投稿者「dipex-j」のアーカイブ

英国人の前立腺がんの語り

生検の不快感をゴムバンドでパチンと弾かれたような感じと喩えている

不快であるだろうと言われた6カ所の生検は、ゴムバンドでパチンと弾かれたようなちょっとした痛みを感じました。お尻の中で弾けるというのが正しいかなと思います。腰の中に大きなチューブを突っ込まれ、器具で6カ所もサンプルをとられるというのは、おわかりいただけると思いますが、あまり気分のよいものではありません。すべて終わるのに、せいぜい20分程度だったと思います。私は数えていましたが、医師は残念そうに2箇所は上手くいかなかったといい、6箇所のはずが8箇所採ったのです。

英国人の前立腺がんの語り

生検の手順と、それを行った理由について説明している

基本的に、前立腺がんについて何か言われても5年以上経っていれば、そのことをすっかり忘れてかまわない。残念なことに、ほとんどの家庭医は(前立腺がんについての)知識が1970年で止まっているからちょっと厄介だね。もし泌尿器科医が直腸指診をして、前立腺が片側や両側に広がっているというような形状からなんらかの異常を見つければ,彼はほぼ確実に生検をやりたがるよ。今じゃ生検は超音波機能付きのプローブ(探り棒)を直腸に入れてやるんだが、医師は前立腺の位置を正確にモニター上で見ることができる。プローブは有り体に言えばバナナのような格好をしていて、プローブの先端からは空気圧で針が一刺しに飛び出して、組織標本を取れるようになっている。その目的は、前立腺の周辺組織を3~6サンプル取ることで、とても鋭利な針で小さな芯の部分を取り出して検査に出し、内容物を調べてもらうんだ。
つらいのは、もしそこで何も見つからなくても、針で狭い範囲を6箇所つつくことだ。ベッドから飛び出すか苦しくて悲鳴をあげるような大きな痛みはないけれど、ふだん横向きで寝ていて「ウー」と呻いているようなところさ。おそらくその痛みを秤にかけると、歯に注射されるときの1/10くらいの痛みだから、怖がることはないよ。そしてそのあと取り出した芯を調べる。時計の文字盤の上に各芯につき「芯1は12時のところ」とマークする所かあるが、ただ芯を取り出すだけという所もある。私の場合、それがどこから取り出したかの記載はなかったけれど、そのうちの3つは20%ががんに侵されていると言われた。もしも医者が戻ってきてどこにもがんはないと言ったとしても、おそらくまだがんはあって、ただその3ヶ所に当たらなかっただけだと考えるとショッキングなことだよ。だって、普通は全部の腺ががんに侵されるわけじゃなく限られた範囲だからね。

英国人の前立腺がんの語り

生検の際に感じた軽い不快感について述べている

――生検はどうだったか他の方々のためにお話してもらえますか?

はい。スキャンをしてくれた看護師が生検を行いました。体全体のではなく狭い部分をスキャンするものです。看護師は「これは少し痛みを感じるかもしれません。穴を開けますので」と言いました。それから中の方を少し採取しますと説明してくれました。「詳しく説明します」と言いましたが、正直言って何ヶ所だったか覚えていません。3ケ所か6ヵ所かそのくらいでした。確かに刺された感覚はありましたが、ほんの一瞬でわずかな痛みでした。それから抗生物質の錠剤も渡され、刺した跡に多少出血があるかもしれないが心配いらない、穿刺するとそうなるが2、3日で治まるとのことでした。

――それほど不快なものではなかったということ?

ええ、そんなことありません。ハチに刺されるほどでもないそんな感じです。苦しんでのたうち回るということはありませんでした。

英国人の前立腺がんの語り

骨シンチグラフィとMRI検査の違いについて説明している

――その段階で骨シンチグラフィを受けましましたか?

はい、今回も受けました。今までに3回受けましたが転移は見つかっていません。

――他の人たちのために、骨シンチグラフィがどんなものであるか説明していただけませんか?

そうですね、実際にはほとんどレントゲン検査のようなものです。台の上に寝ると機械の中に入っていって撮影装置が体の正面に来ます。シリンダー中に寝ている感じですね。撮影装置が体と骨の位置関係を表す地図を作る間、機械の中を一定の速度で通り抜けていきます。閉所恐怖症の人なら少し心配でしょうが、本当にすぐ終わります。しかしMRIはもっと厄介です。その管の中に長時間居るのですから、とても心配にならないとも限りません。でも骨シンチグラフィは比較的痛くありません。いや、痛みはありませんでした。正に、横になってゆっくり動いていく、全身を撮影できるようにゆっくりと管の中を通る、といった感覚ですね。それに伴う痛みや類似の感覚はありませんでした。全く無いですね。

英国人の前立腺がんの語り

画像診断で痛みを伴うことは全くないと言えるが、一部の患者にとっては閉鎖恐怖症を引き起こすことがある

――あなたが話されたスキャン(画像診断検査)のことを説明していただけますか? それはCTでしたか?

実際には、CTスキャンとMRIスキャンがありました。CTスキャンでは腕に注射をされました。普通の注射ですよ。3時間ほど待たされましたが、その間はまったく自由で、外出して町中を自由に歩き回り、したいことを何でもして、戻りました。それから指示により検査台に横たわり、身動きをせず、その間に走査カメラが私の身体を頭から足先まで走査しました。私は医師達が何を探しているのか知りませんでしたが、何の苦痛も無かったことは誰にでも確言できます。
MRIスキャンは身体の軟部組織を調べていたのだと思います。検査台は可動式で検査される人を筒状装置に入れました。この場合、ある人々は閉所恐怖症の感じるでしょうが、検査する人にちょっと”頭をちょっと筒の外に出してもらえるか?”と言えば直ちに対応して貰えます。問題ありませんよ。20分ほどかかりますが、その間自分のもっている好きなCDをかけてくれますし、これも全く痛み無しです。私の場合は、検査の結果、最終的な専門医の意見は放射線治療をしようということになりました。

英国人の前立腺がんの語り

骨シンチを受ける時に感じた不安感について語っている

確か午前11時頃に放射性医薬品の注射を受けに行きました。何であったかはよく分からないのですが、後の血液検査で出てくるものでした。注射を受け、2、3時間待ってから全身の写真を撮りました。この間に両親とパブで昼食を取りました。皆陽気に振舞って、何か非現実的でもありましたが、行ってよかったと思っています。
それから妻と病院に戻り、全身の撮影を受けましたが、所要時間は上半身に20分間、下半身に20分間:合わせて40分くらいかけて全身を撮影しました。結果は全く知らされませんでした。これって一番の不安材料なのですよね。検査を担当した女性技師に「5分後くらいに私が戻ってきたら帰っていいですよ。それから結果を主治医に渡しますから。」と言われました。しかし、時間がかかったようで、結局彼女が戻って来たのは25分くらい経ってからでした。その間に私はとても神経質になりました。もしかしたら何かが見つかったのかも知れない、また他の検査をしなくてはならないかも知れない、と、精神的に敏感になっていたので大きな不安に襲われました。

英国人の前立腺がんの語り

MRI検査の体験について述べている

私は事前によく説明を聞いていましたが、問題のある人もいるのではないでしょうか。狭所恐怖症を感じさせるような狭いトンネルの中に入れられるのは厳しい人もいるだろうと思いますが、看護師からのサポートもありますし、また厳しくなったら出してもらえるよう言う事も出来ます。MRIは磁石が回転するので非常にうるさく、予め説明を聞いていても不安になるものです。しかし、私はもっと不快な環境に居たことがあるので、特に厳しいとは思いませんでした。それで不安ではありませんでしたし、一寸狭所恐怖症的でうるさいだけですが、幸い私は殆ど眠っていて、なされるままでした。思ったより長時間続きます。画像を撮っている間いろいろな体位をとり、或る検査では数分続く間この狭いトンネルの中で、ガンガンする大きな騒音に包まれて横たわっていなければなりません。

英国人の前立腺がんの語り

超音波検査を受けるための手順について説明している

超音波検査―膀胱に超音波をあててその反響を画像で見る検査なんですが、昔、潜水艦が搭載していた探知システムに似たところがあります。音波が反響(エコー)することで画像になるんじゃないですか。技術的なことはよくわかりませんが、しくみはそうだと理解してます。だからX線を使うよりも、超音波なら膀胱の形や大きさまでも見えるんです。

――医者がお腹の上で何かを動かしてみるだけですか?

皮膚との接触を良くするために、ゼリーみたいなものをお腹に塗って、肌と装置の間にすき間をなくし、超音波が体内までとどくようにするんでしょうね。反響が感知されると映像が映るんですけどね、それがちょうど妊娠した女性が胎児のスキャン画像を見てるようでね、同じようなしくみなんじゃないですか。技術的なことはよくわからないとは言ったけど、そんな方法が用いられてるんだろうって思ってます。
そうして画像を記録したあと、膀胱を空にしてもう一度スキャンをしました。膀胱の空の時と満タンの時の両方のサイズを確認できたのだと思うし、どこに問題があるかを探る意味で、それはやはり大事なことだと思いますね。だから私は、これによって特に何か疑わしいものが発見されたわけではないと思います。そういうわけで、これは多分前立腺の問題だろうという考えになったのです。

英国人の前立腺がんの語り

画像診断のために膀胱に尿を溜めておくことがいかに不快であるかということを語っている

待合室には3人か4人の人がいたと思います。もちろん私たちは大量に水を飲んでトイレを我慢しておかないといけないので、そこに座っている3、4人はみんな足を組んで自分たちの順番が遅れないように祈っているわけです。ともかく私は中に入って、2方向から画像を撮影されたんですが、その後(検査技師が)その装置をお腹の上に乗せたとき、私はほんとにその人に尿を引っかけてしまうんではないかと思いましたよ。幸いそうはなりませんでしたけど、それから尿の流れをテストしてもらいに行きました。

――ちょっとわからなかったのですが外側から撮影したんですね、内側からではなく?

そうです、外側の両方向からと、それから腹部です。長いことトイレを我慢していればもちろん大変です。ともかく(そこでは)恥をかかずに済みましたが、それから尿の流れをテストするために(別の)部屋に入ってバケツに向かって尿をするのですが、ものすごく出したいのにどうしても出ないんです。すると看護師が入ってきて、全部片付けておしまいですよと言うつもりだったんでしょうが、実際には私はまだ始めてすらいなくて、尿が出るまでにはまだ時間がかかりそうだったんですね。これは少々きまりが悪かったですね。それから医師の診察がありました。

英国人の前立腺がんの語り

私生活における悲しみと電子機器を使って仕事をしていることが、何らかの影響を及ぼしたのかもしれないと考えている

ええ、私はこれまでずっと電子機器の仕事をしてきました。そこからは大量の静電気や電磁波が放出されるので、私はそれが原因ではないかと疑っているんです。それに以前1992年に娘を亡くしたことは私にとって実に実に深い衝撃でした。人生でそういうことがあると、人はすごく傷つきやすくなって身体や身体組織の中の働きが上手くいかなくなる、免疫システムがいつものようには働かなくなり、普通なら見つかるはずのあちこちの悪性癌細胞を捕まえなくなったりするとか。それに今思い返すと、この2つが結びついて私の病気を引き起こしたのではないかと思うのです。でもこれは単なる理屈であって、何にも証明はできませんが。