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英国人の前立腺がんの語り

個人的には支援グループと関わらないことにした理由を述べている

――あなたは支援グループやそういった団体に入って、相談したりはしなかったのですね?

はい、しませんでした。実は仕事が本当に忙しくて、それが私の中で重要なパートを占めているので、くよくよするのにそう長い時間を割けないのです。基本的に、仕事は上手くいっているし、日常の暮らしも同様です。もし私が治療を受けたら、治療に伴う副作用や好ましくない事情が出てきて日々悩むことになる。その時はそういった経験をほかの人と分かち合うのはたいへん意味のあることかと思いますが、確信はありません。この選択は非常に個人的な決断でしょう。

英国人の前立腺がんの語り

支援グループをどのようにして発足させたかを語っている

私たちの支援グループは昨年の4月に発足し、皆前立腺癌について非常に強い関心をもっています。委員会メンバーの全員が前立腺癌に罹患しています。現在スコットランドには9つのグループがあり、公認慈善事業です。本部の所在はそれほど遠くではありません。2ヵ月に1回のペースでミーティングを開催し、各グループから少なくとも2名のメンバーが集まり、各グループの進捗状況を確認し,前立腺癌の領域にどのように取り組んでいるか、また、人々が前立腺癌と折り合いをつけるのをどのように助けたら良いのかなどを話し合っています。それから、内気で前立腺癌について話すことにとても消極的な人を支援もします。そんな人達に医師を受診してPSAテストを受けるようにために勧めなければなりません。このことはとても重要なことです。もし、PSAテストを受けて高い値が示されても、必ずしも前立腺癌とは限らず、単に前立腺に問題が異常なのかもしれません。それできちんと精査すれば前立腺に問題があるが必ずしも癌であると言うことにならず、治療可能な範囲です。

英国人の前立腺がんの語り

前立腺がんのことをもっと知りたい人々から、どのように電話を受けているかを語っている

――国中から電話がかかってくるとおっしゃいましたね?

はい、国中から、前立腺がんチャリティに連絡してくるひとがいるんです。前立腺がんチャリティーでは、そんな人々に、病気の症状や治療、その他について積極的に話をしてくれる患者のリストを送るのですが、全国に驚くほど多くの患者さんがいるのです。診断を受けてからしばらくたっているなら、貴方だって、彼らに安心感を与えることができると思いますよ。電話をかけてくる人たちは、新たにがんと診断されたばかりで、だれに聞いてよいかも分からず、非常に傷ついていますから、すごく役に立つのです。キャンサーバックアップのような組織は、とても、とても助けになります。訓練を受けたナースが、彼らにアドバイスを与えるわけですから。

英国人の前立腺がんの語り

前立腺がん支援グループが役に立って、とても励みになる

このがんセンターではさまざまなプログラムが用意されていて、私はホリスティックワークショップ(全人的な治療を目的とする集会)と呼ばれるプログラムに参加しました。スタッフは親切で、強調すべきは治療の選択肢が用意されていたことでした。これには非常に関心しましたし、とても有益なものでした。それから、スタッフが熱心にサポートしてくれました。また言っておきたいのは、そこには私以上にがんに苦しむ人がいて、彼らはまったく気取っていないということです。地位や金銭といった普通なら心奪われる事柄についてまるで気にしていないのです。だから、とても自然体でいられ、大変な勇気をもらい、多大なる支援をうけることができたのです。

英国人の前立腺がんの語り

支援グループは、情報交換にとても役立っていると思う

それに私は、病院自体の中で泌尿器科医や腫瘍専門医達からこれまで得てきたいかなる情報よりも、同病仲間と体験を分かち合うほうがより多くのことが明らかになると思っています。医師達は自分たちが患者に必要だと思う情報以外のことを伝える能力に欠けているようで、だからこのやり方では他の選択肢を示してくれません。今私たちはいろいろな選択肢があることを知っています。そしてそれは確かに私にとっては大きな違いです。私が受けた主な恩恵は、実はロンドンのある病院に関連したものなんです。ここでは医師たちは問題に対して全く違った姿勢で向き合い、前に進んで何とかまた元気になるようにと励ましてくれます。一方地域の医療機関では、「まあ、あなたはよく知っているが、そこまでです」というのです。私はきちんと定期的にここに来ています。私がこれまで受けた治療の中には効果のないものもあったけど、それでも私は元気づけられて帰ります。これは、私にとってもまたどんな形であれ癌に苦しむ人々にとっても、誰にとっても素晴らしい大きな恩恵なのです。

英国人の前立腺がんの語り

長年がんを患っている人々と出会って、とても励まされていると語っている

支援団体の良いことは、元気づけられることでもあるのですが、(癌で)あとどれくらい生きられますと告げられたり、自分の命にどんな影響をおよぼすと言われたとしても、私には人生があり、やることがあるっていうことですよ。だから、10年も12年も癌を患っている人達に会うのはとても元気づけられるし、何かを与えられ、新しい治療法についてみんなで話し合うのも勇気づけられるのです。私達は近いうちに会報の発行を始めますが、そこで提供する医学情報はどんなものでも最初に協力医療顧問に点検してもらうことにしています。点検無しの情報は載せません。

英国人の前立腺がんの語り

将来のことをあれこれ心配するより、今をどのように生きるかを語っている

――それでこれらのことすべてが貴方の将来の展望、人生観に影響したのですね?

大いにというわけではありません。私は人生の多くを海外で働いていたり、慈善活動をしたりしていたため、年金の積み立てが十分でなく、多額の年金をもらっていないことはそう心配になりません。私は、統計学上たぶん、いわゆる男性に期待される寿命以上は生きないと思うとちょっと気が休まります。実は老齢者と一緒に働く慈善活動で働いていて、彼らがさまざまなやり方で老年期を楽しんでいるのを見ています。ですから私は本当に達観していますよ。なにかだらだら長引く病で生涯を終わるよりはできるだけイキイキと充実した人生を送ることにずっと惹かれていると言う意味でね。確かに病気は気になりますが、私はサイクリングやヨガをしており、両方とも私の心身を良い状態に保ってくれていると思います。本当に助けになっていると思います。

英国人の前立腺がんの語り

人生への展望が変わったと述べている

そこに落とし穴もあるように、ガンによってもたらされたボーナスがあるという事実も素直に認めることでしょうか。人生の観点から確かに生きる姿勢と考え方は良い方向へ変わったと感じます。数年前の間違っていたものは今では大して重要ではなくなり、それは私にとって、とても大切なことなのです。そして家族もとても大切だと思うのです。そして私はまだここにいる、そう私は今でも確かにここにいてどうあろうと人生の一部を生きているのだ、と言えるのですから。

英国人の前立腺がんの語り

妻とずっと仲良くなったように感じ、積極的な見通しを持てるような気がすると語っている

病気という事態に何とか対応し、実際私達はより親密な関係になったと感じています。手術のこと、仕事のやりくり、退職時期、休暇、余暇の使い方、経済面等、色々なトラウマと問題を乗り切ってきました。私の場合、予後はいいと考えられますが、どういう不測の事態が待っているか分からないので、人生をしっかり生きようと思います。考えてみますと、海外旅行に行ったり、仕事や趣味など、今までだったらするのをためらったこともして、楽しい思いをしています。何でもやってみること、後回しにしないこと:「湖水地方か南仏に行きましょう」と思い立ったことはなるべく早くするようにしています。

――それはとてもポジティブなことですね。

そうですね、ポジティブだと思います。

英国人の前立腺がんの語り

できるだけ人生を楽しむように努めていると語っている

しばしば思うのが、無知ほど幸せなことはない、ということです。もし何も知らなければ、不安になる必要がないですから。けれども、今私は深刻に悩んでいるというわけでもありません。感情に波があって、前立腺がんなんて何てことだ、と気が沈む時期もあります。いずれにせよ、私の手でどうこうできるものではありません。ただ、人生を生きるだけです。また、専門医が最初に私に言った「何ごとにせよ、止めてはいけません」という言葉は、正しいと思います。だから、私は止めません。週に2、3度は球技をして徹底的に楽しんでいるし、庭弄りも、外出もする。つまり人生を謳歌しています。これは、できる限り続けていくつもりです。