に止めてケアするなど集中して運転ができずに危険や不安を感じている方も多くいます。また、公共交通機関やタクシーでの送迎には経済的、時間的な負担を感じるという方が多くいます。

学校までタクシーで通ったがあまりに高額で経済的に厳しかったという語りもあります。

就学相談で気管切開があって通学バスに乗れないので、代わりに自家用車で通うことを勧められることがあります。次の方は車の免許を持っておらず、免許を取るよう勧められたのですが、日々の子どものケアで精一杯で免許を取りに行く時間はなく、驚きの通学方法をとりました。

最近は、医療的ケア児を受け入れる保育園も増えてきて、母親が保育園に預けて就業を継続できるケースも増えています。しかし、小学校への就学にあたり、付き添いや送迎が必要なため、親が就業を断念しなくてはならないことを危惧している方もいます。

自家用車での通学でも、毎日の乗せ降ろしで、腰痛持ちになってしまう親も多くいます。この方は自家用車通学に合わせたヘルパーさんを頼んでいます。

自治体ごとの通学支援制度

医ケア児の通学問題への対応は自治体によって大きく異なります。
通学支援の助成や制度が自治体ごとにできており、医療的ケア児専用のスクールバスを配備する自治体、介護タクシーに補助金を出す自治体などもあるようです。
しかし、制度があっても付き添いの看護師の確保ができない、介護タクシーや訪問看護師を探すのは親任せなど、制度を活かしきれないという問題もまだまだ抱えています。

医ケア児専用スクールバスやヘルパーの車による移動支援などの通学手段ができた場合も、ヘルパーは吸引できない、親は同乗できないなどの様々な制約があり、通常のスクールバスに乗れる子も送迎時の乗せ降ろしの親の負担やきょうだい児の育児との両立に悩む方は多くいました。

2023年7月公開

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