統計的エビデンスと個別の体験の有機的な統合をめざした、小さな巨人の旅立ちを悼みつつ
2016年2月21日、英国のDIPEx(現Healthtalk）の創設者であり、著名な薬理学者であるAndrew Herxheimerさんが、2月21日夜にお亡くなりになりました。90歳でした。
乳がんを体験した一般医のAnn McPhersonさんと膝関節の置換手術を受けたHerxheimerさんがお互いに医療者として医学知識は持っているのに、患者としての経験について無知であったことについて二人で話をするうちに、個人の病い体験をデータベース化することを思いついたのが、DIPExの始まりです。
ナラティブや経験を重視するDIPExの生みの親でありながら、世界のエビデンスベイスドメディシン（EBM）を牽引してきたCochrane Centreの名誉フェローでもあるHerxheimerさんは、大変小柄な方で、スターウォーズのヨーダを髣髴とさせる容貌で、まさに小さな巨人でした。
2011年にMcPhersonさんを亡くし、今回Herxheimerさんが旅立たれたことにより、DIPExは生みの親を両親とも失ったことになります。が、幸い英国のDIPExは後継者に恵まれ、今も発展を続けています。日本の私たちは英国に比べるとまだまだ小さな組織に過ぎませんが、
Herxheimerさんからいただいた素晴らしい知の遺産を大切にして、これからも頑張って行きたいと思います。
