投稿者「dipex-j」のアーカイブ

英国人の前立腺がんの語り

経過観察を続けられない主治医や妻からのプレッシャーを強調する

私がロンドンで生検を受けたときには強い憤りを感じました。それは、「あなたをすぐに手術します」という専門医の言葉があったからで、手術について調べていた私にとって、失禁や性生活の不充足は手術に対する不安を抱かせました。
私はこの専門医に診てもらいましたが、彼はすべて自分で決定し、生検だけでなく手術の執刀に関しても口を挟んだのです。これは非常に腹立たしいものでした。「私が執刀した400例のうち失敗したのは1割だけだ」という彼の言葉に、「でもその1割に入りたくありません」と私は返答しました。
妻は妻でとても素敵な方法で私を困らせてくれます。子供達は別々に暮らしていますが、一人はロンドン、一人はスコットランド、その他の子も別の地域に暮らしています(詳細不明)。子供達は毎月電話をくれますが、2年経った今でさえ「調子はどう、お父さん。」と言われます。とても愛しいけれども、すごく感謝しているとは言い難いですね。

英国人の前立腺がんの語り

経過観察を続けられない家族からのプレッシャーについて述べる

副作用のことなんかを読んで知っていたし、何もするつもりはなかった。主治医も前立腺がんをもっている人はざらで病気の進行はこれこれでと言うくらいで何もするつもりはなかった。そしたら家族の者が心配して言ったんですよ。「お父さん、病気はがんなのよ。何かしないと。いくら進行がおそいといってもずっと大きくならないわけじゃないし。70歳をこえたら – 今私は68歳ですが – 手術をしてもらえなくなる。高齢になってから手術をしても寿命はのびないから」とね。そんな風に家族に言われて私も少し考え直すことにしました。それが8月頃でした。

英国人の前立腺がんの語り

アフリカ系の男性達には経過観察は勧められないと知らせられた事を主張する

監視的待機は選択肢として示され、検討されました。しかし医師は、私には適切な手段ではないと指摘しました。彼女はある研究の立ち上げに関わっていましたが、その予備試験の結果指摘されたのは、アフリカ系男性についてです。アフリカ系男性の前立腺がんは独特で、アジアやヨーロッパ系の人々よりも活発で攻撃的だというのです。従ってもし他の手段、他の治療が得られるのなら、主治医は監視的待機よりもそちらを行うほうが望ましいと言うのです。ですから、アフリカ系男性の前立腺がんは、他の人種より活動的だという指摘はあるのです。

英国人の前立腺がんの語り

監視的待機を単純な無知になぞらえている

砂の中に頭を埋めてしまって(何も現実をみたくない)と言うことはできたかも知れません。主治医(外科医)はそんな選択肢も示してくれたと思います.私は劇場などに行ってもすごい恐がり屋でしたし、もし、その手術(根治的前立腺摘除術)を受けるのが耐えられないと言えば、そんなときにはきっと打って付けの大講義をしてくれる、そんな先生なのです.幸いに、手術を受けると言うことで私たちも納得していました。でも、もし私たちがあれこれと逃げていたら、先生はきっと厳しく注意なさったと思います。

英国人の前立腺がんの語り

自分には監視的待機は耐えられなかっただろうと結論している

――いまから振り返ってみて、何もしないという選択肢もあればよかったと思いませんか?

いや、それができたとは思いません。癌を除去しなければならないのだから、それはないな。いろいろ考え回ったところで、依然として癌はそこにあるのだから。実際、まだやっていて、だれかが何かをやってくれていると思ったら、何もしないなんてことは耐えられないな。

英国人の前立腺がんの語り

NHSの情報提供が改善され、誰もがインターネットで自分に役立つような情報を探せるようになることを願っている

関わった医療者達から自発的に与えられることのなかった情報を入手するため、結局は自分から積極的に情報を収集することになりました。
今思うと、多くの点において運が良かった。つまり、インターネット検索にはかなり長けていて経験もあり、良い情報の入手法を知っていた。さらに、自宅で高速ブロードバンドを利用できたし、臨床家あるいは管理者としてNHSに31年勤めていたことも運がよかった。だから非常に早く有用な情報に到達できました。でも、もしこの環境がなかったら、自分にあった治療を決断する情報を見つけ出すのは難しかっただろうと思います。
NHSでは患者に対する情報開示を早急に開始するように奨励しています。また、NHS本部以外にも多くの情報源があり、中でもオンラインのツールはとても有効だといえます。しかし、20年後仮に息子が同じ状況に陥った時を考えると、NHSがより豊富でかつ詳細で、明確な、さらにより科学的根拠に基づいた文献資料の開示を備えている情報源であることも期待しています。自動的に定休押される文献資料に付け加えて、良し悪しの判断を個人に委ねるのではなく、他の信頼できる情報源への道しるべとなることも期待しています。

英国人の前立腺がんの語り

DIPExのサイトを見つけ、先輩患者(先に同じ前立腺癌になった患者)と話をし、ほかの患者の体験が役にたった。これらの情報は、何が期待できるかを知るのに手助けとなった

――助けになる体験談は見つかりましたか?

はい。主に利用した情報源は、DIPExと前立腺癌の慈善団体でした。DIPExには、自分が最も興味を持つ専門的治療に関する詳細な語りはありませんでした。しかし、前立腺癌全般やスクリーニングテスト、各種検査についての体験談がたくさんありました。私が受けたいと考えている外科療法に近縁の方法について話す人々もいました。ええ、私自身の期待や考えを治療過程を経てきた人の経験と関連づけることができたという意味では、非常に有用であったといえます。DIPExの談話はたいてい平易な英語でしたし、さらに基本的な人間としての体験を率直に話していることが、とても参考になりました。他の情報源を通して築いた学術的あるいは理論的な理解に、病気に対する心構えを付け加えることができたといえます。

英国人の前立腺がんの語り

診断を受けるとすぐに、インターネットで検索し、有用な情報と”ゴミ情報”を見分けることができた

妻と私はスターバックスによく通い、私はコーヒーを飲みながら妻にニュースを伝え、また彼女を支え、安堵させるような言葉を語っていました。その後では、良い情報を見つけて、何をすべきかを考える探索がはじまったものでした。

――なるほど

それ(癌という診断)はショックでしたが、メタメタになってしまうというほどのショックではありませんでした。癌と闘うにはどうすればよいか、計画を練るため、パソコンに直行し、ブロードバンドにアクセスするには十分な衝撃でした。

――で、インターネットは役にたちましたか?

えぇ、インターネットは素晴らしいですよ。もっとも、インターネットでは、どんな検索を行っても、祝福するような情報と呪いのような悪い情報が同時にひっかかってきます。良い情報とくず情報を嗅ぎ分ける能力と技術に熟達するほど、インターネットは有用性を増します。でもゴミ情報の多さには事欠きませんけどね。情報を見分けながら、徹底的に情報源をさらう必要があります。検索やネットサーフィンをしていて、私が心がけるのは。異なるエビデンスの情報源を測量して、皆が同じようなことを言っていたとしても、根拠がすぐれていると思われるエビデンスの流れのほうにより大きな信頼を置くということです。そして、研究があまり行われていなかったり、検証がいい加減なものにはより否定的なラインを引くことにしてきましたが、世間にはそんなものが一杯あります。

英国人の前立腺がんの語り

アメリカのインタネット・サイトから得た情報について語っている

私は家族の2人からアドバイスを受けました。2人の泌尿器科の専門医からアドバイスを受けましたが、家庭医達からは何のアドバイスももらえませんでした。実は私が登録している家庭医はしばしば体調を崩して休み、行くたびに別のドクターに診てもらうはめになっていたのです。ですから紹介状を書いてもらう以上のアドバイスをうける所まで行きませんでした。私はインターネットにアクセスして、情報サービスを行ってくれるサイトに登録しました。アメリカのサイトだと思いますが、毎週のように泌尿器科に関する最新の記事の概要を受け取っています。実際にそのサイトから受け取る情報の半分は前立腺に関するもので、おそらくその3分の2は前立腺がんに関するものでした。そして、その中のいくつかはとても興味深く、要約が十分に興味を惹かれた時には論文の全文を読みます。全く簡単にできるのです。

英国人の前立腺がんの語り

最も充実していて、最も有用なアドバイスは、前立腺がんチャリティから得た情報だったと結論

癌が見つかったと聞いた時には、言うまでもなくショックでした。それから泌尿器科医に、癌が前立腺以外にも広がっていないか確認するために、MRI検査と骨のスキャンを受けさせられました。それでも治療法に関して選択肢は二つしかないと言われました。一つは、前立腺切除という手っとり早い方法。もう一つは、確か12週間に渡って毎日受ける放射線療法でした。彼は、小冊子を送ってくれると言ったんですが、1週間経っても来ないから、私と家内はできるだけ早く、自分たちであらゆる情報を集めようと決めたんです。インターネットを使える親戚や友人達が、治療法のリストが掲載してあるウェブサイトから助けになる情報のプリントアウトや、本を私に送ってくれるようになりました。そういったものは皆、様々な慈善電話相談窓口から手に入れることができます。最も豊富で有益な情報は、ロンドンのDu Cane Road にあるProstate Cancer Charity(前立腺癌慈善団体)から出されていて、各治療法や様々な副作用についての実例等記載書を出版しているんです。特に役に立ったのが、様々な治療を受けた人のリストで、治療の日にちや彼らの電話番号を知ることができました。つまり、実際に経験した人と電話で話すことができたんです。