語りの内容
当時、私は12月の残りの期間、1月と2月のすべてを使ってインターネットや偶然にもすばらしい発見できた前立腺癌慈善団体、そしてNHSの様々な臨床家を含めた情報源から、貪欲に情報を収集しました。それから、いろいろな治療法の利点を独自で評価して、比較表を作成しました。
ですので、この表がどのくらい効果的に働いているか、さらに個々の相対的な比較がどの程度できるかということを、公平な観点で捉えることができたと思います。私にとって有用な科学的根拠や情報を可能な限り探して、選択可能な治療を採点しました。つまり、根治的前立腺全摘除術、腹腔鏡下前立腺全摘除術、ロボット支援術、高密度焦点式超音波による治療、高線量率組織内照射治療、外照射療法や、例えば比較的妥当性が欠けるもの含めると、明らかに私には適さない治療法として早々に除外した凍結外科手術といった治療法も調べました。詳しく調べて各々を評価した結果、最終的には二つの選択肢に絞られました。ひとつは時間的な制約のあるもので、基本的には何もしない、つまり監視的待機です。PSA検査や生検を定期的に行ない、治療の必要が生じた時点で治療を開始するという方法です。もうひとつが、ロボット支援手術でした。
最終的に考えると、2月の外来予約よりも前の時点で私は外科治療に傾いていました。理由は、監視的待機というアプローチは結局は外科手術に行き着くだろう、その時にはさらに年をとっているから手術時の麻酔のリスクが増すことになるであろうということ、また、病気の進行度をみる検査が的確かつタイムリーに行われることが自分の命運を左右するであろう、という2点でした。そして私は、監視的待機という選択が、麻酔のリスクを増大させるばかりでなく、病気が進行して、さらに恐ろしい状況になってしまう危険性に不安を感じたのです。
インタビュー55
- 前立腺生検のような検査の際の患者のプライバシーと尊厳に対する配慮に欠ける点があると感じた
- 診断を受けるとすぐに、インターネットで検索し、有用な情報と”ゴミ情報”を見分けることができた
- DIPExのサイトを見つけ、先輩患者(先に同じ前立腺癌になった患者)と話をし、ほかの患者の体験が役にたった。これらの情報は、何が期待できるかを知るのに手助けとなった
- NHSの情報提供が改善され、誰もがインターネットで自分に役立つような情報を探せるようになることを願っている
- ロボット装置は、外科医の手の震えをなくし、きわめて精緻な動きを可能にしたと説明している
- どのように自分がこの新しいタイプの手術を受けることに決めたかを語っている
- 手術の2週間前に、術前評価が行われた
- 泌尿器専門ナースは患者が骨盤底強化エクササイズのやり方を正しく理解しているかどうかの確認を行った
- 手術は順調に行き、患者は麻酔から覚めたとき痛みを感じなかった
- 患者は翌日ベッドから降り、異なる2種類のカテーテル袋を渡されて帰宅した
- 彼はすぐに回復し、帰宅して2日後には短距離の外出ができるようになったが、薬を飲まなければならず、この薬は下痢を引き起こした
- 彼は、カテーテルを除去した後、失禁を起こしていないことを知って喜んだ。仕事を休んだのはわずか4週間に過ぎなかった