投稿者「dipex-j」のアーカイブ

英国人の前立腺がんの語り

医師の面倒見が悪かったので、キャンサー・バックアップや前立腺がんチャリティーから情報を求めたと説明している

――この段階で何か情報を与えられましたか?

医師達からは全く何の情報ももらえなかったね。 進行した前立腺ガンだ、とだけ話され、診察室を去った、これだけだ。 私は何人かの医師と付き合ったが、・・・・。
私がこのような病気に罹ったと言う考えに慣れてきた時に知りたかったことはこの病気に関するすべてだった。 同病の大半の人達と同じように私は、前立腺がどこにあるか、その働きは何か、など全く知らなかった。 それですぐに CancerBACUP に電話して彼らがもっている全ての情報を送ってくれるように頼んだ。 前立腺がんチャリティー(Prostate Cancer Charity)にも連絡をとって同じことを頼んだ。 両方の人達と話し、この病気に関する全ての基礎的な事柄を質問し、また、関係する本をいろいろ探し求めて、幅広く勉強した。 2~3ヶ月ほどして最初の頃に比べて遙かに多くの知識を得て、多分最初に考えたほど悪いものではないかもしれない、と考え始めた。ただ、誰かが最初から私の横に座ってこの間の苦労を一緒に付き合ってくれていたらなあ、と思うよ。

英国人の前立腺がんの語り

マダム・キュリー・チャリティーから有用なアドバイスや情報を得たと語っている

キュリー財団には病気について熟知している退職後のシスターがいて、誰もそんなふうには説明してくれなかったけど、私のために絵を書いてくれたりして、自分の身に何が起ころうとしているかを説明してくれました。

――あなたに説明してくれた行為は単にボランティア(慈善事業)としてだったのですか?

そうです。ボランテイアとしてです

――どのボランテイア団体?がんリンクとか?

キュリー夫人財団か何かでした。

――キュリー夫人財団が情報を与えてくれたのですか?

そこではお茶を飲むような部屋はありませんでしたが、ただ、座って待って看護師、つまりシスターと予約をしました。シスターは看護師を退職した人で一時間あまり一緒に座ってどんなことでも説明してくれました。財団にはパンフレットが本当にたくさんあって、それを読めばどんな食生活をしていけばいいのかとか、どんなふうに過ごしたらいいかとか、ありとあらゆることについて知ることができます。 そこでは医者から聞く話よりたくさんのことについての情報を得ることが出来ましたし、病気についていろいろ情報を得たい人にはお勧めです。 医者と言っても私が知る限りの医者についてだけですが、医者よりもいろいろ知識を得ることができます。財団ではそんな活動をしていて三月に始まり4週間やっています。

英国人の前立腺がんの語り

主治医が、自助努力や代替医療のこと、心理的ケアの側面などについても議論してくれたらよかったのにと思っている

予約は取ったものの、一ヶ月先いやMRI後17日後でした。緊張もあって私には長く感じました。予約が早まれば、その分早く先生に診てもらえたと思います。実際の処方はホルモン療法と放射線療法で、さまざまな選択肢を調べましたが、この二つは代表的な治療法でした。ここで言っておきたいのは、泌尿器科医がこういった私の情報収集に対してあまり良い考えを持ってはいなかったということです。私自身としては当然の流れで、信用できるテキストがあったので情報収集のため本屋に足を運びました。たいていテキスト通りの治療方針になると思い、繰り返し読みました。予想していた通り生物学的治療が主体でしたが、専門医は自らが専門とする領域しか扱わないという事実に直面する機会が幾度かありました。それはそれで良いのですが、精神面、治療の選択肢、代替療法やセルフケアに対してまったく触れることがないのには少し驚きました。専門的治療だけでなく補助的治療も有益な可能性がありまして、一個人について言うと、例えば食生活を変えた場合がそれにあたると思います。実際、食事療法をうまく活用し効果のあった方々に会う機会がありました。専門家は常に「根拠がない」の一点張りでしたが、彼が私の問いに対して不快な顔をした時も、それは覚悟していましたし、私は特殊な治療を知りたかったのです。

英国人の前立腺がんの語り

他の選択肢や根治的前立腺全摘除術の副作用についてもっと慎重に考えればよかったと思っている

――その時点での診察でどれくらいの情報と時間が与えられましたか?

聞かされた事は、その深刻な事態が確実に、言葉通りがんであるという事でした。そして説明された事実は前立腺を切除するという手術である根治的前立腺切除が第一の選択であるとの事でした。化学療法と放射線治療という違う治療、また実際、様々な製薬会社との臨床テストという方法の選択肢もありました。しかし私の年齢と早期検診による希望からも根治的前立腺切除という提案、私はこれを提案と言いますが、これを受け前立腺の切除をすべきであると率直に思いました。

――その時点で全ての副作用についてきちんと説明されましたか?

いいえ。おそらく誰のせいでもなく、いずれにせよ確認しなかった私が悪かったと思いますが副作用についてはありませんでした。それにその独特な局面で伝えられたニュースが大手術の可能性であると吸収するのは十分辛いことですから。私がされた説明は、確かに大手術だという事でしたが、手術を受けた場合の、手段の前景ではなく背景について聞かれました。
しかし素直に根治的前立腺切除を受けた理由は、早期検診と完全な治癒の希望が理由です。

英国人の前立腺がんの語り

担当の専門家からは十分な情報やアドバイスが与えられなかったと言っている

――あなたが前立腺ガンであると医師から初めて説明を受けた時、どのような気持ちだったのでしょうか。

私はそれがどんなものなのか尋ねたら、「まあ、手術もできますけど、あなたは年令が行き過ぎてるから、できないかもしれない」と言われました。

――医師がそう言ったのですか。

はい、そうです。

――医師から前立腺ガンについてもう少し説明はなかったのですか?画像とか図表など見せませんでしたか。

まったくありません。

――なにもない・・・ではクリニックでどれくらいの時間医師と話をされたのでしょうか。

4分程。

――4分ですか?長いとは言えませんね。あなたが他の人とガンについて話すということはありましたか?例えば看護師のうちのひとりとか。

いいえ、私が会った人はいつも専門家というわけじゃなかった。 二人がそうでしたね、Dr.Xともう一人若い医師がいました。Dr.Xとは検査装置の中で話しました。検査後彼が言ったのは、「いいでしょう。予約は6ヶ月置きにしましょう」。

――診察の時医師がガンについて話した時間は4分ほどだったと、おしゃいましたね。

4分もないかもしれない。

――医師に対して他に質問はしなかったのですか?

もちろんしましたよ。どうして治療などについての説明がないのかとか、腹部注射をとか。

――医師は注射がどんなものか、説明しましたか。

いいえ、しませんでした。

英国人の前立腺がんの語り

よく説明はしてもらったが、何ができるかについて合意がなかったことに失望していると述べている

私はあらゆることを非常に詳しく説明し、どんな質問にも的確に答えてくれる腫瘍専門研修医の説明に非常に感銘をうけました。ですから、個人的にはその専門医は全ての情報を与えて下さったのだろうと感じ、非常によく説明して下さったと思いました。病気へアプローチに関して何が最善であるかという点で合意を示す総合評価尺度など何もないし、国によって治療は山ほど変わるということは私もよく承知しています。ですから私には何もわかりません。私は医療関係の友人と議論し、私の分かる範囲で決断した選択、また決断された選択が最近の考え方からすれば、どれも良いように思います。私は色々な段階で何をすべきか、何ができるかを示すデータがないことに、やや失望していますが、情報の流れには満足していると思うのです。

英国人の前立腺がんの語り

医師からよく説明はしてもらったが、もっと誘導してくれたら良かったと思っている

医師は「治療の選択肢は3つあります。定期的にPSA値の検査をしながら特別な治療をせず経過観察をする待機療法、放射線療法、手術療法です。決めるのはあなたです。」と言いました。私が決断を下すのに手を差し伸べてくれる人は全くいなかったし、どの治療が私にはベストなのかをアドバイスしてくれる人もいませんでした。この病気に関してあまり知識のない私でしたから少し不安でしたが、医師からは月曜日までに私の決断を知らせて欲しいと言われました。
担当の外科医が前立腺に関するパンフレットをくれ色々話し合いもしましたが、どの選択肢を取ればよいかという助言はしてくれませんでした。私が自分で決めることだと言うばかりでした。そのわけは、この治療は今後10年にわたって調査していくもので、それに患者達はそれぞれ異なったコースの選択をするので、どの選択肢を選んだ人が生存したかは結局10年後にしかわからないと、遠回しに、そのように言われました。
でも私にはなんら具体的なアドバイスもありませんでした。

英国人の前立腺がんの語り

進行した前立腺がんの患者には治療選択肢が限定されている理由を説明している

初期段階ならもちろん、何も・・・、そんなステージの進行した癌患者には治療選択肢はありません。基本的には、当時私に分かっていたことは、ホルモン治療を受けるか何もしないことだったと言えるでしょうね。前立腺癌が外側まで広がってしまった患者に、できる手術がないことについては、私の知る限り完全に意見が一致していたと思います。状況は、もっともっと悪かったでしょう。前立腺の外に広がっていなければ、よかったけれど、意思決定のプロセスは、今にして思えば、とても難しかった。先日、まさにそんなステージの友人に会ったのだけれど、何と言ってよいのか言葉がみつかりませんでした。

英国人の前立腺がんの語り

治療選択肢をまったく教えてもらえなかったと思っている

正直に言うと、選択肢は全く与えられませんでした。ただTURP(経尿道的前立腺切除)手術が必要だと言われただけです。「TURP手術を行ったら、切除した部分を検査、分析します。つまり生検です。もしそれが癌だったら、進行性の癌だったら、放射線治療が必要となります」と言われました。一切の選択肢は与えられませんでした。私にはされなかった手術なのですが・・、ええと、なんて言うんでしたっけ?

――前立腺切除術?

そう、前立腺全体を再建する・・・

――前立腺を全部取るのですか?

その通り。これはもっと若い人にはよいようだけれど、年齢が上がるとそれほど効果的ではないらしい。大きな問題は、術後、尿失禁になる可能性があること。この(手術を受けるという)選択肢は私には与えられなかったけれど、尿失禁になってしまうのはあまりいいことではありません。

――いまから振り返ってみて、何もしないという選択肢もあればよかったと思いませんか?

いや、それができたとは思いません。癌を除去しなければならないのだから、それはないな。いろいろ考え回ったところで、依然として癌はそこにあるのだから。実際、まだやっていて、だれかが何かをやってくれていると思ったら、何もしないなんてことは耐えられないな。

英国人の前立腺がんの語り

なぜ放射線治療を思いとどまったかを説明している

つまり、何と呼ぶにせよ、これは転移性の癌です。それから少しして、私たちは泌尿器科へ戻り、もう一度選択肢を並べて検討しました。もはや手術は選択肢ではありません。残りの2つのうち、私としては放射線治療を受けることになるのだろうと思いました。もっとも、私は専門家ではありませんからただそう思っただけです。しかし彼らは、差し当たってやってみるべきなのはホルモン注射だと言いました。これが方針です。放射線治療ではなく、ホルモンです。ホルモン注射が始まる前に、2~3ヵ月ほど同じ作用を持つ錠剤を服用するのですが、私もそうしました。錠剤の名前は忘れましたが、その後、地域のヘルスセンターで注射が始まり、現在も続いています。今までに3回くらい受けたはずです。3ヵ月ごとです。毎月型のものと3ヵ月に1回型のものがあって、私は3ヵ月に1回の注射を受けています。

――あなたは放射線治療を望んでいたようですが、なぜ放射線治療に適していないのか、説明はありましたか?

彼らによると、放射線治療には副作用があって、このステージでは適切でないとのことでした。不快な副作用があるため、現時点ではホルモン治療を行う方が親切だと考えたのです。それなら誰もが受け入れます。そういうことです。私は受け入れざるを得ませんでした。けれども、おっしゃるとおりです。心の底にはわだかまりがありました。工学の知識があるので、ホルモン注射よりも放射線治療の方が、確実で予防効果が高い方法だと考えました。しかし、彼らはその考えに反対しました。ホルモンが最良の方法だと言うので、受け入れざるを得なかったのです。