インタビュー時:61歳

がんの診断は受けていないが、PSAの値が高いことを心配している

語りの内容

PSA検査は、結果が出そろうまでに、実際約1ヶ月はかかりましたね。毎日顧問医師の秘書に電話をしてました。まず、『顧問医師の秘書をお願いしたいのですが』と病院の交換台へ電話をします。秘書は不在の時もあります。そしてその都度、彼女は書類の束をあちこちめくっては、私の検査結果があるかどうかを探索しなければなりません。その度に、私はまるで死の宣告を待っているみたいで、来る日も来る日も恐ろしく心細い感じで、手に汗握りながら自分は生きるのか死ぬのかと言った思いをしていました。何かほかのことを考えている人間にとっては、医師との面談でPSAの話が出たとしても理解できず、面談が終わっても、PSAが前立腺特異抗原の略称であるということも言えないし、それが前立腺がんの検査だというとも分からないだろうと思います。そのとき、医師が何か言ったことは確かに覚えているけれど、自分がインフォームド・コンセントを与えたという記憶はありません。すべての人にとって、できるだけ長く生きることが目標だと、一般には思われているみたいだけど、たまたま私の場合はそのような考え方に賛同できないのです。多くの人々にとって-とりわけ孫が成長しつつある家庭人にとっては、孫娘の結婚を見たいだろうし、ひ孫がいればその子が洗礼を受けるのを見たいと思うのは当然です。でも他の人間にとっては、QOL(クォリティー・オブ・ライフ)が大事であり、QOLとはつまり健康であること、少なくとも自分が健康であると感じることのほうが、より大事なのです。私自身は、この種の事柄をカウンセラーと話し合いたかったし、できれば、顧問医師によって訓練を受けたカウンセラーと話がしたいと思いました。私は、最初のPSA検査を受けなければ良かったと思います。しかし、これは私の責任であって、ワシントンの泌尿器科医を責めることはできません。あの時、私はもっと情報を求めることがでたでしょうし、その帰結についても考えることができたはずですが、現実にはそのようにならなかったし、あの当時はそれが重要なことだとは見えなかったのです。それは大事な選択肢として提示されなかったし、じっくりと考え抜くことができなかったのです。

私は: です。

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